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イベールの「フランセーズ」難所 [演奏技術]

洒落た曲なのですが,いたずらっぽいところが随所にあり,苦労します。

取り立てて難所というわけではないのですが,けっこう弾きにくいところが頻発します。
何分,ギタリストの作品ではありませんので。

一方でバカみたいにギターの機能に振ったところもあります。
イベールというと,フルートとよくやる,間奏曲(Entr'acte)があります。

ポップスの「サビ始まり」の様に,いきなり始まるのはこの曲とも共通です。

楽譜に付いているAspiazの運指はいただけません。
無いよりは良いか?くらいですが変な運指なら全くの白楽譜からつけた方がましかも知れません。

むろんAspiazが悪いわけではなくて,もとはと言えばイベールのギターの扱いでしょうか。当時のギター水準で付けた運指でしょう。ピアノならバカみたいに易しいところが,ギターでは面倒です。それがAspiazの行き当たりばったり(失礼)な運指と相まって,絶妙な弾きにくさを醸し出しています。

名称未設定 1.jpg
譜例1. ピアノ譜なら何でもないパッセージ。
先ずは,真っ当な(当方弾きやすい)運指に変更した上で,練習の工夫です。

イベールパッセージのコピー.jpg
譜例2. 運指を直したらもともと見にくい楽譜がぐちゃぐちゃ。これでは練習する気が萎えます。
見にくいので,綺麗に書き直します。(譜例3)
練習課題.jpg
譜例3.見やすくなったらなったで,再度微調整が必要です。
運指は,移動の結果を書いているだけで,その指にどう持っていくかの方が大事です。当方は勝手に+とか-とか√とか書いています。むろん,+は準備のために予めおいておく指,‐は同一指による移動,√はヒンジバーの事で殆どのケースが1指に対してです。譜例3にはさらにこれらの記号が必要です。


それはそうと,一昨年取り上げたファリャのドビュッシー賛歌ですと,ピアノ譜やオーケストラ譜は実音に従って,ギター譜よりも1オクターブ低い記譜でしたが,これはおんなじです。

ピアノではギターで弾く音のオクターブ上になります(ギターの記譜は実音よりオクターブ高い)。ギターで弾くのと同じ音程で弾くならば,ピアノ譜ではオクターブ下げて書かないといけないはずです。

イベールの楽譜は,ギター譜もピアノ譜もオクターブは同じです。その辺は「どうぞご勝手に」という事なのでしょうか?それとも,「ギター譜が低いという事を勘案してやりなさい」という事なのでしょうか?まあ,これはギター譜には関係ないことなので,その辺は気にしないことにします。


ギター譜ではセゴビア編などにも見られますが,声部が異なる音符間にスラーを付けるのは,ちょっとありえません。楽典のイロハよりも,ギターの特性に振ったもので,現在ではちょっと考えられない事でしょう。

④弦のFisはずっと一定。ピアノなら同じ指で弾き続ければよいだけですが,ギターの左手は他の音を押さえる都合で,指を変えないといけません。何分,大した事のない経過句なので何気なく通過させないといけません。こんなところをえっちらおっちら,ちょこまか変なスラーを入れたりしていたら,何をやっているかわからなくなります。
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