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録音について [電気音響]


時々自分の演奏を宅録するわけですが,エレキギターなどを使ったDTMの記事は沢山ありますが,クラギの記事は殆どありません。ただ録ればいいので,凝った事は全く必要ないわけです。また,編集やエフェクトは邪道といった考え方もあると思います。私も余り好きではありませんが,聞きやすくする為には最低限のことは必要かなと思っています。もちろん理想的に録れれば,そのままが良いとは思います。それに演奏と録音のセットアップ両方に気を回すというのはムリなので,録音自体はカンタンがイチバンです。
何と言っても,マイクが一番大事です。コンデンサ・マイクロホンが必需品です。エレクトレット・コンデンサでもまあ良いでしょう。マイクはサウンド・ホールに向けるのが基本です。かつてのインチキPA屋さんは,ハウリングをおそれてか,指板の上に向けましたが録音では拡声はしないので,ハウリングの心配はありません。

コンデンサ・マイクならば少し離しても,十分音が入ります。当然のことながら楽器の音だけを明確に拾うのであれば近めに,周りの雰囲気やホールの響きまでを拾うのであれば遠めです。

以下に,最近の私の録音環境を記しておきます。

Microphone: RØDE NT4
Sound Interface: Mackie ONYX Blackjack
Computer: MacBook Air, OS10.7.5
Recording/Editing Software: Audacity 2.0.2

以前PCを使った時は本体のファンノイズに悩まされたので,もっぱらPCMレコーダ単体で録音していたのですが,Macではファンノイズが殆どないので助かります。この方法での録音は,レコーダ単体よりはちょっとメンドウですが,録音データが直接コンピュータに入りますので,転送する手間が省けます。

部屋は40m3くらいの洋室。ピアノとオーディオセットがあります。
床暖房があれば理想的なのですが,無いので,エアコンとファンヒータで部屋を暖めながら練習,録音時は切るという方針でやります。夏だと冷房で同じ注意が必要です。結局,録音環境としては,春・秋の家族が寝静まった深夜が一番いいですが,秋だと虫の声が入ったりします。

部屋が狭いので,キレイな残響など望むべくもありません。宅録で近接マイクで録音するのであれば,事後の多少のリヴァーブ付加も必要かもしれません。録り始めた頃は事後のリヴァーブは使っていなかったのですが,何やら肉声を聞いている様な気恥ずかしさ感があるので,少し掛ける事にしました。原音が分からない位たっぷり掛けたものもありますが,自分のイメージに合う響きにするには,調整が肝心のようです。以前使っていたDigiOnSoundでは,設定を色々いじって少し聞きやすい音にする事が出来ましたが,このごろ使っているAudacityでは,リヴァーブが2種類あります。

シンプルな方はGVerbと呼ばれるものです。Windows版ではこれだけの様ですがMac版ではApple:AUMatrixReverbというものがついており,これがものすごく調整部分の多いものです。
AUMatrixReverb.png

Small,middle, LargeのRoomとかHallとかいった予めプリセットされた調整が何種類もありますので,数字のみのGVerbよりもその意味では使いやすいのですが,帯に短し襷に長し感があります。プリセットされた大量のパラメータを自然(好み)なものに追い込めればGVerbよりも良いのでしょうが,そのヒマがありませんのでGVerbを使います。

おすすめの設定がネットにありますし,調整箇所が少ないので,全部いじってみても感じがつかめます。

初期設定が,以下の様になっていますが,これは超残響過多(残響音のみ)にセットされています。
GVerb.png
これを例えば以下の様に変えます。私の好みはほんの僅かなのでこのようにしていますが,かかり具合をみながら,最後の二つのボリュームを調整します。
GVerb2.png
最初のRoomsizeは[m]となっています。そのままの解釈なら部屋の一辺の長さでしょうか。平方メートル[m2]との解釈もありますが,だとしたら,数字が小さ過ぎる感じがします。作者に聞いてみないと分かりません。Reverb timeは残響時間で,ホールなどのものの定義(音圧が-60dBになる時間)と同じならば,数秒以内がいいところでしょう。

Dampingも正確な定義は分かりませんが,普通に考えると残響音の押さえ込み量です。この値が1に近いと残響音は直ぐに押さえ込まれ,0に近いと尾を引くはずです。

Input bandwidth,これも定義はよく分かりませんが,おそらく原音から残響の計算に回す分に掛けるフィルターでしょう。狭めた方が残響音がすっきりする感じがしましたので,少し狭めています。

Dry signal levelは残響分に対する原音分のレベルです。原音をDry signal,残響分をWet signalと言う様です。初期設定では原音が-70dB(信号レベルで約1/3000)にセットされているので,ほぼ残響音分だけになっています。通常は逆に0dB近辺にしないといけません。

Early reflection levelは文字通りすぐにはね返ってくるレベルの高い音で,音の明瞭度にも関わるようです。直接特定の壁などからはね返ってくる音をシミュレートしているものと見えます。このレベルでもけっこう音が変わるので,低めにしています。

最後のTail levelが通常の残響音の調整です。あちこち複雑に反射を繰り返しながら減衰して行く結果として現れる,ふわーっとした残響音です。

なお,初期反射と残響については,こちらのページにしっかりとした説明があります。

リヴァーブ量の調整は,上部の設定は常識的なところに固定しておいて最後の2つのボリュームで行うのが妥当の様です。無料ソフトで文句は言えないですが,GVerbでは毎回極端な初期設定にリセットされてしまうのが困ったものです(設定保存方法あるのかもしれませんが)。良好なパラメータをどこかにメモしておく必要があります。ゆくゆくは,Apple:AUMatrixReverbの方の調整も検討してみたいものです。

最近の録音では,タンスマンのカヴァティーナから「プレリュード」と「サラバンド」では以上のものを使いました。「スケルツィーノ」と「バルカローレ」ではまたお手軽にPCM-D1単独で録りました。前者はリヴァーブ無し,「バルカローレ」は少し響きが欲しかったのでわずかに掛けてあります。それらを,MacのiMovieに写真を貼った画像のアフレコに使ってYouTubeに上げました。
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