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続・小銭の話 [雑感]

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 小銭が溜まるのはイヤだという話を書いて,逆にコインの効用を思いつきました。

 郵便物を送る時,軽い質量を測りたい場合があります。定形郵便の封書は82円ですが,質量が25gを超えますと,50gまでは92円になります。結構な枚数の紙を入れますと,あやしい事があります。25gというのは結構微妙です。手の感覚で25gは分かりません。以前,旅行用の荷物を軽減するために,文房具等の質量を測りました。もちろん,郵便局で測ってもらえば一番確実ですが,ポスト投函できるものをわざわざそこまでするのも面倒です。

 あぶなければ92円貼ってしまえば良いのでは?
 それも一手段ですが,何も25gに達していないのに10円ムダに貼るのも理不尽です。
 そこで,硬貨の登場です。分銅にするわけです。
 通貨の変造は禁じられていますが,別に加工するわけでなく質量を用いるだけですから,何の問題もありません。かつてお金のない大学の研究室では,天秤の1g分に1円玉を使っていました。日本の造幣局の製造する1円玉の質量は恐ろしく精度が良く,その質量は1.000g。0を幾つ付ければ良いのかよくわかりません。1円玉を製造するのに1円以上掛かっていると言うのもむべなるかなです。

Table 1. 現流硬貨の質量
金種
質量 [ g ]
1円玉
1.0
5円玉
3.75
10円玉
4.5
50円玉
4.0
100円玉
4.8
500円玉
7.0
 1円だけでは数が多くて大変ですから,他の硬貨にも登場願いましょう。他の硬貨の質量は,Table1の通りです。これで25g作るには,例えば,500円玉3個と50円玉1個。1550円分でいけます!

 ただ私の小銭入れには,最高でも999円分しか入っていませんので,適宜ある硬貨の組み合わせてやることになります。それに,7gを得るのに1円玉なら7円分で良いのに,500円玉を使うのはもったいない様な気もします(別に使うわけでは無いですが失くしたら,例のベートーベンのピアノ曲になってしまいます)。重量/金額比の最も大きな硬貨は1円玉で,1g/円,次いで5円玉が0.75g/円,以下高額になるほど小さくなって,0.45g/円,0.08g/円,0.048g/円,0.014g/円などとなります。

 一番安い25gぴったり賞は,1円玉25個で25円分です。5円玉4個+10円玉2個+1円玉1個で41円とか。5円玉2個+10円玉3個+1円玉4個で44円とか,5円玉2個+10円玉3個+50円玉1個で90円とか。
 
 自分で始めた事と言え,だんだん面倒くさくなって来ました。日本の現流硬貨の組み合わせで,25gぴったりにするには,どんな組み合わせがあるのでしょうか?それは何通りあるのでしょうか?

 私のロートルのアタマではムリそうなので,反則技のモンテカルロ法*で調べてみました。
 結果を下の表(Table 2)に示します。

Table 2. 合計質量を25gにするための現流硬貨の組み合わせ
 見つかった組み合わせは,少なくとも43通りです。予想外に多い組み合わせです。
 絶対にこれ以上ないのかどうなのか私の数学力では証明出来なさそうですので,「少なくとも」と逃げておきました。なお,合計金額の低い順番にソートしてあります。

 ただし,この表を見て,はたと感じたのは?!
 私の硬貨の持ち方では,使える組み合わせは,43通りの中で2通りしかありません。13番の方法と30番の方法です。それ以外はいずれも10進玉(1,10,100円玉を個の様に呼ぶ事にします)を5個以上使っていたり,5進玉(同じく5,50,500円玉をその様に呼ぶ事にします)を2個以上使っていたりします。しかも500円玉を持ってないと,13番の方法1通りしかない事になり,大変厳しいです。こういう場合は,小銭をじゃらじゃら持っていた方が有利だと,まあ至極当たり前の結論ではあります。

 
  Fig.1 硬貨を分銅にして郵便物の質量を測る
 まあ,たまたま,今日は普段余り待ちあわせない500円玉を持っていましたので,30番の方法が使えます。硬貨数5個ですからかなりシンプルな組み合わせではあります。

 Fig.1に示すように,物差しで天秤をつくり,一方に540円(500円玉1個と10円玉4個)置きました。支点は紙パンチを使っています。この物差しは50cmのものですが,はじっこは使えないので分銅と被測定物(の重心位置)はそれぞれ5cmと45cmの場所に置くことにしました。ピタッとバランスする事はまずありえないので,ずらして物差しの目盛を読めば,1mmが0.1g位に相当しますから,そのくらいの精度で読み取ることは可能です**。このサンプルの場合,25g以上で,ずらして比例配分で読むと31gぐらいと見られますので92円貼らないといけません。

 今日は「はかりが無い時に,どうやって定型郵便の25gを測るか?」という夏休みの自由研究をやった様な気分です。

*乱数で当たりを探す技法です。この場合1円玉なら0〜25個,5円玉なら0〜6個の間など,それぞれの硬貨のあり得る個数の範囲で一様乱数を発生させて,条件にハマる組み合わせを探します。
**物差しの質量がありますから,ずらして目盛りを読む方法はあまり精度が高くなさそうです。あくまで25gより重いか軽いかを見るのが妥当でしょう。
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アヨアン・イゴカー

秤を買おうかと思ったこともありますが、買うまででもないと考え、そのままになっています。でも、滅多にないことでも、必要になったとき何を使うかの知恵が書かれていて、大変興味深く拝読しました。今後はこの方法を使わせて頂きます。13番、30番が仰るように最も現実的のようですので、この組み合わせはメモを取っておきます。
ファインマンは計算がとても速かったようですが、その方法は、直に使える数字や近似値のいくつかを暗記していたと種明かしをしていました。自分には出来ないことですが、なるほどと思ったものです。
by アヨアン・イゴカー (2017-08-30 08:45) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,ご参考になれば何よりです。
硬貨の組み合わせで25gを作るのは,何となく十通り程度かなと思っていましたら,少なくとも43通りもあるので驚きました。次の関門である50gもきっちり測れます。
これで10円節約以上の充実感があります。
ちなみにミニレターを25gまでに収めれば,62円で送ることができます。
by Enrique (2017-08-30 11:51) 

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