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充電器・コード類が煩わしい [科学と技術一般]

ノートパソコンにビデオカメラ,ケータイにデジカメにiPadに,PCMレコーダ,最近は万能のスマホの登場でビデオもデジカメもPCMレコーダも出番は減っていますが,捨てる訳にも行かず,溜まる一方なのが,その本体もさることながら,その充電器やらコード類です。
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私はマジックテープでコードを束ねていますが,それでも煩わしいです。
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ネットはWiFiで,キーボードやマウスもBluetoothで無線化していますが,残るはこの電源コード類です。

電源コードが中々無線化が難しいのは,ネットのデータやキーボード類などのやり取りはエネルギーを殆ど要しない信号であるのに対して,電源コードはエネルギーの授受が必要であるところです。信号は検出さえ出来れば必要に応じて増幅することが出来ますが,電源パワーの供給では弱まったらそのままエネルギーロスになります。

無線給電の方式には以下の3通りほどあるようです[1]
(1)電磁誘導方式
ごく近接でのみエネルギー伝達が可能です,給電側と受電側で十分な磁束鎖交が必要なので,離れると伝達効率が急激に落ちます。トランスのコアを切って向かい合わせたようなものです。空心コイルでも可能ですが伝達効率は悪いです。電気接点での結合でなく磁界の結合を利用したものです。既にかなり前からあります。水のかかる様なところ充電するには電気接点を使えないので便利です。以前使っていた電動歯ブラシがそうでした。接点は無いと言えドックに置く様な感じで非接触充電といったおもむきです。無線給電とは言え,有線接触式と大差無いです。

(2)共振トランス方式
これも電磁誘導には変りないのですが,共振を利用することで,距離を稼いでいます。MITで発表されて一躍脚光を浴び,最近Appleが特許申請したのはこの方式のようです。給電側のコイル直径の2倍程度まで9割かたの効率で電力供給することが出来るようです。Appleは1m以内の給電が可能としているので,給電側のコイルは結構大きいでしょうね。あちこちで開発されているシステムはこれですね。用いる周波数や共振の鋭さなど各社各様に工夫している様です。
いわゆるトランスではないですが磁界でなくて電界で共振させる方式もあるようです。

(3)電磁波放射方式
文字通り無線で電磁波を発射・受信すれば,距離は伸ばせます。しかし,信号として拾えれば良い無線通信とは大違いで,電磁波が広がれば,べらぼうに効率は低くなります。昔,大気圏外に太陽電池パネルを並べて,直進性の良いマイクロ波で地上に電力を送電するという話がありましたが,もしそれをやったら送電空間は危険立ち入り厳禁です。鳥が飛ぶと焼き鳥で落ちてきます。

IT機器の小電力供給ではほぼ実用化段階に入ってきた(2)の共振トランス方式は,原理的にはテスラコイルです。テスラは,エジソンの執拗な妨害にもめげずに現在につながる交流方式を実用化させただけでなく,最新技術の無線給電できる装置を開発していたのですから,驚異的です。エジソンは無線給電どころか交流システムも全く理解できなかったわけですが,実業家としては大成しました。世のニーズに対する才覚に優れていたのでしょう。現在エジソンの発明で使われているものは殆どありませんが,テスラの交流技術は100年以上使われても当分変わる事はないでしょうし,無線給電技術は100年経ってやっと世の中が追いついて来ました。当時はIT機器などありませんから,各戸で使う電力は電灯が主力でしょう。地球磁場の低い振動に共振させて世界中に無線給電する「世界システム」を作ろうとしたのですが,100年以上前では余りにも先進的すぎたのです。ヒューマニストで真の大天才であるのにも拘わらず,正当な評価どころか似非科学者扱いまでされるのはこの辺にも事情があるのでしょう。

[1]例えば,http://www.ieice.org/~wpt/paper/WPT2010-07.pdf
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アヨアン・イゴカー

コード類と言うのは本当に邪魔で煩わしく、美観も宜しくなく、いいことは一つもありません。電源や情報がコードなしで移動できたら、どんなにか便利なことか、そう思います。
エジソンはインフラの整備で電気を普及させたようですが、自給自足できる電源があれば送電線も電線もいりません。いつかは予測できませんが、将来は、家庭用については自家発電が主流になるような気がしています。
by アヨアン・イゴカー (2013-02-11 01:24) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメントありがとうございます。

そうですね,情報の無線化はもうほぼ出来ています。装置の中の配線すら無線化の流れです。残るは電力です。今後机の上くらいは線が無くなるでしょう。自動車の無線給電も盛んに研究されています。
エジソンの直流式では,1マイルも離れると電圧降下して使い物になりませんでした。しかし彼のすごいところは,ダメと見るや直ぐに会社を買収して,さんざん悪宣伝した交流式を取り込んでしまいました。発明家としてよりも実業家としての才があったのだと思います。近年でもビルゲーツなどにその才を見る事が出来ます。
たしかに電力は自給自足出来れば送電網は要らなくなります。ただその最右翼の太陽光でも発電出力は定格の数分の1(日中晴れの日のみ)ですので,送電網に接続していないと実用的ではありません。ガス燃料電池でもガスの供給が必要なので結局は同じです。電力の自給自足の為には太陽電池の効率の飛躍的向上とか蓄電技術の向上などのブレークスルーが必要です。実は水が使えるところには限られますが,川水で水力発電するのが最も現実的なのですが,水利権(別に水そのものを消費する訳ではないのに)や設備の許認可などの社会的課題をクリアしないといけません。
by Enrique (2013-02-11 19:51) 

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