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アンプの話(4) [電気音響]

気は付けているつもりだが,面白そうなところを取り上げてそちらに脱線していくと言うのが,当ブロガーの癖である。家族との会話ではそのことを容赦なく指摘される。すばやく戻さないと,脱線地点を忘れてしまい,延々と荒野を走り続けることになる。若い頃はお偉い方の有難いお話にそれを感じ,辟易していたものだったが。気をつけないといけない。アンプなど電子機器関係の話は,新技術には乗り遅れ気味だが,特に昔のことは書き出すときりが無いので,いったん話を新しい方に戻し,この辺でやめておこうと思う。

従来のCDやDVDオーディオに用いられる,音の諧調を16ビットや24ビットなどで捉えるPCM方式とは異なり,SACDの記録方式は1ビット方式である。この方式はそのままデジタルアンプの動作としても都合が良い。1ビットだが非常に高い周波数で標本化しており,PDM(パルス密度変調)ともよばれ,音の諧調を十分細かく表すことが出来る。縦軸はいわばパルスが有るか無いかだけで,諧調表現がいらないので,デジタル機器としては非常に楽で,デジタルアンプとして非常に性能の良いものが安く作れることになった。オンかオフかのデジタル本来の動作をスピーカー直前まで持っていくことが可能となった。奇しくも,人間の耳の感じ方も,音の大きさを電気刺激のパルス数で感じているのだそうだ。だから,1ビットのPDM(パルス密度変調)方式は耳の聞こえのメカニズムを模倣していることになる。

最後に,PAには直接は関係ないことなのだが,MP3などのデータ圧縮について付記したい。
MP3は独のFraunhofer社が開発したデータ圧縮フォーマットだが,その基本的な原理は,原音をPCMしたデジタルデータを,①周波数スペクトルに分解②高調波成分相当のデータをカット③適当な符号化で保存,である。再生時は逆をやる。これにより,必ず情報の欠落を伴い,非可逆圧縮とも呼ばれる。画像のJPEGなどとも原理的には同じであり,のぺーっと変化の乏しい部分もリニアに保存するのはもったいないので,変化部分を重点的に保存してデータ量を大幅に削減しようと言う考え方である。これは,小型の音楽プレーヤ,ネット利用での,音声データのやり取りに盛んに使われ,類似の方式も沢山出ている。

面白いのは,従来から使われているPCM方式が,リニアPCM方式といわれるようになったことである。リニアでないデータの持ち方をするMP3などの変調方式が出現してそれが多くなった結果,従来から使われて来た無垢のPCM方式を区別するためにそう呼ぶようだ。ギターしかりだが,本家が分家の影響を受けている例をここにも見ることが出来る。(おわり)

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