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「バロックの森」を聞いて [日常]

5連休となる朝,新聞を読みながら聞くとはなしに聞いている。先週末は出張だったので,2週間ぶりのゆっくりとした朝だ。

バッハの,有名な「主よ,人の望みの喜びよ」が入っている,カンタータ第147番「心と口と行いと生活」BWV147をやっていた。
「主よ~」の部分だけの演奏もあったようだが,聞き出したのは,すでに全編のほうが始まったところ。10曲からなっているが,聞いていると,中間部に忽然と有名なメロディが現れる。そしてまた最終曲にくだんのメロディが現れて曲が終わる。「バロックの森」は毎日やっているが,土日はリクエストらしい。やはりこの曲の人気ぶりがわかる。

カンタータとしてのタイトル「心と口と行いと生活」は,簡単なのになかなか覚えられない。原タイトルは,"Herz und Mund und Tat und Leben"だが,この最後の"Leben"が,色々に訳されている。もちろん英語なら"life"である。「生活」以外に,「なりわい」,「命」のほか,いかにもそれらしい「生き様もて」,「生き方もて」などとしたものも見つかる。

第6曲と第10曲にあらわれる有名なコラール「主よ,人の望みの喜びよ」は,Wikiによれば,英語タイトル”Jesus, Joy of Man' s Desiring"の日本語訳のようだ。だが,ドイツ語のタイトルにはどこにもそれらしきものは無い。最初にこのコラールが現れる第6曲は"Wohl mir, daß ich Jesum habe"となっており,第6曲と歌詞の異なる最終曲は"Jesus bleibet meine Freude"である。それぞれ直訳すれば,「たぶん私,私にはイエスがいます」と「イエスは私の喜びのままに」といったところ。最終曲のタイトルが英語に意訳され,それが日本語に直訳されたのだろう。

私の手元には,全音版マイラ・ヘスのピアノ編曲譜,小山勝氏のギター編曲譜,ドーベルマン版デイビッド・ラッセルのギター編曲譜,小胎剛氏のフルートとの2重奏楽譜などがある。解説は小山氏のものが最も詳しく,このメロディの原曲はバッハオリジナルではなく,ヨハン・ショップ(Johann Schop, 1590-1664)の"Werde munter, mein Gemüthe"(この訳も色々なので,書かない)によるものであることなどが記されている。
ギター編曲版はいずれも難しい。小胎氏のはやさしく弾けて良いのだが,フルートの音に間違いがあるのと,やや安直に過ぎる気がしたので,前にフルートとやった時,マイラ・ヘス版を元に仕立て直させてもらった。
JesusBreibetMeineFreude.jpg

歌唱部分は,途中から現れる長い二分音符・四分音符の部分で,三連符の旋律は一種のオブリガートである。小山氏は当時のレコードのパークニング,アルメイダの演奏をそれぞれ,「三連符ごとのアクセントがやや強い」,もしくは「特に強い」として批判している。三十数年前の出版だが,楽譜のコメントにしては直截な表現で,氏の志の高さをうかがわせたものだ。

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