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手工楽器について~塗装と構造とその他~ [楽器音響]

手工楽器の塗装の話を書きながら,塗装の意味を考えるうちに,構造との兼ね合い,弓で奏する楽器との違いを考えるに至りました。

前記事で,ギターはヴァイオリンよりもニスの影響はあると,ほぼ断定しました。

根拠は,ヴァイオリンやチェロよりも表面板が薄いからです。もし同質のニスを同じ厚みで塗られたら,ギターの方が影響は大きいはずです。

鳴らし方が異なるではないか?という疑問があります。
その点でむしろ減衰振動をするギターの場合のほうが,音の余韻が短くなるという形で,減衰の影響は直接効くはずです。

一方弓奏楽器は,弓と弦との乾性摩擦(負性抵抗)を介してエネルギーが注入されて持続音が形成されますので,減衰振動で鳴るギターよりも影響は少ないとも言えます。もちろん,減衰の影響は,鳴り易さ・難さとして認識されるでしょうし,ピチカートの余韻で評価すれば,ギターと同じ事にはなるでしょう。

ただ,ギターはヴァイオリンよりもニスの影響はあると言っておきながら相反する様な話ですが,ギターでは表面板が薄く平坦ですが,その分ブレーシングで補強しているという事情があります。ギターの薄い表面板でブレーシングが無ければ,全く持たないでしょうし,表面板の振動剛性に大きく寄与しています。ブレーシングの配置や本数,その高さがギターのキャラクターに大きく影響するというのはよく知られたところです。表面の塗膜の影響もブレーシングほどではないにしても少し効くというのが妥当なところでしょうか。
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