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楽譜の版による違いから見えること [雑感]

家にいる時は大体FM放送を流しているが,18日土曜日の夕方は食事をしながらの,「N響演奏会」でメンデルスゾーンのバイオリンコンチェルト(初稿)を聞いた。

久々に家族で夕食しながら聞いているので,ほとんどBGM。この演奏が,長らく使われていた出版譜ではなく,初稿版であったというのが,ゲスト出演の星野宏美さんの演奏後のお話で初めて気がついた。星野さんは,日本でのメンデルスゾーン研究の一人者らしい。これも,食事をしながらだが,耳に飛び込んできた会話が,「人間の耳は保守的に出来ている。」というものだった。最初に聞いたものに耳が順応して,別の版は耳に逆らってしまうという意味のことを解説の山田美也子さんと共に会話されておられた(ようだ)。

なにぶんBGM状態だったので,あまり違和感なく聞いていたが,以前初稿版を聞いたときは随所に雰囲気がちょっと違うところを結構感じたと思う。独学の学生時代,この曲のような有名曲はミニスコアを買い込んで,バイオリンパートをギターで弾いてみたりしていた(勿論全曲きちんと弾けたわけではない)ので,ちゃんと聞けば,ちょっとした音の違いもよくわかる。

「人間の耳は保守的に出来ている。」という指摘は言い得て妙である。ギターのセゴビア版も,それが耳がなじんでしまうと,後でオリジナル版が出てきても,逆に新奇な響きに聞こえ,なじむまで時間がかかる。最初に聞いた音,最初に聞いた演奏がその人の音楽行動にかなり色濃く影響を与えるものだと思う。

オーボエの古部賢一さんが鈴木大介さんとデュオをやりだした頃だったと思うが,やはりFMに出演され,「ギタリストとしての鈴木さんをどう思いますか?」と言った意味の質問に対しての回答も,味のあるものだった。「アヒルのヒナが最初に見た動くものを母親と思うように,私が付き合ったギタリストは鈴木さんが最初の方ですので,鈴木さんがギタリストの標準だと思っています。」と。これにはさすがの鈴木さんも,しばらく声が出ず苦笑するしかなかった。

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