通し練習と部分練習と

ギターを独学で始めた頃はもちろん，その後もずっと練習に戦略的な工夫などしなかったと思います。

気のおもむくまま，色んな曲を弾いていました。
何分ギターの楽譜は多くなく，入手するのも困難でしたので，NHKのテキストに全音などのピースもの，ちょっとした曲集程度でした。楽譜の入手が難しかったせいか，ギター曲ばかりでなく，ピアノ譜やオケのスコアなども弾いていました。もちろんきちんと弾ける訳ではないのですが，楽譜を音にする読譜力はそれで身についたと思います。その反面，ギターの難曲を弾きこなすテクニックはあまり付かなかった様に思います。

大学のサークルでギターをやっていた時，難曲をバリバリ弾きこなすのに，初見で弾けるような曲や単純なメロディをまるで弾けない知人がいて，それが不思議でしようがありませんでした。

中年になってレッスンを受けてギターを再開した頃，ソルの練習曲とタレガの小品などから取り組みました。昔から弾いていた曲も多く，何となく安易に考えていたのかも知れません。タレガのラグリマやアデリータ，マズルカやパバーヌなどは直ぐに仕上がりましたが，アラビア風奇想曲はなかなか仕上がりません。見かねた師が「部分練習してくださいね。」とのアドバイスをしてくれました。

何ということでしょう！
「通し練習」のみで「部分練習」を殆どしていなかったのでした。そういう練習を知らなかった訳ではなく，弾けないところを繰り返し練習するのは当たり前だとは思っていましたが，「部分練習」という成語としての認識がなかったのです。いわば，はっきり意識しての「部分練習」という概念がなかったので，徹底して怪しい箇所をつぶすという練習をしていなかったのでした。従って，つっかえる所は何度やってもつっかえる。師は，一目で私の練習法の欠陥を見抜いたのでした。

子供の頃，忘れ物の天才でした。おそらく，親からは忘れ物はするな！と言われていたはずですが，そんなことわかっているわい！と，忘れ物を続けていたのだろうと思います。「忘物確認」はしたの？とでも言われていたら，少しはマシだったかもしれません。もっとも，確認じたいも忘れたかもしれませんが。

コメント 4

部分練習は、練習していて、つくづく重要だと思います。今までは、練習する時間が十分に取れなかったため、部分練習が非常に短時間尚且つ疎かになっていました。
このところ、一定以上の時間を部分練習に使うようになっていますが、着実に細かい部分が改善されてゆくのが分かります。進歩が感じられると、ますます練習が楽しくなります＾。＾
by アヨアン・イゴカー (2019-05-09 23:01) 

練習時間がとれないと，「とりあえずやっつけてしまおう」という気持ちになります。
何度弾いてもうまくいかない場所は，かなり細かく部分練習しないと完成しません。逆にいえば，細密な部分練習は効率向上でもあるので，さらに練習意欲が湧いてくると言う相乗効果になるのでしょう。
by Enrique (2019-05-10 06:44) 

私もある程度トシをとるまで、「部分練習」という語彙が自分の辞書にありませんでした。
「ゆっくり練習」や「片手練習」も同様…。
もっとも「通し練習」という言葉だって、知っていたかどうか怪しいですが。
要するにただ「弾く」だけだったんですね（笑）。

今は「ゆっくり練習」に、すごくお世話になってます。これでかなりのことが攻略できますね。
「部分～」「片手～」は必要だと思えば時々やります。
もう一つ、「前倒し部分練習」…弾きたいと思っている曲に、数小節の特段に難しい箇所がある場合、他は手を付けずにそこだけ基礎練習メニューのように練習し（半年～数年かかってもいいので）、そこが弾けるようになってから残りをやれば、あっという間に仕上がり！というものです。
適当な曲があったら、ぜひお試しください。
by REIKO (2019-05-11 16:22) 

REIKOさん，そうですね。
通し練習は部分練習の対語ですから，「部分練習」を意識していなければ，「通し練習」もあったものではないですね。本来の「通し練習」は部分練習の後の仕上げ練習の様なものですから，だだ闇雲に弾くのは「通し練習」とも言えないですね。闇鍋ならぬ闇弾き？探り弾き？試し弾き？
難しいところだけを虫眼鏡で見て，拡大・分解して徹底的につぶせば，オッケーですね。
後付けの部分練習ですと，どうしても弾ける部分を余分に弾いてしまいますから，時間がもったいないですね。いわば，「狭義の遊び弾き」が多くなってしまいます。
片手練習はギターでも有効です。特にどちらが弾けていないかを見極めて，弾けていない方をつぶして，左右シンクロすれば完成です。
by Enrique (2019-05-11 17:10)