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ゴールドベルク変奏曲 [曲目]

本来は2段チェンバロ用のいわくつきの曲。カイザーリンク伯の眠りのために書かれたというその作曲経緯は有名で,異説等も沢山ネットをにぎわせている。ドイツ語の発音で,ゴルトベルクとも言う。シャコンヌおよびそれを最終楽章に含むパルティータ2番がバイオリン曲の最高傑作といわれると同様,バッハ鍵盤曲の最高傑作(の一つ)。

一般音楽愛好家には,グールドのピアノ演奏でも有名である。特に世を去る直前に録音された2回目は世界中に衝撃を与えたものだった。この演奏について,遅すぎてダメと1回目の録音を支持する意見もある。

単純な規則性から,無限の音楽世界を作り出すのがバッハの真骨頂である。変奏曲はその変容と統一の妙である。西洋の町並みを想起しよう。家の形は不統一でも,屋根や壁の色が統一されていることにより,整然とした美しさがある。変奏が精緻を極めれば極めるほど,一本筋の通った統一性が必要である。これが統一したテンポ感ではなかったか。グールドの2回目の録音は,アリア(の低音)と各変奏のテンポをシンクロナイズさせているので,それまでの演奏を聴いた耳からすると,アリアが異常に遅く感じられる。しかし,案外バッハの狙い通り弾いている可能性も高いのではないだろうか?

Goldberg.jpgハンガリーのギタリスト,エトベシュがギター一本で演奏し,一躍注目を浴びたのはもう一昔前。彼の弟子チャーキ(Czaki)が,'08の東京国際で優勝するなど,既に名匠。エトベシュをして,ギター独奏でこの曲を演奏してみようという気にさせたのも,このグールドの録音だったと,楽譜の前書きにある。完全な楽譜が出ているが,エトベシュ以降,あまり演奏されたという話を聞かなかった(私が知らないだけかもしれない)が,最近埼玉の石村洋氏が譜面を置いてではあるが全曲演奏をされたとのこと。50代で,快挙である。なお,エトヴェシュの楽譜はBWV988がBWV998とミスプリントされている。たいした問題ではないが,BWV998はもともとリュート曲で有名なプレリュード・フーガ・アレグロなので目立ってしまう。編曲譜が正確無比で運指もすばらしいだけに,ちょっとご愛嬌か。

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