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ゼロ・フレットについて [雑感]

新しい楽器では見かけませんが,かつてはありました。

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図1.ゼロ・フレットの楽器(Wiki英語版より)
(この例はクラギではありません)。
なぜ無くなったのでしょうか?かつてはナットの弦溝加工が難しかったからだろうとか言われています。じっさい,ナットの加工は難しいものです。プロでも(だから?)かなり弦高の高いものを作ります。高めの方が製作サイドからしたら絶対に安全だからです。

ゼロ・フレットの楽器(図1)のメリットは弾きやすさとか,音色の統一とか言われます。

Wikiの英語版にはイントネーション(音程)の課題がとりあげられています。ゼロ・フレットの方が音程が良いとのことです(図2)。むろんナット上での弦高のセッティングにもよるはずですが,このデータでは明らかにゼロ・フレットの方が優れています。なお,このデータの出典は示されませんが,ナイロン弦ではここまでの音程のくるいは出ないのでは?と思います*。聞き(読み)捨てならないのは,日本製の楽器はナット弦高が高過ぎると取れる記述があります。

図2.通常のナットのフレットごとの音程(左),ゼロ・フレットの同音程(右)Wiki英語版より。

メリットばかりなのになぜ無くなったのでしょう?
「ナットの加工技術が上がったので,その必要がなくなった。」とか。それは理由になっていません。通常ナットのほうが優れていれば別ですが,むしろ逆です。それにナットの加工技術が技術の進歩で?というのもあり得ません。何百年も前からの手加工技能がここ何十年の技術進歩で急速に上がる訳もありません。これもむしろ逆でしょう。ゼロ・フレットの楽器が無くなったのは事実ですから,いくらでもこじつけの理由はつけられてしまいます。

図3.通常の楽器をゼロ・フレットにする用のナット。
StewMacのウェブショップより。
デメリットはあまりありません。
「時代遅れでカッコわるい」遅れているのか進んでいるのか分かりませんが,一時期の流行と捉えられた面はあるかもしれません。「有力メーカーが採用しなくなった」この辺りが主因かもしれません。

見直し機運もあるようです。
しかしゼロ・フレットを試そうか?と思っても,簡単には出来ません。楽器の大改造が必要です。

楽器の改造を要しない,少し削り込んでフレットをかますタイプのナットが売られています(図3)。これなら通常の楽器でゼロフレットを簡単に試すことが出来ます。

時間ができたら,やってみようと思っています。

*+6セントものくるいがフレットで起きたら完全にフレット音痴状態です。Wiki(英語版)の記述では,そのため「1フレット・2フレットでの演奏を避ける」とあり,初心者にはゼロフレット楽器の方が良いとしています。
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