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曲の弾きやすさについて [雑感]

「弾きやすい曲」,「弾きやすい曲(バッハ編)」に関して,いくつかコメントをいただいた。

これに関しては,幾分個人差もあるような気がする。まず,技術面で手の違いによる弾きやすさの違い。大きさ,柔軟さ(私はいずれもない)等々異なるので,当然あるだろう。また,メンタル面に関しては,好きな曲は,気持ちよく練習に取り組めるので,割合弾きやすく感じるし,そうでないとそうでない。「弾きやすい」というのは,「技術的に楽」というくらいの意味で理解いただきたい。「やさしい」というと,技術的にも音楽的にも楽ということになろう。まあ,嗜好性が入ると多少混同もあるかもしれない。特にバッハとなると,技術面と音楽的な内容は切り離せないので,まずは運指の決定が最も重要である。

セゴビアのレッスンに関して,ブログ「アメリカで開始したクラシックギター」に記事があるが,巨匠のレッスンが自身の運指と歌いまわしの押し付けであったことがYouTubeの画像などを参照して記されている。自身が一番よいと思っている運指だから,そうとしか教えられなかったのだろう。かつては先生の運指を学び取るというレッスンが多かったのだろう。無条件の押し付けは論外にしても,(自分に合った)運指が重要ということは今も昔も確かだろう。

MASAさんも指摘されていたように楽譜の版の選定は重要である。つけてある運指ですんなり弾ければ,随分楽だが,そうでない場合大幅に時間を食う。丁寧に仕上げたい曲ならば,版をいくつか比較してミックスすることになる。 今は演奏ビデオを参考にすることも割りと容易。しかし,定点で両手が見えるように撮影してくれれば良いのだが,確認したいところで画面が奏者の表情になったりするとアウト。

PonceAllemande.jpgアンケートをとったわけではないので,独断だが,衆目意見が一致する曲とそうでない曲とがあるようだ。たとえば,MASAさんからも指摘された,ポンセのイ短調組曲。伝ヴァイスのいわくつきのひとつで比較的弾きやすいと思うが,アルマンドやジーグを難曲とする意見もある。スピードを出すのは大変かもしないが,前者はスラー練習曲の趣,後者は素直なスケールであり,ロドリーゴの様な弾きにくさはない。

ただ私も昔から取り組んだため,その分差し引かないといけない。長年取り組んでいるから慣れていて弾きやすく感じるか, 長年取り組んでいるため目標値が高くなり大変な曲と感じるかの違いもあろう。要は各人のとらえ方なので,「私はこれらの曲は他の曲に比べ比較的弾きやすく感じた」というのが正確なところだろうか。


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MASA

こんにちは。 色々考えさせられるお話で面白く拝見しました。

楽譜と運指について私自身の考えを少し書いてみます。

若いうちは楽譜および運指に忠実に弾くことが重要と考えていて、技術的に困難な箇所も、その困難を練習で克服することに意義があると思っていました。

また、初心のうちは、運指の変更についての良し悪しがわからず、このように変更しても良いかどうか、自分で判断できませんでした。自分で運指を考えて工夫しなさいと言われても、運指のアイデアも初心のうちは浮かばないですしね。

経験を積むにつれ、除々に運指を自分でつけたり、変更できるようになりましたが、運指はギタリストの音楽性や技術の総合力で決められていくものと思います。フレージング、アーティキュレーション、スラーの付け方や技術的に困難な箇所の解決方法などなど、様々な要素が総合的にからまって運指が決められていきますからね。

あるギタリストの付けた運指は、だれにとってもベストであることはあり得ず、それを参考にして、自分で考えていくことが重要ですね。なぜなら、その運指はそのギタリストの音楽性と技術を反映したものなので、自分に最適なものではないからです。また、自分の技術・要求は変化していきますから、たとえば、5年前に考えた運指は、現在では最良ではない可能性が高いので、常に変更していく努力が求められるものと思います。

とは言っても、年をとるにつれ、技術的に簡単な運指を選択するようになってきました。難しい箇所は技術的な余裕がないと、表現そのものに悪影響がでますからね。でも、若いころのように練習で克服しようとせずに、楽をして弾けるように悪知恵がついてきただけかも知れません。

説明不足と思いますが、ちょっと長くなったので、このあたりで。

P.S ポンセのイ短調組曲ですが私はジーグは弾けません。一番弾きやすいプレリュードあたりから、弾き始めて、サラバンドとアルマンドを練習しました。ジーグを弾ききるには、かなり技術が必要と思います。

by MASA (2009-04-14 12:20) 

Enrique

運指に関するコメント、ありがとうございます。

ご意見、どれもまったく同感です。曲により場所によりこれがベストというものが無く、同一人でも年齢によってどんどん変わるのでしょう。プロの運指も結構変わり、調子によりその場で変えたりもするようです。運指ではないですが、作曲家でも年を重ねると技術的に楽な曲になりますね。

運指はギターの永遠の課題のような気がします。ある程度定石はあるでしょうが、実際の曲で難曲になればなるほど、重要性は増すのでしょう。暗譜との関連性等、今後このテーマで思いついた時点でまた書きたいと思います。それでは。
by Enrique (2009-04-14 16:35) 

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