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タンスマンの「ファリャへのオマージュ(ギターと室内オーケストラのための)」 [演奏批評]

タンスマンのピアノ作品を聴きました。優れたピアニストでもあったため最も多いのがピアノ曲ですが,ギターとオケの曲が3曲あります。そのうちの1曲「ファリャへのオマージュ」をYouTubeに上がっている動画で聴いてみます。

ギターのŁukasz Kuropaczewskiさんが,José Florêncioさん指揮のElbląg室内管弦楽団と共演しています。

第1楽章:Notturno。文字通り夜の雰囲気,スペイン風の憂いに満ちた唄で始まります。フレーズの終わりに「タリララー」とついています。スペイン風こぶしとでもいいますか。

つづく,第2楽章,快活なZapateadoです。終わったところで,拍手が入ってしまい,コンミスのおねえさんが「ちがうちがう」という表情をしているのが,ご愛嬌です。

第3楽章:Improvisaciónです。ミステリアスなファゴットのソロが前奏で,つづくギターの単旋律が続きます。

第4楽章:Nanaはスペインの子守唄ですが,前楽章の弦楽を引き継いだ様なミステリアスな弦楽の伴奏に乗って,ギターで妖しげな雰囲気の唄が紡がれます。

第5楽章:Vivoは快活なスペインの踊りでしょうか。

1954年の作品らしいです。未出版でしたが,最近出版されたのか割と演奏される様になったようです。

戦後パリに移ったタンスマンがあまり顧みられなくなった理由が分からないでも無い感じがします。
タンスマンは余りに前衛的なものは好まなかったようで,かなり新しい書法も取り入れているのにそれほど斬新にはきこえません。新古典的でつつましやか。はげしい刺激がありません。当のオマージュ先?のファリャよりもむしろぎらぎら感がありません。

タンスマンのギターとオケのための作品は,
Concertino for guitar and orchestra (1945)
Hommage à Manuel de Falla for guitar and chamber orchestra (1954)
Musique de cour for guitar and chamber orchestra (1960)

の3曲あるようです。
このファリャへのオマージュはギターコンチェルト第2番と言ってもよい作品です。

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たこやきおやじ

Enriqueさん

タンスマンのカヴァティーナ組曲しか知らない私には、この映像の曲は別人の作曲のように聞こえます。(^^;

by たこやきおやじ (2019-03-14 20:18) 

Enrique

たこやきおやじさん,
ギター作品はタンスマンの多くの作品の中の一部ですが,それでもそこそこ作品数はあるようです。しかし,カヴァティーナ組曲などを除いてはなじみは薄いようですね。
by Enrique (2019-03-15 04:55) 

アヨアン・イゴカー

美しい曲ですね。
異国情緒が感じられるのですが、それが東欧の人がスペインに感じる憧れのようなものなのでしょうが、私にとっては自分が中国の西域に憧れるような感覚を持ちました。東洋人の持つスペイン文化への憧れは、東欧人ものと異なるのではないかと。
by アヨアン・イゴカー (2019-03-17 13:33) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
なかなか深いお見立てと思います。
これもそうですが,タンスマンの曲にスペイン的なものはありますが,決してギラギラのスペイン情緒ではなく東欧人の理解したものだろうと思います。ただポーランドはスラブ圏ではなく,ラテン圏の東限で共通点もあります。文字はキリル文字でなくアルファベットを使いますし,ローマ法皇がポーランドから多くから出ています。
by Enrique (2019-03-17 21:45) 

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