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ザリガニとゴキブリ [雑感]

アメリカザリガニを小学中学年くらいの女の子たちが捕っているのを見かけた。
先日ジャンバラヤの話を書いたが,この女子たちはもちろん食べるために捕っているわけではないだろう。余り日本ではザリガニの食習慣はない(理由は色々考えられる)。
私らの頃は男の子の行為だったものだが,別にどっちでも良いぞー,ついつい応援したくなったが,変なおじさんだと思われたらいけないので我慢した。ザリガニでも昆虫でもカエルでも,捕らえたり,いじめたりするのを,「かわいそうだからやめて」というのは,大人の感覚で,多分思春期くらいまではそんな感覚は無い。それに,それがトカゲとかヘビだったら,「きもちわるいからやめて」となる。おとなの感覚だって身勝手なものだ。どんどん気がすむまで捕るのが良い。

子供が昆虫や小動物とたわむれるのは,あれは「おともだち」付き合いなのだ。相手は相当迷惑しているだろうが,そういう好奇心とも無邪気なサディズムともつかない子供の感覚なのだ。仏教徒は無用な殺生はいけないのだが,子どもの成長に寄与してくれるならありがたく頂きましょう。わが母親はお盆の間はとったらダメヨといって網を作ってくれた。

少なくとも,自分がそうだった。毎日毎日虫を捕っていた。しかしある日,ふともがく虫の姿がかわいそうになって,それ以来むやみに捕ることを止めた。というか,出来なくなった。それが成長なのだと思う。子供が虫を捕るのを無理に止めさせると,いけないものが出てくるかも知れない。昆虫が減ったのは子供の責任ではなくて大人の責任なのだ。生息環境が保たれていれば,子どもたちがいくら大挙して捕獲作戦を展開しても捕りきれるものではない。昆虫の方がケタチガイに数が多いし繁殖力も旺盛だから。

大人になって,自分の子供たちにも,それを実践しようとしたが,私の持っている標本箱に危険なにおいを感じたようで,彼らは虫マニアにはならなかった。末娘はまだ,箱に入ったチョウチョは何を食べてるのかな?などと無邪気なことを言っているが,この子はチョウを素手で捕まえるのがウマイので,素質はあるのかなと踏んでいるが,妻は音楽を仕込んでいる。細心さと敏捷さはピアノ演奏にも必要だとは思うが,バイエルがなかなか終わらない。昨年度はカマキリとモンシロチョウやショウリョウバッタなどを一緒に何匹もムシカゴに入れて,チョウやバッタが食べられるのを観察していた。

長女はカエルの外科医だった。治療と称してかなりの数を死亡させた。長男はバッタが好きだったが,小学低学年の時セミの自由研究を手伝ってしまったのがアダになって昆虫方面の興味を失ってしまったようだ。ハチに刺されて寝込んだのもトラウマになっているのかもしれない。(これは,妻が大騒ぎしたせいも多分にある。アシナガバチに3か所や4か所さされたくらいでどうなるものではなく,むしろ体の抵抗力をつけるのに良かったのだ。)まあ,子どもたちはまだ成長過程でゲタを履くまで分らないが,なるべく,人や自然と触れ合うことを実践させている。

学生時代,夕方寮の窓を開けて電気をつけたまま部屋を出ていた。たまたま羽アリの羽化日に当たったようで,部屋に戻ると,白いシーツのうえがびっしり羽アリで覆われていた。見るも凄まじい光景だった。虫の嫌いな人ならば卒倒しそうな光景だったのだが,あまりの見事さに感動して,しばらく立ちつくして見ていた。虫を旧字で蟲と書くように,沢山うじゃうじゃいるのが昆虫の本質なのだ。たしかに沢山のウジとかは私も嫌いだが,それとて,生モノをきれいに掃除してくれる一プロセスなのだ。繰り返しになるが,子供が虫の殺戮を繰り返しても,昆虫界にはぜんぜん影響しない。問題なのは生態系もろともの破壊と,一部マニアによる希少種の乱獲くらいだ。子供の精神の成長にも寄与してくれる昆虫の存在は本当にありがたい。

というか,考えようによっては,人間の方がよほど絶滅危惧種なのだ。さほど繁殖力無いのに,せっせと自分で自分の首をしめている。だから,ゴキブリおやじと言われても,ぜんぜん悪い気持ちはしない。敏捷でスマートで生命力があって。何億年も生きてきた彼らは人類が滅んでも悠々と生きているはずだ。

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Cecilia

子供の頃、交尾しているトンボやセミを引き離すのが好きでした。(苦笑)
以前学童保育で1年近くバイトをしたことがあります。
ある子が蝙蝠を捕まえてきて可愛がっていました。
指導員たちは衛生上の問題を気にして「逃がしておいで。」と言いましたが、いつまでも可愛がっていましたねえ。


by Cecilia (2010-05-24 09:13) 

Enrique

Ceciliaさん,nice!&コメントありがとうございます。
小さい時は男女とも,昆虫小動物に興味を持ちますね。交尾中は活動が鈍るので子供に捕まりやすいというのもあります。鳥に食べられるよりも,幼Ceciliaさんに捕まったほうが幸せだったかも知れません。子供の興味は段々プラモだとか人形だとかに分化して行くのでしょうが,私はいい歳まで捕ってました。たぶん小学校の先生の影響も大きいのでしょうね。
コウモリも捕りました。ものすごく体がやわらかくて,鳥かごに入れてもかごからすり抜けて必ず居なったものです。子どもには宝物でも衛生面の問題もあるので,指導上は面倒なのでしょうね。
by Enrique (2010-05-24 14:21) 

てですこ

私も虫は好きな方でした。何が良いのか、今考えてみると特に甲虫は金属的で非常に精密感のある自然の造形美、という感じ方だったように思います。息子(中一)も似たような感覚を持っていたようです。
それから、人類よりもはるか昔から存在していたわけで、うちではゴキブリ先輩と呼んでいます。
by てですこ (2010-05-24 23:29) 

yablinsky

うちも結構いろいろ飼っています。最近もおたまじゃくし。今はコクワガタ。ザリガニも飼いました。ザリガニは最後の1匹になるまで共食いしました。恐ろしいです。子供も生みましたが、親は子供に食べられました。壮絶です。もう決して飼いたくない生物です。
by yablinsky (2010-05-24 23:30) 

nyankome

子どもって結構残酷です。
今から思うと、私も虫たちに可愛そうなことをしました。
確かに、大きくなるにつれ、敢えて虫を触ろうという気がなくなります。
子どもの頃の虫遊びは成長のひとつの過程なのですね。
by nyankome (2010-05-25 01:33) 

Enrique

てですこさん,コメントありがとうございます。
昆虫は,本当に色んな色やら形やらテクスチャやら造形されたものだと感心します。その多様性のおかげで色々な好みに答えてくれるのですね。
甲虫の精密感。よく分ります。メカ的なもの,宝石的なもの,色々な嗜好に答えてくれます。昆虫体験がその人の芸術や技術に影響を与えているのではないかと思います。
by Enrique (2010-05-25 07:35) 

Enrique

yablinskyさん,nice!&コメントありがとうございます。
アメリカザリガニは,川中びっしりいたりしますね。ものすごい繁殖力です。環境によって共食いを始めるのも,自己調節機能なのでしょうが,人間の感覚からしたらすさまじいものです。
カマキリのメスは交尾しながらオスを頭からガリガリ食べています。非常に効率の良いシステムです。
by Enrique (2010-05-25 07:45) 

Enrique

nyankomeさん,nice!&コメントありがとうございます。
極論すれば,子供って昆虫と同じなのかもしれませんね。昆虫と遊びながら,そこから卒業することで人間らしく育つのかもしれません(虫だけでも無いとは思いますが)。その時,可愛そうだと思ったらできないですからね。

by Enrique (2010-05-25 07:51) 

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