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アラビア風綺想曲 [曲目]

Roman and Islamic ruins, Palmyra (Tadmor) Syria by jamesdale10.jpgかつては「綺想曲」とするのが多かったと思うが,現在は「奇想曲」とも。原曲のまま「カプリッチョ・アラベ」と呼ぶ事も多いのでは。アルハンブラをマスターすると次に弾きたくなる曲。荘村さんのテキストで最後だったため,中級編の総まとめ曲だという意識だった。学生時代の一時期得意曲としていたが,序奏部分や途中の半音階のカデンツァ風部分がちょっと気恥ずかしい感じもして,その後弾いていなかった。

Roman and Islamic ruins, Palmyra (Tadmor) Syria by jamesdale10 with CC License attribution

ハーモニックスの神秘的響き,アラビア音階のテイストの持つ下降スケールの序奏に始まり,ギター特有な伴奏にのるように,切々としたニ短調のモチーフが出てくる。その後へ長調へ。ニ短調に回帰後はニ長調へ行く。アルハンブラがトレモロという特殊奏法を用いるにしても,調性はイ短調とイ長調のみで曲の構成として単純。こちらは3つの調性が出て来て,構成面でもやや上級曲だろう。

1回目の転調であるへ長調は,ギターコードで有名なF コードが主和音であることもありやや弾きにくいが,曲として絶妙の効果を挙げており,大事に弾きたい。しかしギタリストの作品であるため,演奏困難なわけではなくしっくりとしている。

てんこもりBOOK.jpg再開後,特にやり直したのが,下降スラーを伴った中間部のパッセージなどの,ギターの基礎技術。また,ギターの技術はもちろんであるが,ギターで音楽の基礎を勉強するのに重要な,色んな要素がてんこ盛りになった,名曲だろう。ちなみに,「現代ギター」の「名曲てんこもり」には「おかわり2」の方に採録されている。

 絶妙な転調を経て切々と歌われるモチーフ。名称ほどアラビア風ではないとの指摘もあるが,ちりばめられるパッセージにはアラビア音階の片鱗を感じるエキゾチックなもの。通常の短調の音階と違い,下降時にも第7音ドにシャープがついていること,中間部やしめくくりの伴奏にミのフラットがつくことなどが作者の意図だろう。

「ピレネー山脈を越えるともはやヨーロッパで無い」とは,スペインをヨーロッパとは異質視した見方。ヨーロッパ西端に位置するにもかかわらず,やはりイスラムの影響が色濃いためかオリエンタルな印象をもたれているのか,かつて訪れた観光地トレドのみやげ物屋に日本刀なども含めた東洋風物産を置いていたのは面白かった。

小品の多いタルレガ作でも,「グランホタ」のほか「ベニスの謝肉祭の主題による変奏曲」といった比較的大規模な曲も弾かれるようになってきた。特に後者は近年村治佳織さんが取り上げておられ,以前のコンサートでも聞かせていただいた。ブロガー当人はこれらの曲に取り組む余裕は現在無い。

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 現代ギター社
  • 発売日: 2009/03/04
  • メディア: 楽譜

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