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暗譜に関して(過去の事例6) [演奏技術]

バッハはすごくエネルギーを使うため,しばらくお休みすることにして,少し新しいものでモンポウのコンポステラ組曲やポンセの組曲イ短調などに取り組んだ。組曲イ短調の前には,「南のソナチネ」をやっていたので,発表会ではこれを弾くことにした。

結果は1楽章の突然の転調部分で止まってしまい,思い出せず,何小節も飛ばしてしまった。メモリースリップ病がまた出てしまった。しかし,開き直ったせいか,それ以降,2楽章はゆっくりなせいか余り間違わず,3楽章は弾き飛ばした。

演奏はあまり芳しくなかったが,ポンセは好きな作曲家である。どうしてもセゴビアの影が付きまとうので,好みが分かれるところだろうが,美点として,音が少なめで弾きやすいことである。駄作が多いと評されることもあるが,どれがそうなのかわからない。セゴビアと共謀してゴーストライターをやったことなどがポイントの悪さかも知れない。しかし本人は弾けないにも拘らず,職人芸的にギター曲を生み出せた稀有の才能ではなかっただろうか。同じ近現代でもロドリーゴは最上級の技術を要求する(しかも必ずしも音楽的に意味のある技術かどうか?な箇所もある)が,ポンセは中級程度の技術でも弾ける。単に音をとる以上にギターの音の美しさ,表現力が発揮できると思う。

Campo.jpgポンセの多くのギター曲を評価せず,「エストレリータ」や「スケルツィーノ・メヒカーナ」などメキシコ民族音楽の甘い旋律のみの作曲家とするのは,余りにもったいない。「南のソナチネ」は傑作の部類だろうが,1楽章冒頭の伸びやかな音の連なりなどは,南欧の田園風景が目に浮かぶようである(なかなかそう弾くのは難しいが)。ラヴェルのような色彩感もある。ある種の旋法(何旋法かご存知な方は教授願いたい)を用いており,音楽的素養も感じられる。安心して曲に取り組める。

「暗譜に関して」の記事のはずが,曲評になってしまった。あえてこじつければ,印象的な箇所は絶対に忘れない。危ないのは,なんでもない場面転換点などである。コード進行を覚えるのが有効な理由でもある。また,最近気づいたのは,曲途中で主調のコードが何だか分からなくなっていることが案外多いのである。私にとっては盲点であった。
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