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SPとLPと [雑感]

この連休のNHK-FM「ざんまい」の初日,クラシックをSPレコードで聞くコーナーでの会話を一点思い出した。

LPはロング・プレイだが,それに対応してSPはショート・プレイではなく,スタンダード・プレイ。という話があった。
ショート・プレイという誤解があると言うのは初耳だった。作り話では無いかとも思ったが,司会者もそのように思っていたと言う。しかし,どう考えてもありえない。

SPの時代にはLPは無いわけだから,片面に30分も入るなんて事は夢物語である。夢物語を基準に,新たに開発したSP(これだって名づけられた当初は最先端技術だったわけだ)を,わざわざショート・プレイなどと名づけるわけが無い。元々SPという呼び名が無く,あるいは忘れ去られ,LP以後に新たに名づけられたなら別である。しかし実際はそうでない。ショート・プレイと言う呼び名が誤解とは言え存在するのは,言わば後づけの理屈であり,大げさに言えば一種の歴史の歪曲である。

なぜ,このちょっとした思い違いにこだわるかと言うと,我々は知らず知らずのうちに,歴史の前後関係を逆に捉えるという間違いをおかすからである。上で述べたLPからの類推でSPをショート・プレイと考えて(論理的にはありえないので,考えるのではなく感じて)しまう思考にその萌芽を感じ取れる。因果律などを持ち出すまでもなく,原因があって結果があるのである。

歴史は繰り返すと言う。古いことが新しくなったり,またその逆(は当然か?)も起こる。その原因の一つに,歴史を逆に捉えてしまう性質があるのではないか。意図的でないとすれば,それは歴史を忘れてしまうこと,あるいは興味を持たないことが大きな原因だろう。演奏の個性と改作の問題しかり,古典音律と平均律の問題しかり。あっちに振れたりこっちに振れたり。どちらも飽きて,リセットボタンを押す。原点回帰である。

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