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演奏のロバスト性 [雑感]

最近の制御理論ではよくロバスト性と言うものが言われる。古典制御しか分からず,専門でもなく一から勉強する気も無いので,受け売りだが,主にH∞制御と言う理論に付随して出てきた考え方らしい。

制御では想定外の妨害(外乱と呼ぶ)に対して,フィードバックで対処するのが基本である。こけそうになった際,反対信号を入力側に送り込んで立て直す。人間の動作などの反応は複雑だろうが,大枠ではこれである。古典制御の範囲内では,制御系を伝達関数という線形のシステム記述関数で表す。これで表される要素やシステムを線形システムという。線形ブラックボックスと言うやつである。この伝達関数が,時間や入力状態により変わらないという大前提がある。もちろんこれは近似の常であり,厳密に線形の時不変システムなどどこにも無いのだが,現在でもこの理論に基づくPID制御が産業界で多く使われていると聞く。システムの極端な変化が無ければ古典制御理論の範囲内でうまく働く。

それが,H∞制御という理論ではシステムの特性(古典理論で言う伝達関数)が変化しても対処可能な制御理論らしい。本来,考えうるさまざまな事象にも対処可能なように制御系を設計製作しておくのが基本だろうが,ロボットなど様々に異なった環境の中で活動する機器においては,それは難しい。想定したシステムの特性が環境との相互作用で変わってしまっても,その許容度のようなものをロバスト性と言うらしい。狭く定義できるものでもないのか,色んなレベルのものが考えられるようだ。耐状況性と言うのだろうか。理論が分からないので,そちらから攻めるわけに行かない。

ギターの演奏行動に当てはめた場合,少し別の自分になってしまっても大丈夫にしておくということだろうが,かなり広い範囲を指しているかもしれず,あまり具体的ではない。しかし演奏のプロからすればそんなの当然,日常的にやっているということかも知れない。理論うんぬんではなく,現実に出来ている訳だから。ただその方法論を確立したいので色々なことを持ち出しているのである。曲の選択(無理な選曲をやめる)から始まり,暗譜の完全さ,とちっても立ち直る,しぶとさ,したたかさ。色んなレベルがあるだろう。同じ環境下で繰り返し練習しても,直接的にこのロバスト性の向上は難しいだろう。やはり人前演奏やリハーサルなどで実際に環境を変えて見ること,あるいは擬似的な環境変化でも演奏動作に影響が出ないような練習が必要だろう。

無理やり帰納的解釈をすれば,演奏の動作を綱渡り状態から,日常動作レベルに昇華しておくことではないかなと,勝手に想う。

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