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演奏の力学 [音楽理論]

やーさんのブログに,演奏の際に使う筋肉の事が詳しく述べられていた。筋肉にはちぢむほうと,伸ばすほうがある。演奏にはすばやい動作がいるが,次の弾弦動作にいかに早く移れるかがネックになっている。右手で言うと,弾く動作よりも戻しの方が重要である。だから,ラスゲアードの動作が多いフラメンコ・ギタリストはスケール(ピカード)も速いという説である。山下和仁さんが速く弾けるのも,そのような理由という。筋肉の件に関して医学的知識は全くないが,山下さんに限って言えば,右手の小指側の筋肉はすごい。ピアニストは皆ここがぷっくりしているが,山下さんの筋肉はピアニストのそれと同じように見える。
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どんな風に鍛えるか?まんがドラマ「仔犬のワルツ」にあったようなのはもちろん非現実的としても,それなりの合理的な筋肉の鍛え方はあるはずだ。もちろん,スポーツとは違うので,音楽的な要求に答えられる筋肉でなければならない。一流のプロは独自のノウハウを持っているのだろうが,当然表には出てこない。

鍛えとともに,術もあろう。どこで聞いたか忘れたが,バルエコは日本の古武術の動作を参考にしたとか。別に聞いた話では,イメージとして小さな魚の群れがさっと方向を変えるような身のこなしである。質量のあるものは慣性の法則で急激に大きな速度は出ないが,大きな重心移動を伴わなければ,速く動かすことができる。不必要なひねりのような動作も,運動系に慣性モーメントを発生させてロスを生む。左手のポジション移動などの動作に有用なイメージと思う。

武道などに見る体の使い方の差異に限らず,鋸や鉋などの工具の使用法が,日本では引く方向,すなわち身体の内側に向かう動作なのに対し,西洋では,身体の外側に向かう動作である。これは何を意味するのだろうか?この違いの発生理由を,人間工学の専門家に質問したことがある。理由はよく分からないようだったが,多くの場合日本式の方が合理的という回答だった。人間の動作を伴うものには案外,日本式の考え方の中に演奏の力学として学ぶべきものはあるのかもしれない。
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鋸でも鉋でも西洋式は押して使う。引いたほうが楽に思えるのだが。。。

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