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ギターで弾くバッハ~リュート曲編~ [曲目]

これに関しては,私のギター事始めを書くことに他ならないので,話が長くなりそうなので,適宜割愛して書きます。

バッハの場合,作品番号が,バッハ作品番号BWVで表わされます。普通の作曲家の作品はおよそ年代順の作品番号OpusとNumberで表わされますが,バッハやヘンデル,フローベルガーなどには,この手の作品番号と言うよりも,整理番号・目録番号と言ったものがついています。テレマンやスカルラッティの様に整理番号が2つ併存している場合もあります。モーツァルトならK(ケッヘル)番号,シューベルトならD(ドイッチュ)番号などの作品を整理した人の名前がついています。

さて,ギターで弾くバッハには,ギターの親戚筋の楽器にあたるリュートのための曲を中心に人気が高いようです。

リュート曲はBWVでは,995番から1000番までに分類整理されています。あと,ヴァイオリン・パルティータ第3番からの編曲の1006aでしめて7曲あります。7「曲」とはいっても,6曲セットの組曲が3曲と5曲セットのBWV997,3曲セットのBWV998,あと単一楽章曲2曲ですので,バラせばしめて28曲となります。

BWV995,リュート組曲第3番といわれますが,無伴奏チェロ組曲第5番BWV1011からの編曲です。オリジナルはト短調ですが,ギターではイ短調で弾かれる事が多いようです。原曲がチェロ曲で技術的にはさほどでは無いですが,これをそれなりに聞かせるのは至難の業でしょう。

BWV996,リュート組曲第1番といわれます。ホ短調というなぜかギター向きの調性で,オリジナルのリュートでは極めて弾きにくいので,オリジナル楽器で弾くほうが移調奏するという不思議な曲です。ギター向きということもあって,アルマンドとかブーレとか単独で取り出しても良く弾かれると思います。プレリュードは結構大変ですし,終曲のジーグはギターでは難曲の部類でしょう。

BWV997,リュート組曲第2番といわれます。複雑なフーガを含みます。オリジナルはハ短調ですが,ギターではイ短調で弾かれます。3フレットにカポタストをすれば,音程的にはオリジナル調にすることが出来ます。

BWV998,「プレリュード,フーガ,アレグロ」と呼ばれて愛好される曲です。フーガは結構複雑です。あまりバッハらしく無いところがあるので,かつては偽作ではないか?といわれた様です(確かにあれ?と思うところが随所にあります)が,原譜が日本の大学に所蔵されており,真作間違いないようです。オリジナルは変ホ長調ですが,ギターでは6=D調弦にして,半音低いニ長調で弾きます。カポタストをすれば原調で弾けますが,それがどれほどの意味があるかです。ギターでは超人気曲ですね。

BWV999,「リュートのためのプレリュード」として親しまれています。リュート向きのハ短調で書かれていますが,ギターでは全音高いニ短調で弾くことが多いようです。鍵盤曲集にやさしいバッハの曲として入っている事も多く,ウチの妻も子供時代弾いて好きな曲だったと言っていました。ギターでもバッハの入門的な曲として弾かれることが多いですが,小品ながら立派な曲ですし,バッハらしく弾くのは結構大変です。

BVW1000,単独の「フーガ」ですが,無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番BWV1001の第2曲のフーガからのバッハ自身による編曲とされています。原調はヴァイオリン原曲と同じト短調ですが,こちらもギターでは全音高いイ短調で弾かれることが多いようです。もしこれが本当にバッハ自身による編曲であれば,組曲の中から,拾い出して演奏することや,他の楽器で演奏することに関して,バッハ自身はさほど気にしていなかったことになります。これ弾くこともさることながら,暗譜が大変ですね。

BVW1006a,リュート組曲第4番といわれます。原曲はヴァイオリンパルティータ第3番BVW1006,ホ長調ですから,これまたギター向きの調。華やかな曲相と相まってこれも人気曲です。プレリュードが大変ですが,これをこなすと,次のルーレ,ロンド風ガヴォットと,割とすんなり行く曲です。後に行くほど楽になります。オリジナルのリュートではやはり弾きにくいので,普通は移調奏をするのでしょう。世の中ではギターでの演奏の方がはるかに多いと思います。なお,冒頭のプレリュードは,カンタータBWV29のオルガンで演奏されるシンフォニアにも使われているメロディで,余程バッハお気に入りだったと見えます。

一昨年出た,現代ギター社のリュート曲全集です。私は80年ごろでたものも持っていましたが,別冊楽譜だけが残っています。リュート組曲に関してはこれらを含め楽譜が手元に何バージョンかあります。

現代ギター増刊 ギターのための原典版準拠バッハ・リュート作品全集 2010年 07月号 [雑誌]

現代ギター増刊 ギターのための原典版準拠バッハ・リュート作品全集 2010年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 現代ギタ-社
  • 発売日: 2010/06/21
  • メディア: 雑誌



録音も沢山,沢山ありますが,例えばジョンの若い時のもの。いまだに色褪せてないですね。

バッハ:リュート組曲

バッハ:リュート組曲

  • アーティスト: ウィリアムス(ジョン),バッハ
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 1995/03/24
  • メディア: CD



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夢笛myu

私も、20歳頃にクラシックギターを再開したのは、バッハを弾きたい事が目的でした。ここに掲げられている以外に、小船幸次郎編曲のチェロ組曲の全曲編曲版なども見ました。
実際に人前で演奏したのは、BWV998のプレリュードとフーガだけです。
この曲、バッハの変ホ長調の曲に共通するある種の雰囲気を持っていて、とても好きで全楽章やりたかったのですが、アレグロは速く弾くのが難しく、できませんでした。
もちろんギターでですから、6弦をミからレに下げてニ長調で、なおかつ弾きやすさのために、3弦ソをファ#に半音下げて、つまりルネサンスリュート風調弦でやりました。
フーガは確かに暗譜が大変でした。今やれと言われてもできません。
by 夢笛myu (2012-11-15 20:21) 

黒板六郎

大昔、先輩にジョンのリュート全集(もちろんLP)を録音してもらい、大事にだいじに聞いていました。なかでも998のフーガは絶品でした。いまだあれ以上の演奏を知りません。あこがれて演奏会で自虐テロ・・・
しかしこのCD,998がないんですね。うむむ。
by 黒板六郎 (2012-11-15 21:22) 

Enrique

夢笛myuさん,コメントありがとうございます。
私が学生時代弾いたのは,BWV998はプレリュードだけでした。当時ジョンの録音は知らなかった(ステレオ持っていませんでした)のですが,FMで流れたパリコンのセルシェルの演奏に驚き,6弦ギターではマトモに弾けないのでは無いかと思って,鍵盤に走り,バイエルからやりましたが,バッハを弾くには両手で音が出せる鍵盤のほうがずっと楽だと言うのが分かりました。
しかし,大変ですがフレットボードで弾くのも価値があるということにも気づき,十数年前再開したときすぐに弾いたのが998でその時はアレグロまで暗譜していましたが,弾かなくなると忘れてしまいます。引っ張り出すには少し時間が掛かりそうです。
3弦=Fisというのは初耳でした。ダウランドやるには良くやりますが,私は余り得意ではないです。
by Enrique (2012-11-16 07:03) 

Enrique

黒板六郎さん,コメントありがとうございます。
現在のジョンのCDには,BWV998は割愛されているのですが,今はオリジナルのリュートや鍵盤などにも素晴らしい演奏があるので,参考するものには事欠かないのではないでしょうか。
私は,セルシェルの11弦とドンボワ(だったか)のバロックリュートが事始めだったので,6弦楽器ではまともに弾けないのではないかとさえ思っていましたが,再開後6弦楽器の演奏を聞いて考え直しました。もちろん,依然ジョンの演奏は楽器に依らず最高レベルですが。
by Enrique (2012-11-16 07:11) 

Cecilia

以前BWV999をピアノで弾きアップしました。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2009-08-06
BWV1006、同じメロディーのBWV29のシンフォニアも大好きです。
by Cecilia (2012-11-16 09:03) 

Enrique

Ceciliaさんのソノ演奏に刺激?されて,私も弾いてみました。
http://classical-guitar.blog.so-net.ne.jp/2010-02-06
リュート組曲や無伴奏ヴァイオリンやチェロにはバッハのエッセンスが詰まっている感じがしてどれも好きです。ギターで弾くのが難しいのが玉にキズ(リュートで弾くほどではないでしょうが)。
by Enrique (2012-11-16 09:47) 

Cecilia

あっ!そうでしたよね~。
ってそうだったように記憶していたのに・・・すみません。
Enriqueさんとこの曲での交流があったように思うけれどあれ~?って思いながら書いていました。
ちょっと前にレッスンを受けたリュートの先生のバッハ演奏も聴いていますがとても素敵です
by Cecilia (2012-11-16 17:43) 

Enrique

Ceciliaさん,再コメありがとうございます!
もう3年前後になるのですね。震災前は一昔前の様な気がします。
鍵盤曲に比べたらリュート曲はごくごく一部ですが,やはりバッハのエッセンスがあるので,比較的近いギターで弾いてもそれなりに良いと思います。
チェンバロやリュート,クラヴィコードなどで弾ければもちろん良いのですが,それは時間が出来る定年後とかのお楽しみにと思っています。
by Enrique (2012-11-16 18:19) 

黒板六郎

レオンハルトがチェンバロでリュートの一番や998を弾いてますが、ギターだと七転八倒するのに、まるでなんでもないようにさらりとこなしてます。でももしかすると、本来バッハが求めていた演奏なのかもしれませんが。
by 黒板六郎 (2012-11-17 06:20) 

Enrique

黒板六郎さん,再コメおおきにです。
レオンハルトの演奏は如何にも学者先生のかんじで,バッハはこうでなくてはイケナイという方も多いかもしれません。
しかし,バッハ自身は鍵盤の大名人だったわけで,朝飯前に作曲出来る鍵盤曲を何百曲も残しながら,わざわざリュート曲を何曲か残したのは,その音色や強弱やニュアンスを好んだはずですので,これをチェンバロで弾いてしまうのもどうかとも思いますね。鍵盤で弾いたら初級曲です。もちろん,バッハ自身も鍵盤で作曲したでしょうが,やはりリュートで弾いて欲しかったわけで,ギターで弾いても許してくれると思いますね。
by Enrique (2012-11-17 06:41) 

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