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ギター界の進展のために [雑感]

大げさなタイトルだが,先週末,妻が関わるピアノ発表会を聞きながら,ふと感じた感想である。
ピアノの発表会を見たり参加したりするのは,もう何度目だか忘れるくらいだが,今回も娘たちが参加した。上と下で年の差があり,上がショパンの「バラード1番」,2回目の下のがギロックの「ガラスのくつ」。男子は,今回は出演せず世話係であった。

もう慣れっこになっていて,当たり前のように見ているのだが,ピアノとギターの発表会の圧倒的な違いは,

ピアノ: たまに大人がいるが,子供がほとんど
ギター: 最近は子供もいるが,大人がほとんど

である。やはり,これをどうにかしないと,ギター界の進展は難しいのではないか。もちろん,自分も含め,ギターは中年以降の趣味としてもすばらしいものだが,やはり幼少からしっかりとやらないと,傑出した演奏家は出てこない。もちろん,ピアノの子供たちにも課題はある。多くの習い事の一つとしてやっている子が多く,練習時間すら満足に取れず,本気で打ち込めないことなどである。しかし,習う子供自体いなくてはどうにもならない。

それと,日本の場合,正規のギター音楽の教育の多くは,一般の教室などに任せられており,主要な音大にギター科は無く,一方大学の課外活動のギターサークルは盛ん,とひずんだ形になっている。より誤解や偏見を生みやすい環境だ。「ギター」というと,意図的なのか無知からなのかポピュラー音楽の楽器とし,エレキギターをエレキと略すならいざしらず,それを平気でギターと呼ぶ無神経さがある。さらにギターをやると言うと,「いいですね,歌が歌えて」,とか,「作曲もされるのですか?」と来ることも多い。善意で言うのだろうが,ステレオタイプな間違った認識がある。これらは,かなり根強いものがある。盛んにクラシックギターを説明しても,「へエーそんなギターもあるの?」くらいで,認識が直らない人も多いので,面倒くさくなってくる。

北杜夫さんが「~昆虫記」で書いていたのと同じような場面である。「ゼフィルス」と呼ばれる林の宝石のような一連の蝶を採る場合,高い梢にいることが多いので超長竿で,とまったところを採る。またそこに至るには少しコツがあるわけだが,そのような事を知らない人に(多分99.9%の人は知らない),「釣りですか?」などと山で出会って声をかけられた場合,説明が大変面倒なので適当にごまかすのだが,善意な方は更に「何を釣るのですか?」と迫ってくる。しかたなく,「鮎を」などと言ってごまかすと,「こんな山の中に鮎がいますかね?」などとなってしまい,こそこそ逃げるので,あやしい人間だと思われてしまう,と。マイナーな分野の活動をやっている人には共通事項なのだろう。

かく言う私自身,クラギを始める前の小中学生の頃はギターは何となく中南米系音楽の楽器と思っていた。後にこれは,大きな間違いではなかったことに気づいたが,最初に身についてしまった印象は消えにくい。ピアノやバイオリンはクラシックの楽器だが,ギターはポピュラー系,民族系と言う世の意識は根強い。これももちろん間違いではないのだが,ギターの長所でもある守備範囲の広さが却って災いし,ギターと言う楽器の中で,同床異夢している状態ではないか。そこで,以下の提案をしたい。

・やさしいアレンジで,ポップスやクラシック有名曲の独奏や歌の伴奏が弾けるようなギター用譜面をどんどん出してもらいたい。タブ譜は出来ればやめてもらいたい。特に伴奏譜はぱっと見て弾けるようなものを。

・ピアノのギロックやカバレフスキーなどのようなモダンでやさしい曲,子供が楽しめる曲が,ギターにもたくさん欲しい。藤井氏,佐藤氏らがかなり書いているとは思うが,一般作曲家にもごくやさしい曲を書いてもらいたい。

ピアノの発表会を見ていて,ギターには子供が少ないわけだが,では仮にピアノ並みに子供が多かったとして,本当に子供が楽しんで打ち込める曲がどのくらいあるのか?と思ったわけだ。クラシックギターを扱っている楽器店に行っても,子供用はおろか,クラシックギターのまじめな楽譜は極端に少ないか,場合によっては全く無かったりする。その店でクラシックギターを買った人はいったい何を弾くんだろう?と思ってしまう。早期教育に関しては,村治昇氏が長年実践され,すばらしい成果を上げておられるのは承知の通りである。しかし全国の教室で実践されているところはごく少数だろう。次善の策としては,小さいときはまずピアノで音楽の基礎を学び,10歳前後からギターに本格的に移行という手もあるかなと思う。密かに下の娘を狙っているのだが。。。上の娘は完全に失敗した。「ギターはアコギに限る」とか言って譲らない。

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