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冷蔵庫やエアコンはどうやって冷えるのか? [科学と技術一般]

どうも冷やすということは,中々理解されにくいものの様です。

夏休みの自由研究で,冷蔵庫の冷える仕組みを調べるテーマにしてみたが原理がわからないという質問を従兄弟の子供から受けたことがあります。もうずいぶん前のことで,質問した子も立派な大人でしょうが,多分その時答えた様な答えについて書いてみたいと思います。実は,受けた質問を食事の際に妻と息子にしてみましたが,「そのような疑問を感じた事がない。きっかけになる様な経験もない。」との事だったので,欲求不満に陥ってしまいました。

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理科少年だった当方でも子供の頃から冷える原理を知っていたわけではありませんが,常々不思議に感じたのが,スプレー缶をスプレーすると冷たくなることでした。むろん水でも冷たくはなりますが,それは水の冷たさであり違うしくみだと思っていました。ただそれは半分正解で半分間違いでした。スプレーで冷たくなるのは専門用語を使ってしまえば「断熱膨張」であり,これこそ冷蔵庫やエアコンの冷える原理でした。一方水で冷える方も,水の温度だけの冷え方はたかだか知れており,水が水蒸気になる時に奪う気化潜熱が冷やす働きの大半を占めています。零度の氷が零度の水よりもはるかに冷やす能力が大きいことも,氷が溶けて液体の水に変わるときの融解熱がその殆どである事を知ったのは中学生になってからでした。本格的に学習するのは,高校以上で物理化学(物理と化学ではなくて「物理化学」という分野)であり熱力学です。

どうも子供の頃疑問に感じていた事柄が,理屈を習って納得できるというのはそう多くもない事のようです。当方の妻や息子の様に,個別の事象に興味を持たない子供は,大きくなって理屈だけ習っても,吸収する素地がないわけですから,全く無意味な事の様です。疑問を感じて夏休みの自由研究テーマにしようという子には,説明にもいきおい熱がこもります。

スプレー缶で冷える事を感じていれば,説明は簡単です。
気体は縮めば温度が上がるし,膨張すれば温度が下がります。温度は気体分子の運動の激しさの事ですから,密になれば単位体積での分子の運動は激しくなり,高い温度に相当するし,疎になれば温度は下がる。極端な話,真空になれば温度を担う気体分子そのものが無くなる。常温状態で圧縮されたものが,そのまま膨張すれば,温度は下がらざるを得ない。スプレー缶では中のガスを全部出してしまえば終わりだが,それをモーターやエンジンなどの動力を使って連続的に圧縮膨張をさせるのが冷却器の仕組みだと。むろん発熱と吸熱(冷却)がペアで起こるので,同じ部屋の中で圧縮と膨張をさせてもダメで,冷蔵庫やクーラーの場合は圧縮の発熱側を外部にして,利用したい膨張の吸熱(冷却)側を庫内や部屋側に持ってくる事になる。

むろん暖房の場合は発熱側を利用する事になる。圧縮膨張による熱交換を効率よくやれば,コンプレッサを回す電力や燃料の消費エネルギーの何倍もの熱を発生させる事もできる。「エコキュート」などの温水器はそれを利用していると。

親戚の子はスプレー缶の経験はあったようなので,この様な説明だったと思います。
ない子にはどう説明するか?発熱と吸熱の件は知識として教える事になります。しかし,それは知識でしかないので,忘れてしまえばそれまでです。気象などにも興味があれば,それを使った説明もできるかも知れませんが,それも難しいかも知れません。昔は中学の理科で実験で圧縮すれば温度が上がることや,膨張させて温度を下げて霧を出す実験などもしたと思うのですが,わかる子には当たり前でも,興味の無い子には無意味だったようです。もっともこういう事例は,音楽に関しても同様で,義務教育でかなりの音楽的基礎をやっていて本来なら全員が楽譜を読める様になっているはずなのに,そうでない人の方が多いという現実を見ても致し方ない事なのかも知れません。知識としてでも身についていれば良いとは思うのですが,それらが生活に必須かというと,そうでもない。楽譜を読めなくてもカラオケを歌うのにも困らないし,ましてや断熱圧縮や断熱膨張の仕掛けを知らなくても,その恩恵を享受さえできれば良いと。だとすれば,本記事は全く何の意味も持たないという事になります。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

小中学校の理科の教科書でおそらく最も多く出てくる言葉は温度や、熱だと思います。本質を理解するにはかなりちゃんと勉強しないといけませんね。(^^;
「夏休みの自由研究」懐かしい言葉です。私は子供の頃は「研究」とはどうするものかも分っていませんでした。(^^;


by たこやきおやじ (2021-07-30 01:43) 

Enrique

たこやきおやじさん,
小中学校では物理分野化学分野以外に生物地学分野も多く,むしろ温度や熱に関しては必ずしも多くはないと思いますので,疑問に感じる子も出てくるのだと思います。当方は理科少年だったので,中学までは理科では学校で学習する内容がほぼなかったので,後で苦労しました。
「研究」という言葉を子供が理解しているかどうかは疑問ですが,「学習」とは違って自発的にという意味なのでしょう。私の頃は研究と言ったかどうか記憶になく,工作か昆虫採集でした。これが研究かどうかは甚だ疑問ですが。
by Enrique (2021-07-30 06:54) 

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