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私の練習の仕方 [演奏技術]

練習には色んなフェーズがありますし,人によってもヴァリエーションはあるでしょうし,時を重ねるにつれて変わることもあるでしょう。恥を忍んで当方の練習法の変遷などを書いてみます。

新曲に取り組む際,まずは「譜読み」です。
「譜読み」は,易しい曲なら初見で行けますが,自分の技術ギリギリの曲ですと,結構時間がかかります。特にギターの譜面は読みづらく,近現代曲などは,必ずしも適切な運指が振られているわけではないので,自分なりに修正しながら進めるのは一苦労です。一旦譜読みが済めば,弾き込みの練習モードに入れます。その後考え直して,運指の再変更という事もよくあります。

独学時代は,市販の楽譜に振ってある運指で必死に弾こうとして,無理があるまま弾けない箇所が化石化している事もあったものです。むろん悪い癖になる前に合理的な運指(と技術練習)で,確実に弾き抜ける様にしておかないといけなかったのです。そういう筋の悪い演奏記憶は,なるべく思い出さないよう,弾かずに封印しています。

見づらい譜面の場合は,書き直します。ギター譜は一段譜に多声の音符に様々な音楽記号に加え,左右の運指を書き込みますので,非常に視認性の悪いものになることがあります。また,運指の変更を含め書き込みを沢山しますので,オリジナル譜をコピーしたものを書き込み修正専用の譜面として浄書後廃棄するという事もしています。

人によっては,譜読み前にプロなどが弾いている演奏録音を聞くという事もあるかもしれません。課題曲を先生に弾いてもらうという事もままありそうです。当方は基本的にしません。ギターで効率の良い譜読みが困難な場合は,ピアノが弾ける人ならば,ピアノで弾いてみて音を覚えるという手もあると思います。それでも,先に音を聴いてしまう弊害は防げると思います。「自分で弾く」という,オリジナリティが担保されると思うからです。音源を聴いてしまうと,音のイメージが出来上がってしまい,モノマネ演奏になるからです。それと現実的な話,譜読み前に演奏を聴く習慣の人は,読譜力が付かないでしょう。譜読み前に音源を聴かないのは,「作品をリアライズするのは自分だ」という些細な矜持でもあります。譜読みが済んで,ある程度自分の演奏が出来てから,他人のを聴いてみるのはまあ良いでしょう。当方もそのようにしていますが,自分が発表会で弾いた曲の他人の演奏を聴いたことがなかったという曲も結構あります。

・自分の出す音を聴きながら弾いていないか?
むろん,自分の出す音を「全く聴かないで」演奏したらかなり酷い事になるでしょうが,だからと言って,出音だけを聴いて弾いたのではダメです。それでは,音源再生機のモニターになってしまいます。ミスらなければまだしも,ミスったらアウトで,暗譜奏の場合だと次の音が出てこないという事故はかくして生じます。出てくる音を聴いて演奏しているとそうなる危険性が高いです。何もこれは想像で書いているわけではなく,当方の幾多の苦い経験談です。ミスしやすい演奏を防ぐためには,出てくる音を聴くよりも,音のイメージが先導しないといけません。それにより,ミスじたいが起こりにくく,ミスっても音楽が止まらず先に行けます。下図は今までも何度か出した演奏のブロック・ダイヤグラムです。

演奏をごく単純化したブロックダイアグラム。まずは音のイメージを脳内に持ち,出音を聴いて修正ながらしながら弾くモデル。d1~d4は各所に入る外乱。おおもとの音のイメージに外乱d1が入ってしまうとダメ,d2以降はフィードバックにより下流に行くほど制御可能。
・イメージどおり弾いているつもりだが,どうやれば確認できる?
ギターを抱えて弾くばかりではなく,音のイメージがしっかり頭に入っているかを確認すべきです。音のイメージがしっかり頭に入っておらず出音を聴いている演奏だと,暗譜が飛びやすいです。出音を聴いて覚えているモードなので,出音がふっと途切れるとアウト。頭が真っ白になります。おそらく,そこで真っ白になったわけではなくて,もともとしっかりとした音のイメージが入ってなかったのでしょう。イメージどおり弾いている「つもり」だが,それが「確認できていない」と,そういう事故が発生します。事故っても肉体的なケガをするわけではありませんが,メンタル面でおおいに後遺症になります。当方の現在の確認方法は,「左手の押さえだけで,曲の最後まで辿れるか?」という事です。左手だけだと音が出ないので,曲のイメージをしっかり持っていないと(アタマの中で歌えないと)全く辿れないという事です。

暗譜奏をしていた頃,暗譜の不全に悩んでいました。「頭脳真っ白症」を多発していました。当時の指導者に伺ったところ,暗譜した曲を楽譜に書き出せればOKだと。ご本人もそうしているとの事でした。確かにそれが出来れば確実でしょう。それは当時の私には結構なハードルで,出来ませんでした。しかしそれなら,「苦労して暗譜しなくても,見ながら弾けばいいじゃない?」と思うに至り,現在はそうしています。

暗譜奏が前提ならば,暗譜した曲をしっかり書き出せるのは当然の事と思えます。それが出来ないということは,きちんと暗譜できていない証拠です。そのため暗譜奏の方を諦めたのでした。むろん,きちんと暗譜した方が,左手の指板位置をしっかり確認できるためミスは減ります。しかし,一方で暗譜が不完全だと「頭脳真っ白症」を発症して,止まってしまうような大事故の危険性があります。視奏だと小さなミスはあっても,大事故は防げるというのが当方の現在のスタンスです。

暗譜に関しては,当方「暗譜不全」に悩んでの事であり,きちんと暗譜できる方はそれが一番だとは思います。こんなことを書くと,「そんなこと出来ません」という方,「とうに実施済みです」という方,「俺はそんな事やっていないぞ。ムダだ。」という方色々でしょう。他人により得手不得手や嗜好もありますので,勧めるものではありませんし,もっと良い方法をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。当方のやり方を開陳しているだけです。自分のアタマを整理しつつ,多少なりともご参考になればという思いで書いています。
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