SSブログ

柾目と板目 [楽器音響]

ギターには,普通柾目材が使われる。ヤング率や減衰率は,切り出す木目によって異なるが,これが最も良い。

柾目のことをquarter sawnと言う。材木の製材は通常鋸で行なわれるのでそう言うが,楽器用の場合は特にsplitされた材,すなわち鉈で割られた割裂材が最も良い。薄くした際,最も丈夫なのは柾目であり,それも1/4,1/8,1/16と割ったものが良い(下図参照)。

柾目のコピー.jpg

何昔前かは,かわらの下の屋根の葺き板はこれだった。かわらなしでも雨漏りに耐える。ただそのままでは軽くて飛んでしまうので,石を置いたものだった(石置き屋根)。本来の割り箸も,材木にならない端材を割ったものだ。最上級木造建築である法隆寺の材料も割裂材だったそうだ。繊維を寸断しないので最も丈夫である。スパッと割れるのは柾目でしかありえない。

しかし,柾目で板幅を取ろうとすると,大径の材でしか取れない。芯と皮の方は使えないから,板幅は木の径の1/2よりかなり狭いものしか得られない。トップのスプルースやレッドシダーは大径木があるので全くOKだが,問題はサイド・バック。こちらは「ハカランダ信仰」があるため,製作者としてはこれの柾目を使いたいところが,ハカランダの大径木は無い。板目だと木の径の1/2より広いものも得られるので,近年のハカランダ製の楽器のサイド・バックは殆ど板目である。ちなみに板目のことをslubという。また中間的なもので木目が斜めになっているのをskewと言う。ヤング率等の値はquarterが最も良い。

板目のハカランダならば,柾目のローズの方が良いと思う。もっとも,サイド・バックはトップほどには楽器音響には影響ないのであるが。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。