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節電の具体策(エアコン編) [科学と技術一般]

今回は家庭の消費電力の東横綱,エアコンの節電について考えてみます。メーカーのページやら,電気保安関係のパンフレットやらに出ていますが,私見交えて書きます。

温度設定出来ないような,よほど古いものを除けば,設定温度を上げれば,設定温度まで下げる温度差が小さくなり電力を余り食わない道理です。現在のものはインバータできめ細かに運転を制御しますから,室温が設定温度になれば自動的に消費電力を落とします。消費電力は,最初の設定温度に達するまでは大きく食い,その後は窓などからの熱の流入分や人体や室内の電気製品などの発熱分を室外に捨てるのに食います。ですから,エアコンを運転する際は以下の事に留意します。

 ・まず高まった室内の熱気はエアコンを使わないで通気などでとる
 ・部屋の断熱を良くする
 ・直射日光はさえぎる。室内のカーテンでは熱線が室内に入ってしまうので,室外のブラインド,よしずや植物などで遮るのが効果的

エアコンは熱を移動させるのに回すコンプレッサが最も負荷になり電気を食いますから,基本的には温度差が大きければ大きいほど消費電力は大きいわけです。冷房でも暖房でも熱の流れが逆になるだけで基本的には同様です。冬の暖房の方がより温度差はハゲシイいので,冬季は燃焼暖房を併用したりしますが,夏はエアコンだけに頼ることが多くなります。

設定温度を高めにするのはまずエアコンの節電の基本でしょう。その上で,扇風機を併用するのもいいでしょう。
リンケの体感温度の式(T=t-4√v)というのがあり,風速v=1m/秒で体感温度Tが気温tよりも4度下がるようですから,この位のそよ風程度の風でも大変効果的です。その分設定温度を高く設定できるはずです。エアコンの設定温度を大幅に上げるのならば,むしろ切ってしまって扇風機だけにしても快適さは大差なくて,消費電力は格段に下がるはずです。

エアコンに扇風機を併用するときは,テキトーに空気をかきまぜるのではなくて,室内の空気の循環を考えて設置する必要があります。扇風機はエアコン下の床面に設置し,エアコンから出た冷気を体の高さに送り,反対側の壁と天井を伝ってエアコンに戻すのが良いようです。

なおエアコンの送風機能は扇風機の代わりにはならないそうです(エアコンは普通室内上部に設置されるので冷やさない空気は降りてこない)。

エアコンはもちろん省エネ型のものに越したことはないです。省エネ性能はCOPという値で表示されています。現在このCOP値は5~6のものが主流のようです。これは,消費電力の5倍から6倍の熱エネルギーを移動させることが出来るわけですが,これはクルマの燃費のようなもので,なかなかカタログ値通りにはいかないようです。私見ですが,まだ使えるエアコンを特に省エネ型のものに買い替える必要は無い(壊れてからでも十分)と思います。

吸気・排気抵抗が大きくならないようにフィルター類の掃除,室外器の放熱を良くすること(直射日光当てず回りを囲まないこと)などが重要です。 

その他,服装はもちろん,打ち水,涼しそうな食べ物や植物,風鈴などの心理的視覚的聴覚的効果も決してバカにならないと思います。この辺はエアコンからの決別で,ソフトパワーの領域ですね。

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Cecilia

考えてみたら今のエアコンを20年も使っていますが、買い替えは壊れてからと思っています。
今のところ家にいなければそんなに使うこともないのですが、夏休みは家族が家にいる時間も長く、対策を考えなければなりません。
皆で同じ部屋で過ごすことができればよいのですがそれも大変ですね。エアコンは一部屋しかなくて後は扇風機なのですが、もう一台くらい扇風機を増やそうかと思ったりします。


by Cecilia (2011-07-07 17:54) 

夢笛myu

私の家にはエアコンがありません。これは田舎(和歌山県)の古家だから可能なのかも知れませんが。梅雨時の湿度の高い一時期さえしのげば、あとはなんと過ごせます。
いつも天気予報を聞いていて不思議に思うのは、大阪>和歌山>潮岬の順に最高気温が低いことです。普通に考えると逆のように思うのですが、やはりヒートアイランドが原因なのでしょうか。
by 夢笛myu (2011-07-07 20:01) 

夢笛myu

すみません。
「最高気温が低い」→「最高気温が高い」
に訂正します。
by 夢笛myu (2011-07-07 20:04) 

REIKO

(夢笛myuさんに続きまして)ウチにもエアコンがありません。
古い和室のアパートなので可能なのかもしれませんが。
(畳は、夏涼しく冬暖かいです)
なので、一般家庭も15%(でしたっけ?)の節電とか言われても、ほとんど方法がないです・・・古い冷蔵庫を買い替えるくらい?
扇風機はパソコンに当ててるし。(笑)
最後の「心理的視覚的聴覚的効果」は、ほんとに私もそう思います。
夏の暑さと戦うのではなく、暑さを楽しむ気持ちでいれば、30度以上の方がむしろ快適です。
冷やしラーメン大盛り+冷奴(+食べるラー油)+枝豆+トマトサラダ+食後にアイスコーヒー・・・と食べても、体が冷えないのは夏ならではですね♪
by REIKO (2011-07-08 01:19) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメント有り難うございます。
当家もずっとエアコンはピアノ室の1台のみでしたが,数年前の改修で断熱にして,リビングや子供部屋等にも付けました。電気工事は私が(免許のある知人と)やったのですが,エアコンは(工事器具が無いので)プロに頼みました(それでもエアコン分とおつりが出ました)。ただ妻が電気容量を下げたので,同時に運転するとブレーカが落ちます。

使えるものを(省エネ型に)買い替えるのは必ずしも省エネにならないので,壊れてからのほうが良いと私も思います。
扇風機は導入コストも運転コストも少ないので,この際良いと思いますね。
by Enrique (2011-07-08 05:57) 

Enrique

夢笛myuさん,コメント有り難うございます。
環境の良いところにお住まいのようですね。自然の涼しさのほうがずっとよいですね。
夏は海岸端の方が最高気温は低いようですね。陸地の方が比熱が小さく焼け込むからでしょうか。最高気温記録するのは内陸部ですね。大都市部はやはりヒートアイランドでしょう。エアコン等含め人間活動による廃熱で暑くなり,またエアコンを必要とするという悪循環ですね。
by Enrique (2011-07-08 06:12) 

Enrique

REIKOさん,コメント有り難うございます。
みなさんにエアコン節電の細かな話はあまり必要無かったようですね。(使わ)無いのが一番の節電ですね。
和室は特に夏の涼しさを考慮していますね。私の実家では夏には障子を簾戸に変えたりして夏をしのいでいました。
アジアンなモンスーン地域に洋風的建築を持ち込んだのがそもそもマチガイで,そこにエアコンが必要なのですね。部屋全体を冷やそうという発想はあまり好きではありません。快適度は,気温そのものよりも風と湿度,それも顔の周辺ですね。
やはり最後は気持ちですが。
by Enrique (2011-07-08 06:37) 

アヨアン・イゴカー

>リンケの体感温度の式(T=t-4√v)というのがあり,風速1m/秒で4度下がりますから

面白い公式があるのですね。ところで、自分自身を団扇で扇ぐのはどのくらい冷却効果があるのか、これは量ることができるのでしょうか?なぜなら、自分で仰ぐことによってエネルギーを放出するからです。汗だくになって団扇で扇いでいるのはちょっと滑稽な絵かもしれません。
by アヨアン・イゴカー (2011-07-09 15:23) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,こちらにもnice&コメント有難うございます。
体感温度の式というものは,当然実験式(?)でしょうから,理論的根拠は無いと思います。別の式もあるようですが,良く言われる「1mで1度下がる」というのも風速10~20m/秒程度で近似的に成り立ちます。
団扇というのも,自分でエネルギー消費して温度を下げている妙なものですが,自動車のエンジンが自分でファンを回して(最近は全て電動ですが,もとはエンジンの動力で発電しています)冷却しているのと同様,意味あることと思います。発熱よりも冷却熱の方が大きいと思います。汗をかくとさらに気化熱で冷却効果が高まります。
扇ぐことによる体の発熱量は生体のエネルギー変換効率によりますが,この効率が良ければあまり発熱せずに運動(風)に変えることが出来て冷却可能と思いますが,これが悪いと,おっしゃるように,冷却効果よりも発熱が上回ってしまうかもしれません。
それと,顔を扇ぐところがポイント?かもしれません。顔はわずかの風でも涼しく感じるところですから。
by Enrique (2011-07-10 01:49) 

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