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予測できればこわくない [科学と技術一般]

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Eclipse (or Total Sensor Saturation) by maxf with CC-License Attribution


7/22は46年ぶりに日本で皆既日食が観測できる日である。このこと自体,何10年も前から予測されている。
しかも,太陽・月・地球の位置関係を直接計算するのは高度な計算技術が要るが,公表されている天体の位置関係をまとめたデータを利用すれば,エクセル等を使って比較的簡単に(四則とサイン・コサインの幾何学的計算のみで)1秒程度の誤差で各観測地での開始時間や終了時間などが計算できるそうだ。

かつて為政者は,日食などの天体現象の予測をその権威の高揚に用いたようだ。ヨーロッパに近代科学が花開いたのは,ルネッサンス以降であり,天体の運行の計算が出来るようになった古典力学の祖ニュートンは17世紀の人でバッハより42歳ほど年長である(さらに精密な理論は20世紀のアインシュタインの一般相対論まで待たなければならなかった)。科学の発達以前,人知が及ばないかのような天体現象を予測(予言)することは神の所業であったことだろう。

源平水島合戦中に日食が起き,この現象を知らない源氏は恐れおののき逃げ惑い,これに乗じて平家方が大勝したそうである。天文官を有する平家方の文化力の差と見られる史実である。平家は日食を正確に予測していたのか,あるいは当日が陰暦の遡日であり,起こりえる可能性として把握していたのかは知らない。前者ならば驚くべき学問力であるし,仮に後者であってもそれなりの天文知識を持っていたことになる。時は1183年である。

現代の人間は,一時的な天体現象であり,世の終わりになるわけではないことを知っているからこわくない。しかし,それを知らなければ真っ黒い太陽はかなり恐怖だろう。正しい予測は安心である。何が起こるのか分からない状態は恐怖である。だから,正確な予測とシミュレーションは何事にも大切である。むろんギター演奏,特に本番演奏のことを言っている。

当日の天気の予測は幾何学的計算と言うわけには行かない。さらに人間の所作は複雑怪奇で予測不能。われらの小さな混沌を乗っけて,天体の運行は悠々と予測どおりの現象を起こす。我々のちっぽけさが,さらけだされる日でもある。

タグ:皆既日食
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