息子に楽典を教える(1) [音楽理論]
学ぶことはあっても,教えることなど一生無いと思っていた楽典を,高校生の息子に連夜教えています。
私のころは,小中学校で楽譜を読むのに困らないくらいの最低限の楽典は習ったのですが,息子の時代は,いわゆる「ゆとり」の世代でもあるためか,音楽は好きでも,いわゆる楽典関係は全然知りません。
もちろん,楽典「だけ」知っていてもあまり意味はありませんし,音楽を聞いて楽しむ分にはさして要らない知識でしょうが,演奏するとなると,少しは必要そうです。ちょうど外国語の文法の様なもので,ネイティブな人には何ら必要ないでしょうが,そうでない人にとっては重要な指針にはなります。
ドラムをやっているので,音符の長さやリズムの方は大丈夫そう?なので,音の高さや調に関しての講義です。
息子に教えた内容を振り返ってみます。彼はポピュラー系が望みなので,なるべく音名はコードネームなどで使われる英語系で行きます。
まず,最初はキー(調)の話。ピアノで。Cのキーは調号無し。#や♭は冒頭には無し。白鍵を弾いてみる。これが音階の基本で,EとF,BとCの間には黒鍵が無く半音同士。それ以外の音程は全音。ギターの指板上の場所も示す。
これが現代のメジャー・スケールの基本。
では,キー(調)を変えていくとどうなるか?
例えば,CDEFのDを新たに出発音にすると。
そのまま順番に白鍵を弾くと。。。なにか変な感じがする。FとCが半音低く感じる。どうも我々は,第3番目の音と第4番目の音の間が半音,第7番目の音と第8番目の音(出発音のオクターブ上)が半音になっている音階に慣れているようだ。
Dを出発点にして,Cを出発音にした音階と同じ様なかんじの音階を作るためには,低く感じたFとCにシャープをつける必要が出てくる。譜面とギターの指板も示しておく。
楽譜では,FとCに#が付けることになる。このキーでは,共通にこのパターンで#がついたスケールを使うことになるので,冒頭にまとめて付けておけば,音符毎に付ける必要が無くて楽譜が見やすくなる。この様な#や♭のセットを調号(キー・シグナチャ)という。
次に,Eを出発音にすると,さらに低く感じる音が増えて,FとCに加えて,GとDにも#をつけないといけない。
次はF。あれ,今度はあまり変化記号無しで行けるけど,Bが高く感じるので,これに♭を付ける必要が出る。
同様にG。これもあまり変化記号無しで行けるが,Fが低く感じるので,これに#を付ける必要が出る。
同じようにやっていく,出発音をAでやると,#が3つ,Bでやると#が5つとなる。
これで終わり?
まだある。黒鍵の音を出発音にするキーがある。こっちも全く同様に音感覚で音階音を見つけることが出来るのだが,記譜(ノーテーション)上,#が付くか♭が付くか,メンドウになって来る。
5度圏で考えると,上の関係が規則的パターンで覚えられるので楽。
5度圏というのは,時計の文字盤のように12音を並べたもの。並び方は0時をCとして,1時間づつ回して行くが,回し方は音階順ではなくて,5度づつ上げる。C→G→D→A→E→Bなどと。5度と言うのは,オクターブに次ぐ「完全な」音程で,パーフェクト・フィフスと言う。
Cは変化記号が0個で,1時のGのキーだと#が1つ,2時のDでは#が2つ,3時のAでは#が3つ,4時のEは4つなどと順番に増える。鍵盤でやったことがちゃんと対応しているはずだ。
♭系は5度ずつ下げる方で,11時のFのキーだと♭が1つ,10時のB♭では♭が2つ,などとなっていく。
以下に五度圏と,対応する調号を示しておく。
ここでは,最初の音を「出発音」と言ったが,正しくはそれぞれのキーのルート音というのが正しい。
今日はここまで(つづく)。
私のころは,小中学校で楽譜を読むのに困らないくらいの最低限の楽典は習ったのですが,息子の時代は,いわゆる「ゆとり」の世代でもあるためか,音楽は好きでも,いわゆる楽典関係は全然知りません。
もちろん,楽典「だけ」知っていてもあまり意味はありませんし,音楽を聞いて楽しむ分にはさして要らない知識でしょうが,演奏するとなると,少しは必要そうです。ちょうど外国語の文法の様なもので,ネイティブな人には何ら必要ないでしょうが,そうでない人にとっては重要な指針にはなります。
ドラムをやっているので,音符の長さやリズムの方は大丈夫そう?なので,音の高さや調に関しての講義です。
息子に教えた内容を振り返ってみます。彼はポピュラー系が望みなので,なるべく音名はコードネームなどで使われる英語系で行きます。
まず,最初はキー(調)の話。ピアノで。Cのキーは調号無し。#や♭は冒頭には無し。白鍵を弾いてみる。これが音階の基本で,EとF,BとCの間には黒鍵が無く半音同士。それ以外の音程は全音。ギターの指板上の場所も示す。
これが現代のメジャー・スケールの基本。
では,キー(調)を変えていくとどうなるか?
例えば,CDEFのDを新たに出発音にすると。
そのまま順番に白鍵を弾くと。。。なにか変な感じがする。FとCが半音低く感じる。どうも我々は,第3番目の音と第4番目の音の間が半音,第7番目の音と第8番目の音(出発音のオクターブ上)が半音になっている音階に慣れているようだ。
Dを出発点にして,Cを出発音にした音階と同じ様なかんじの音階を作るためには,低く感じたFとCにシャープをつける必要が出てくる。譜面とギターの指板も示しておく。
楽譜では,FとCに#が付けることになる。このキーでは,共通にこのパターンで#がついたスケールを使うことになるので,冒頭にまとめて付けておけば,音符毎に付ける必要が無くて楽譜が見やすくなる。この様な#や♭のセットを調号(キー・シグナチャ)という。
次に,Eを出発音にすると,さらに低く感じる音が増えて,FとCに加えて,GとDにも#をつけないといけない。
次はF。あれ,今度はあまり変化記号無しで行けるけど,Bが高く感じるので,これに♭を付ける必要が出る。
同様にG。これもあまり変化記号無しで行けるが,Fが低く感じるので,これに#を付ける必要が出る。
同じようにやっていく,出発音をAでやると,#が3つ,Bでやると#が5つとなる。
これで終わり?
まだある。黒鍵の音を出発音にするキーがある。こっちも全く同様に音感覚で音階音を見つけることが出来るのだが,記譜(ノーテーション)上,#が付くか♭が付くか,メンドウになって来る。
5度圏で考えると,上の関係が規則的パターンで覚えられるので楽。
5度圏というのは,時計の文字盤のように12音を並べたもの。並び方は0時をCとして,1時間づつ回して行くが,回し方は音階順ではなくて,5度づつ上げる。C→G→D→A→E→Bなどと。5度と言うのは,オクターブに次ぐ「完全な」音程で,パーフェクト・フィフスと言う。
Cは変化記号が0個で,1時のGのキーだと#が1つ,2時のDでは#が2つ,3時のAでは#が3つ,4時のEは4つなどと順番に増える。鍵盤でやったことがちゃんと対応しているはずだ。
♭系は5度ずつ下げる方で,11時のFのキーだと♭が1つ,10時のB♭では♭が2つ,などとなっていく。
以下に五度圏と,対応する調号を示しておく。
ここでは,最初の音を「出発音」と言ったが,正しくはそれぞれのキーのルート音というのが正しい。
今日はここまで(つづく)。
音楽理論、同じような内容を何回か他の本で目にしたことはありましたが今回ほど内容が理解できる説明はありませんでした。とても解りやすい内容です。私も息子さんと同席させて勉強させていただきますのでよろしくお願いいたします。続きを楽しみにしています。
by Tommy (2014-04-09 10:03)
Tommyさん。コメントありがとうございます。
ほとんど音楽知識の無い息子相手ですと,あまりメンドウそうな事も言えないので,そこが解りやすくなった理由でしょうか。あとは,音を出しながらというのが良いのでしょうけども。
どこまで続くか,やれるところまでやってみます。
by Enrique (2014-04-09 12:45)