SSブログ

ギターの音を滑らかに聴かせるには [演奏技術]

極力音の途切れを減らす。
それだけでしょうか?

Kayserの練習曲第1番の冒頭をギター演奏の波形とヴァイオリン演奏の波形とで比較してみました。
ヴァイオリンの音源は,YouTubeからお借りしました。

ギターによるKayser第1番第1小節目の録音波形。
  
ヴァイオリンによるKayser第1番第1小節目の録音波形。
ギターは,はじいているので音がプツプツ,ヴァイオリンやチェロは,弓で弾くから音は持続して繋がっているという感覚を持ちます。そのため,ヴァイオリンの波形エンベローブはさぞかし平坦かと思いきや,結構モコモコしています。

むしろギターでは音が出ている時は結構平坦です。
ヴァイオリン音の波形では,結構くびれがあり,むしろ平坦部と言うのは,このくらいの音価では殆ど無い事がわかります。むしろ,音にくびれが無ければ,音がずるずるになってしまい,同音だと繋がってしまうわけです。一つ一つの音を分離させるためにはある程度のくびれが必要なわけです。

両者の波形で決定的に異なるのは,ギターでは発音時の振幅が大きく,その前に無音部がある事です。無音部から発音部への遷移が極端です。ヴァイオリンではもこもこしているものの遷移部がふわっとしている為,音がスタカート状には聞こえないのだろうと思われます。

音の繋がり,レガートさは無音部を出来うる限り減らした方が良いわけですが,音の立ち上がりをソフトにする事もギターの音のレガートさに効くものと思われます。
nice!(12)  コメント(6) 
共通テーマ:音楽

nice! 12

コメント 6

REIKO

ヴァイオリンの波形は、なんじゃこりゃ?ヒラメの行列!と思ってしまいました。 ウニョウニョでちょっと気味が悪いです。
ふだん電子ピアノの録音を波形編集ソフトで開いて見ているので、それとのあまりの違いに驚きました。
ピアノの波形は、ギターの左から4・5番目のかたまりと良く似た形が連続しています。
1・2番目の、台形を横にしたような形の後、ガクッと音量が落ちていますが、同じ弦を押弦ポジションの移動で弾いている部分でしょうか。
こういうところができるだけ滑らかになれば良いわけですね。

音楽は耳で捉えてナンボなので、波形で確認するのはあくまで補助ですが、私も時々「ちゃんとクレッシェンドできてるか?」など、波形でもチェックしています。
ヴェルクマイスターの狭い五度が低音で鳴っている部分など、耳でもドヨ~~ンと変でしたが、波形も立ち上がりが三角にならず団子状態で笑ってしまったことも。 なかなか正直ですね。

by REIKO (2018-03-08 23:18) 

Enrique

REIKOさん,長い音だと今度はビブラートが掛かってさらにウニョウニョですね。ただ細かいヒゲ状のは少ないですね。非調和音が入る楽器にこのヒゲ状が多い様です。ピアノはその種類の楽器でしょう。音の響き具合はやはり波形のアバレとして現れます。
ギターではヴァイオリン的になったりピアノ的になったりしています。この波形からも音色を揃えるのが難しいという事が分かります。それと同一弦をレガートに弾くのはかなり難しいです。ご指摘通り音の間に音量が落ちているところが問題です。リバーブをかけると綺麗になるのはそこが埋まるからですが,ノン・リバーブで如何に滑らかにするかがチャレンジです。それと同時に音の立ち上がりをソフトにするのも,滑らかさに効くというのがヴァイオリン波形の観察から分かります。
by Enrique (2018-03-10 12:10) 

アヨアン・イゴカー

この波形図から、ギターは弾かれた後は減衰してゆきますが、バイオリンの場合上げ弓でも下げ弓でも音が出される瞬間から次の音に映るまでは弦にエネルギーを与え続けることが分かりました。
自分の練習に直ぐに役に立つことはないかも知れませんが、いつかどこかで何かのヒントになるかもしれません。
by アヨアン・イゴカー (2018-03-12 23:09) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,長い音符では無理ですが,このくらいの音価ですとギターでも途切れなく弾ければ,むしろ弓奏以上の滑らかな演奏になるという事がわかります。そのためには立ち上がりをソフトにすることも必要と思われます。
by Enrique (2018-03-18 19:10) 

Yoko

クラシックギターで流れるようにフレーズを弾くのは難しいです。ヴァイスのファンタジーを練習していますが、自分の演奏を録音して音の繋がりと流れがないのでショックを受けてます。先生からはプランティングの悪いところが出ているとコメントされていますが、自分ではうんと早いアルペジオしか意識してプランティングはしていません。タッチの均一さ、下降音形が苦手である部分に難ありとは思っていますが。
by Yoko (2018-08-15 10:40) 

Enrique

Yokoさん,私の課題でもあるのですが,プランティングが早すぎるのだと思います。
プランティングに限らず,左手を含めた準備動作というものは非常に大切なもので基本でもあります。しかしながら,レガートな奏法のためには,準備動作は最小限にしなければならないところが随所にあります。左右のシンクロ動作,それが基本技術となるのが到達点だと思います。クラシカルギターの奏法で最も難しいところだろうと思います。
具体的には,アルペジオ的な部分はいくらでもレガートに出来ますので,そこはモルトレガートになり,そうでない部分特に同弦を弾くところがスタッカートになってしまうので,音にムラが出てしまいます。
録音で気がつかれたのですから,改善の端緒はつかんでいらっしゃると思います。以前記事にしましたが,私の考え方では,耳>技術>楽器の順で重要だと思っています。
あとおっしゃているのが,フルプランティングの事だと思いますが,単音メロディを弾く際でも必ずプランティングはしています。理屈上は,そのプランティング時間を極力少なくかつ左手とのシンクロして音が消えている時間を極力減らすことでしょうか。練習メニューとしてはスケールが滑らかになるのが基本だろうと思います。
無音時間を完全にゼロにすることは出来ませんが,この記事にある様に,出音をソフトにすることも音のレガートさにかなり効くと思います。
by Enrique (2018-08-19 10:53) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。