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マヌエル・ベラスケス(3) [楽器音響]

「マヌエル・ベラスケス(2)」より続く。 

ベラスケスはそれから,スチールとガット楽器がちょうどデザインで分岐し始めていた今世紀の変わり目の合衆国での共通の種類にちなんで私が作成・かたどりした,私の小さいスチール弦ギターを取り出した。

彼は大きい筋骨たくましい手の指を弦上に一度に,順次にと走らせ,熱心に耳を傾けた。彼は見上げ,微笑して,「ナイロンの音もこんなに素晴らしくすることができたらいいと思う!」と,言った。私はこの発言にふいをつかれてしまった。彼は続けた。「金属弦は高音域で大変よく通り,労力を要さない。ナイロンの高音からの力を引き出すことが永遠の努力である。反響し轟くバスを引き出すことはずっとより容易である」と。

私は,主としてアメリカの伝統的な,そして人気が高いスチール弦ギターの製作者として,私はそのジレンマが完全に反対であることを見いだしていた:フルの,そして節度をわきまえたバスが,強靭に組み立てられたスチール弦ギター上ではチャレンジだったと答えた。

彼は,彼はたいていのクラシックギターの最も普通な欠点は,弱い高音,殊にG弦と1弦の10,11,12フレットで弾かれる特有の無口にあると断言した。彼は,さらに,それぞれのギターには「叫ぶ」固有の音程のセットを持っていることも指摘した。私は彼にどこに救済策があるか尋ねた。

「私はその解決策は設計よりも,どちらかと言うとキャリブレーション(訳注:通常計測器の”較正”作業などの意味となるがそのままにしてある)にあると信じる。板の不均一による厚さと堅さは,特に響板においては決定的である。」彼は表面板の厚みをラフに作り,ロゼットが取り付けられた後,それに「キャリブレートする」:彼がその手触りと光の透過度及び反発力を頼りに材料をその下表面から選択的に削りとるという説明を続けた。

「木は均質ではない - それはある場所では自然により堅い。」 彼の目的は領域の一様性であるように思われる。しかし彼は少しだけより堅い「高音」側を残す。表面板が補強された後も,必要に応じ彼はそれに再度キャリブレーションを施す。

「素晴らしいスペイン人,サントス・エルナンデスは,ギターが出来上がり弦が張られた後,響板をキャリブレートしたものだ。彼は演奏はできなかったが,音を鳴らしながら,響板のある特定の領域に触れ,紙やすりをかけ若干の木を取り去り,再び音を鳴らすということを繰り返した。彼が行ったように,触れながら,少しづつあちこちサンドペーパーで磨くのである。」

彼の地下室ワークショップは小さくて,効率的で,個人的であった。いくつかの大きい作業台は,すべてが完ぺきに決まった場所にしまい込まれていた。少数の道具とより少ない治具だけが目についた。唯一の見かけ上明らかな機械は,冷房装置と素晴らしいスリッティング・ブレードを持った非常に良いのこぎり盤であった。彼はちょうど彼の最も新しいギターのバッチを送りだしたところであった。「最近は日本で私の全部の製品を売っていた。」ニューヨークの彼のディーラーが関係を作り,輸出している。

ベラスケスのギターは伝統的にサイズを定められ,トーレスモデルに合わせられる。 「トーレスは素晴らしい父親である,と偉大な製作者ハウザーは言う。」 彼らのように,彼のギターは65センチのスケールを使う。彼の響板は,7つの対称な扇形のストラットと「表面板安定の保持を助ける」V形成が付け加えた2つの底ブレースで補強される。

彼は個人的にスペインの生産の(26インチそれ以上)長い弦長と現在典型的な特大のサウンドボックスを承認しない。私は彼に何度か,スペイン製の設計に見られる響板を非対称に大きい角度で横切った支柱の理由は何であると考えるか尋ねた。彼はそれが恐らく製造量の増加レベルと関係があったと断言した。「響板からより強い高音を抽出し,個々のキャリブレーションという時間がかかるプロセスを通さないで,それらの典型的な欠点を解決するためには,すべての表面板は同じ厚みにして,大きなスラント・ブレース(斜めに入った力木)が加えられたということである。」 (つづく)


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