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シャコンヌを弾いてみる [曲目]

「シャコンヌ」といえば,かつてならバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番(BWV1004)の最終楽章とお決まりだったものですが,古楽が一般化した現在では,単にシャコンヌと言っても「ヴァイスの?」とか「誰のチャッコーナだっけ?」といった感じかもしれません。

シャコンヌ(独)もしくはチャッコーナ(伊,西)という舞曲は新大陸由来らしく,本来威厳のある様なものでは全くなく,むしろ卑猥なため禁止されたともいわれる,いわくつきの舞曲でした。

バッハのシャコンヌはメンデルスゾーンやシューマン,ブラームスの時代から有名だったようで,彼らロマン派の時代のスタイルには合わないとみたのかピアノ伴奏を付けたり,流石に大先達を尊敬していたブラームスは下手にいじらずオクターブ下げただけでほぼそのままピアノの左手用に曲に移しています。

その後,ブゾーニの豪華絢爛なピアノ編曲(1894)やストコフスキー(1882-1977)の管弦楽版(が現れています。

当方はこの曲が嫌いでした。特にギターで弾かれるのは決して悪くはないのですが,アマチュアの世界に限れば何やらこの曲が腕自慢の技術の見せつけに使われるようなのも気分がよろしくありませんでした。バッハは好きでしたが,リュート組曲の軽い舞曲などの方が魅力的でした。

その気持ちが変ったきっかけが,TVで聴いたフライシャーのピアノでした。やはり左手のピアニスト舘野泉さんもブラームス版を弾いています。

ギター版はセゴビア(1893-1987)によるものです。
セゴビアが初めてこの曲を弾いた頃は,ヴァイオリンの聖典を汚す行為だと反発があったと語り草だったものです。当のセゴビアにしてみれば,低くみられていたギターの地位を上げるためには格好の題材であったようです。実際に初めてセゴビアに会った作曲家のA. タンスマンはセゴビアのこの曲の演奏に驚かされて,彼のために曲を書く様になったようです。

さて,名曲がゆえに様々な楽器に編曲されているシャコンヌですが,15年前この曲に取り組んだ時は「ギターで弾くならセゴビア版でしょう」ということで,これで取り組みました。現在の指導者と相談したところ,やはり原典に近い新しい編曲が良いでしょうということで,佐々木忠先生のものを使う事にしました。

ちなみに,有名な編曲各版の冒頭だけを比較してみましょう。

原曲.png

ブゾーニ.png
ブゾーニ編(全音・菊池裕介編)

セゴビア.png
セゴビア編(HOMA dream)

佐々木.png
佐々木忠編(全音)

佐々木編は音の追加がごく少なく,原典に忠実であることが分かります。これでぼちぼちゆっくり始め(再開し)ます。セゴビア編よりもかなり弾きやすいようです。
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