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近況・ギター購入 [日常]

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ブログ更新が滞っていますが,環境が大きく変化したわけではありません。

新規記事中断中に何本か楽器を購入しました。なかでも有力なものはJose Yacopiです。
この楽器は結構名器だと思うのですが,ずいぶんとお安く入手することができました。

BouchetやHauser,Fletaなどの超名器に比べ,決して性能的に劣る訳ではないと思いますが,ゼロが一つお安いです。
Hernandez y Aguadoがヤフオクに即決400万円で出ておりましたが,この辺のお値段の違いは,製作本数の違いです。なんでも,TV番組「なんでも鑑定団」で500万円の評価がついたとか。だから400万円はお安いと。

 
  私のところに来たJose Yacopi。
 
 
  サウンドホール近辺。
 
 
  独特なカバー付きの糸巻き。
 
 
  この時代は彫刻は無く,ハウザー風のデザイン。
 
 
  ボディのくびれに沿うかのような柾目に近いハカランダ。
Yacopiに関しては,国産中級品並みのお値段で入手できました。
以前も書きましたが,高いクラシックギターでもヴァイオリンに比べたらゼロが一つか二つ分お安いです。それでも,手に持てる1~2kgの楽器が何百kgあるピアノと同じくらいのお値段というのは,一般の方には驚きなのかも知れませんが。

Hernandez y Aguadoは,一度だけお茶の水の某楽器店で試し弾きさせてもらった事があります。HauserもFletaもBouchetもそうでしたが,「ああこんなもの」という感じでした。期待したほどのものすごいインパクトと言ったものも無いものです。名器の良さはじわじわと来るのでしょう。むしろ世界的名器を持つと言う精神的満足感が大きいのかもしれません。

当方にはベルナベの強さとか,アルカンヘル・フェルナンデスの乾いた力強い低音の方がインパクトがあった感じです。

最近ではマルシン・ディラが弾いている*Gabriele Lodiが結構人気の様です。所有の知人に弾かせてもらいましたが,今までのどの楽器とも違う透明なというか,さらさらとした水の様な音がしました。まあ楽器の音とか形容が困難ですが。

あとやはり個性の強さて言えば,スモールマンでしょうか。どれだけ強く弾いても無限にffが出る感覚は,その重さと同様にやはり異次元の楽器のように感じました。オーストラリアの楽器でサイモン・マーティも興味がありましたが,ちょっと記憶にありません。それと,マティアス・ダンマンなどのダブル・トップの楽器も弾いたのですが余り印象にありません。音量は出ているのでしょうが,自分では良く分かりません。何とも?曖昧ですが,得も言われぬ風格を感じたのは,サントス・エルナンデスでしょうか。

楽器の値段はビッグネームが使うと急騰します。
最近のLodiは上で挙げた通りですが,少し前ならアナ・ヴィドヴィッチさんの弾くレッドゲイトが話題になりました。

もう昔話になりましたが,ジョン・ウィリアムスがスモールマンを使うや,世の名だたるギタリストが使いだしました。当のジョンはスモールマンの前は,フレタと件のエルナンデス・イ・アグアドを使っていたはずです。複数のビッグネームが使うと,もう世界的銘器です。

セゴビアが使ったハウザーやラミレスは今も銘器の部類でしょうし,ブリームが使ったブーシェやロマニリョスも。いまや古典的銘器でしょう。

さて最近私のところにお越しいただいたYacopiさんですが,お値段こそつつましやかですが,世界的銘器にひけを取らないと思っています。アニードの愛奏楽器でしたし,イエペスやブリーム,ブラジルの天才ジスモンチも使っていました。この楽器も結構個性があります。ただその個性は奇をてらった様なものではなく,これまた抽象的感覚的ですが,朴訥としていて良く内声が歌うように感じます。木質系の音ですが,こもる訳ではなく,かなり音量がある感じです。結構気に入りました。

お安い理由は,アルゼンチンというお国柄もあるのでしょうが,やはり製作本数の多さでしょう。’77製の私の楽器で製作Noが軽く1000番を超えています。新しい作品で調べればはっきりするでしょうが,2006年で亡くなるまで3000本程度は製作したのではないでしょうか。ブーシェの154本といった希少価値とは正反対の楽器です。

*彼はカナダのDaryl Perryも使っている様です。
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アヨアン・イゴカー

楽器の価格が、著名な演奏家が使うかどうかで変わるというのは面白いです。スヴャトスラフ・リヒテルがヤマハを好んで弾いたと言うことで、当時ヤマハのフルコンサートの格が一挙に世界レベルになったと言う印象があります。
by アヨアン・イゴカー (2018-09-15 14:01) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,楽器の価格は絶対的な価値がはっきりしない為そういう事になるのだと思います。あと希少価値で釣り上がります。
そこそこのものはブランドでしょうか。ギターではラミレスとか河野とかヤマハとかはブランドが強固です。ピアノでのヤマハのブランド力は絶大ですね。
by Enrique (2018-09-15 17:19) 

Ken

ヤコピは良い楽器ですね。私の知り合いも1976年製のヤコピを持っています。この楽器は地味ながら力強い音、そして繊細な音も出る素晴らしい楽器です。
私の記憶が正しければ、確か力木の配置に特長があります。
通常、サウンドホールからブリッジに向かって放射状に力木を配置しますが、ヤコピはブリッジからサウンドホールに向かって放射状に力木を配置しています。これは低音を考慮した配置と思われます。
なるほど、ヤコピは低音に説得力があるようにも感じます。
by Ken (2018-10-08 12:38) 

Enrique

Kenさん,おっしゃる通り,力木の配置が逆ですね。
これにより独特な音響を生む反面,デメリットもあります。
弦の張力によって表面板中央のハギがはがれて,隙間が出ることが多いようです。この点に気づいたのか後の作品は普通の配置に変えてしまったようです。欠点は無くなったものの,魅力も無くなったと言う,まあありそうなことではあります。
by Enrique (2018-10-09 06:23) 

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