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「息苦しくない演奏」の方法論 [演奏技術]

EnriqueImage.png「息苦しくない演奏」には,演奏時のリラックスが重要だと書きました。
では具体的にどうしたら良いのでしょう?
「そんなん分かってたらなんぼでもやりたいわ」と言われそうです。

まあ,言うは易しです。でも案外簡単な事なのかもしれません。

弾きにくいところを無理やり弾こうとしてないでしょうか?弾こうと頑張れば頑張るほど,息をつめて力んでいると思います。すんなりラクーに弾ける速度に落とし,力みを取り除く事がまず必要でしょう。

そのためには,気づく事がまず必要でしょう。癖になっている事が多いものですが,気付かずにやってしまうのは直りようがありませんが,気づいていれば早晩直せるものです。

自分の演奏を録音して聴くというのは大変エネルギーを要するものですが,演奏向上のためには必要な事でしょう。演奏の音だけでなく,演奏姿勢をも確かめる意味では,ビデオもいいでしょう。

演奏姿勢に限れば,ビデオよりもお手軽なのが,鏡です。練習室に鏡を置いておくのも重要な事かも知れません(私は置いていませんが)。

練習でのポイントは,弾きにくい難しいところをどうこなすかですが,ついつい力づくで,無理やり弾こうとしている自分に気づいたならば,まずはそれを止めることです。力を抜いてソフトにスムーズにやれば案外うまく行きます。

しかし発表会前とかは,追い詰められていますので,タイミングとしては,発表会後に,その反省とともに実行すれば良いのでしょう。

基礎練習を含む色んな練習法があるのだろうと思います。最も簡単だと思うのが,難しい部分の動作を単純化して定着させる事だと考えています。弾ききれない所というのは,アタマが必要以上に複雑に感じてしまい処理しきれない状態な訳ですから,アタマが処理できる単純な動作にまで分解して確実に学習させれば,処理終了に持っていけるはずです。少なくとも弾けないまま繰り返すよりも,練習効果はずっと高いと思われます。

こういう指摘は今まで何度も何度も目にしていますし,私も実践していますが,程度問題の様な気もしています。単なる取り出し練習でも,通し練習ばかりよりはずっと効果的ですが,取り出し練習であっても細かくさらわないと,難所がつぶせないままに終わってしまいます。

徹底的にゆっくり,一音一音にまで分解するつもりなら,大丈夫でしょう。運指を検討し動作を最小限に最適化します。場合によっては,左右バラバラに練習をします。左手だけというのもやりますが,右手だけというのは案外難しいものです。開放弦のみのデタラメな音になってしまいますので。そこで,右手単独練習の最後の手段は,開放弦の音の楽譜への書き出しです。

ただそういう箇所が余りに随所にあるとなれば,曲の仕上がりに恐ろしく時間が掛かってしまいますから,その曲に取り組むのは,もっと基礎練習を終えてからということになるのでしょう。

意識が持続し,ある程度余裕を持ってトレース出来ないと音楽的演奏になりません。あと,必ず弾けるはずという信念も大事でしょう。何もこれは精神論を言っている訳ではなくて,ギタリストの作品,もしくはギタリストが校閲したものであれば,弾けないはずがない訳ですから。エネルギー保存則の様に当たり前の前提です。

「息苦しくない」というのは技術面だけでは無いのですが,難所克服の様な話になってしまいました。
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REIKO

「分解」は大事ですね。
ココが上手く弾けないんだなあ…という部分、漠然と「この小節の16分音符が並んでるところ」と捉えたりしますが、パッセージ全体が弾けないのではなく、大抵はそのうちの「たった一箇所」、音が抜けるとか間違えた音を弾いてるだけなんですよ。
しかも、抜けるならその音はいつも決まってるし、間違えるならその間違え方もいつも同じです。
(つまりその状態で体が覚えてしまってるわけです)
ミスする原因を突き止めてそれを潰し、正しい状態で上書きしてから前後と上手くつなげれば、弾けることになります。
ただし、このような部分が曲の一部にとどまるならいいですが、あっちもこっちもこのような分解練習が必要だと、それは現状の自分にとっては「難しすぎる曲」ですから、もう少し力をつけてから挑戦した方が良いでしょうね。
by REIKO (2016-11-19 15:29) 

Enrique

REIKOさん,おっしゃる通りですね。弾けない原因究明と対策が必要です。
鍵盤とも共通点はありますが,ギターの場合,左右のシンクロで音を紡いでいるので,左手だけだと音の無い練習,右手だけだと音がデタラメの様な練習が必要です。マトモな音を出す方が楽ですが,却って仕上がらないことがあります。右手なのか左手なのかシンクロの問題なのか分からないままやっているとどんどん下手になります。
ギターでは楽なところと難所との差が極端な様に思います。特殊な押さえとかは基礎練習積んでいても難しいもので,曲の上での練習が必要です。ギターを弾かない作曲家の作品などは全く予想外の運指になる事もあります。
by Enrique (2016-11-19 18:32) 

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