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楽器音の認識について [楽器音響]

ここでは,ギターの音という漠然としたものをどうとらえるかの話である。

例えばfinaleの音源に用意されている,ナイロンストリングのギターの音。これはどうもいただけない。場合によっては琴の音のほうがまだ近い位の完成度だ。ギターの音ってこんな程度に思われているの?といったレベル。ちゃんとした楽器のふつうの弾き方の音をサンプリングすればもう少しましになるのでは無いかな?ひょっとしてピチカートの音をサンプリングした?しかし,以前にも書いたが,我々は自分のやっている楽器の音に関しては意識しなくても特にうるさくなっているようだ。

その傍証として,他の楽器のどの音もギターよりはマシに,一応その楽器の音らしく聞こえる。人間の耳は場合によってはかなり敏感ということが言える。不注意な音響測定では,耳で感じる差すら検出することは出来ない。だから,当然測定万能では無い。ただ人間の聴感は心理的影響も受ける。内容は不案内だが音響心理学なる分野もあるくらいだ。すぐれた奏者は,心理的側面をも演奏に生かしている。

楽器の基礎的音響面での例だが,トルナボスの効果があげられる。昨年着脱して録音してみたが,そうはっきりとした差は録音ではわかりにくい。生ではもっと差を感じたのだが。これは単なる心理的なものとは思えない。音響物理的にも変わるはずである。位相特性の差ではないかと思っているが,なかなか実証が難しい。

話は飛ぶが,インターネットのネット技術の世界にも,物理層から始まって,アプリケーション層まで7層がある。殆どの人の議論は最上層の話であろうが,物理的な配線など最下層の話だって当然あるし,プロの議論であれば各中間層の話もあろう。ギターの音色などに関する議論にも,似たような層別けができるのではないだろうか。もちろん最下層(レベルが低いという意味ではない)の話は,音の高さ,強さ,持続時間など物理的音響面である。実際の演奏ではこれに何層かの皮がかぶっている。最上層は心理的側面なのかもしれない。音楽の興味関心経験と等の差により,層は異なることだろう。異なる層で議論しても,なかなか噛み合わない。この階層が共有できれば,音に関する話は良く伝わることだろう。

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nyankome

ローランドの電子チェンバロの音はサンプルしかか聴いたことがありませんが、結構いい音がしていると思いました。
ギターは直接指で弾く楽器ですから、音色も弾き方によって様々で最大公約数的な音色のサンプリングが難しいのかも知れません。
トルナボスが付いているギターは低音の出方に特徴があると思うのですが、着脱して聞き比べたことがありませんので、興味があります。
by nyankome (2010-02-27 07:35) 

Enrique

nyankomeさん,nice!&コメントありがとうございます。
本文中にリンクするのを忘れましたが,昨年比較録音をしました。
http://classical-guitar.blog.so-net.ne.jp/2009-05-26
原理的にはウルフが下がり,位相特性にも差が出ます。聞いたかんじ(特に取り付けたとき)は明らかに変わりますが,近接録音では差があまり出ません。
by Enrique (2010-02-27 23:52) 

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