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バロック原体験 [雑感]

ギターをひこう渡辺範彦.jpg75年の渡辺範彦さんの「ギターをひこう」NHKテキストには,バッハのリュート組曲1番からのブーレ,伝バッハのメヌエット・ト長調のイ長調編曲版が載っていた。テーマ曲にも使われていたヴァイスのファンタジーも印象に深い。

前年74年度担当して一世を風靡(母や姉たちもしびれていた)した荘村清志さんが,ソルやタルレガといったギターの典型的オリジナル曲を取り上げていたのに対し,翌76年の芳志戸幹雄さんも,ダウランドやパーセル,そして更に遡った聖母マリア頌歌集なども取り上げていたと思う。ここあたりが,私がルネサンスやバロック音楽体験の出発点である。

渡辺さんのバッハは,セゴビアのバッハ演奏も何も知らない地方少年にとっては,衝撃であった。バッハやモーツァルト,ベートーベンといった大作曲家の曲がギターではないことに不思議に感じていた。「現代ギター」等(当時もう一誌あったと思う)を買出し,少しずつギター事情が分かりかけてきた頃ではあったが。

NHK-FM(当時地方ではFM局はNHKしかなく,中継の為か雑音や放送の途切れなども時折ありエアチェック少年を悩ませた)で時折聴くクラシックギターの音と同時に,朝の「バロック音楽の楽しみ」で聴くバッハやヴィヴァルディにも魅せられた。そのテーマ曲がヴィヴァルディの「忠実な羊飼い」の第2番ハ長調1楽章。ドーソーー,ラソファミードーシーー,ラシドシラーソー~チェンバロの伴奏に乗ったフラウトの平易なメロディが印象に残っている。とうに亡き父が戦時中もよくラジオで流れていたと言っていたのも思い出す。しかし,ヴィヴァルディ作だとばかり思っていた一連の「忠実な羊飼い」は,実はニコレ・シェドヴィルという人による偽作だったことが最近明らかになっているのだそうだ。蛇足ながら,当時ドイツ・イタリアは同盟国だったが,フランス人作ならば「敵性音楽」だったわけだ。

ちなみに,村治佳織さんの3枚目のCD「シンフォニア」にも取り上げられ,最新作にも入っている,「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」からの有名な「メヌエット・ト長調」と「ト短調」(BWV Anh.II/114)と(Anh.II/115)はクリスティアン・ペツォールトという人の作だそうだ。原調との近親調であるハ長調(およびイ短調)で演奏される。

たしか当時,同じくNHK-FMの「現代の音楽」のテーマ曲がなぜかバッハの「3声のリチェルカーレ」だった。
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