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譜面と曲の印象 [曲目]

ぱっと見た譜面の印象と音にした時の印象が違う曲があります。

もう2/5世紀ほど前のことになりますが,以下に示すアルハンブラの譜面を見たときそう思いました。なんでこの譜面が,あんな音になるの?!
Alhambra.png

これはトレモロ奏法ですから無理ないとしても,以下に示すソルの練習曲Op.35-22ロ短調,通称「月光」もそうでした。「ふづら」だけ見たら,単純な練習曲に見えますが,音を出したら♪♪♪。そこはソル先生の非凡さです。Op.29-1変ロ長調(セゴビア編19番)も一見アルペジオの中級練習曲ですが,なかなかどうしてですね。
Op35-22.png

他の分野,例えばピアノ曲では以下に示すショパンの幻想即興曲がそうですし,ドビュッシーのアラベスクIは文字通り唐草模様の様に音がからみつきます。オケのスコアなどをご覧になる方ならば,そう言う曲はイロイロあるのではないでしょうか?
FantasieImpromptu.png

音響的効果や耳の錯覚的効果を生かした曲なのではないかと思います。一つの見方が,そう言う曲は,高度な作曲技法を使っていて,名曲の可能性が高いのではないでしょうか。

さて,演奏する立場ではどうでしょうか?
とくにこういう曲では,元の楽譜は正確な音の位置を示す地図ではありますが,その視覚的イメージよりも音のイメージや場合によっては指板や手のイメージの方が大事かもしれません。「暗譜する際の取り組み方は,曲の種類によって結構変わるのではないか?」と思います。

極端な例がヴィラ=ロボスですね。場合によってはコードびき奏法のような覚え方でいいのではないでしょうか。ギター指板上で暴れまわったらこんな曲になりました!という曲たちです。手で覚えるのが正解で,手っとりばやいと思います。ピアノで言ったら「猫ふんじゃった」奏法ですね。初期の「ブラジル民謡組曲」はまだおとなしいですが,後期になるにつれて,暴れ方がひどく(ギター的には弾きやすく)なります。5つのプレリュード集はご承知の通りですね。近現代の作曲家ではコンポーザギタリストを除いてはギターを弾けない人が殆どですから,こちらは音の方が単純なのですが,奏法が複雑になります。
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夢笛myu

この3つの楽譜の色は、Enriqueさんの印象でしょうか?(笑)
こうしてギターとピアノの楽譜を見比べてみると、ギター譜にはペダル記号が無いのが、ピアノ譜に比べると不完全に思えますね。
実際、このギター譜二例を、バッハのインヴェンションみたいに音価どおりに音をつなげて(消音して)弾いたら、曲になりませんものね。
でも考えようによっては、そういうアバウトな所が、ギターのおもしろさかもしれません。
by 夢笛myu (2012-11-13 12:50) 

Enrique

夢笛myuさん,コメントありがとうございます。
楽譜のバックの色は,白黒だと色気が無いかなと思ってつけました。曲のイメージとはまあ当たらずも遠からずですね。長短調部や人によっても違うと思います。
ピアノはペダルのマジックがありますね。ギターでも共振をうまく使えば,滑らかな演奏になりますが,明示的に書けるものではないですね。あと多弦ギターですと,いわばペダル踏みっぱなしですから,消音が大変でしょうね。
あとギター譜では,奏法のスラーとごっちゃになるためか,フレージング・スラーは書かれないですね。一段譜に詰め込むのでムリがあるのかも知れません。声部の書き分けとかも,大ざっぱなところがありますね。ソルはその辺きちんとしたかったようで二段譜で出版したところ,大ブーイングが起こって,一段譜に戻したようです。
by Enrique (2012-11-13 17:40) 

アヨアン・イゴカー

>近現代の作曲家ではコンポーザギタリストを除いてはギターを弾けない人が殆ど
ギターを弾くことができませんが、ギターの曲を書いたことはあります。以前ブログにも発表した"As I was going down Treak Street"などもその一例です。トレモロ奏法を使っていますが、速度が速いので、実際に弾いたらどうなるのだろうと興味をもっておりました。
ブログやYoutubeでは見発表ですが、『冬のキリギリス』と言う曲がありますが、こちらもギターとハーモニカのために書きました。
演奏そのものが出来ないと、その楽器特有の好さが充分に発揮されないことがありますが、これは奏法を勉強するによって解決しなければなりません。
by アヨアン・イゴカー (2012-11-18 15:22) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメントありがとうございます。
Bachのリュート曲が少ないながらも生まれたのは,Weissなどのリュート名人作曲家との交流だったらしいですし,現代では多くの一流作曲家からセゴビアの演奏と要望により多くのギター曲が生まれました。我が国では荘村清志さんとの交流で生まれた武満のギター曲が有名ですが,これは一流プロでないと,まともに弾けませんが。
総じて難しいですね。ポンセやC=テデスコはかなりギター向けに作ったと思われますが,それでもかなり難しいです。ロドリーゴはギター作曲家と見なされます(本来はピアニスト)が,わざと弾きにくく作ったのでは?と思えるくらいのものですね。セゴビアがアランフェスを弾かなかったのは技術的理由がかなりあると思います。
アヨアン・イゴカーさんのギター曲もどういうものか,大いに興味ありますね。譜面見て見たいものです。
by Enrique (2012-11-18 19:11) 

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