スラーの扱い [演奏技術]
ギター奏法上重要な課題ながら,検討事項も多いため,あまり触れずに来ました。
いわゆる奏法スラーに関してです。
上行スラーは,アコギの奏法名で言えばハンマリング・オン,下降スラーは,同様にプリング・オフというやつです。アクセント的に使ったり,メロディーラインを滑らかにするなどの効用がありますが,多用すると,印象ががらりと変わってしまいます。
個々に細かく弾く事(ヴァイオリン奏法で言えばデタシェ)が演奏技術的に難しい場合や,装飾的な場合などは,うまく使うとギター的な演奏となってそれはそれで良いのですが,かつてはセゴビアの演奏の影響のためか多用する事も多かったのですが,現代では演奏技術が上がったこともあり,むやみに使わない方向性だと思います。
むろん,初級の方であれば,譜面に書いてある通りに演奏すべきでしょう。ソルやカルカッシの書いたものは忠実に弾くべきです。楽器の構造が少し違うからという議論もありますが,ここではネグります。
問題は,ギターオリジナルでない曲を弾く場合や,ギターオリジナル曲であっても,近現代などのギター奏法を知らない作曲家の場合は,まず譜面に奏法スラーをつけるという事はありえないでしょう。ギターで弾けるよう,校閲や運指をつけた人が奏法スラーも追加するという事です。
以前取り上げた,ファリャのギターオリジナル曲「ドビュッシー賛歌」の流布版はリョベートの校閲・運指でした。曲を大きくいじることはないにせよ,かなり凝ったギター的なものでした。
今回気になったのが,イベールの「フランセーズ」です。ホセ・デ・アスピアスという人が運指をつけています。
当時の運指で気を付けなければならないのは,やたらハイポジションを使う事に加え,奏法スラーを多用する事にも注意しなければなりません。ギター的な表現を重視するためかも知れませんが,そのまま演奏すると大時代的な演奏になってしまいます。17小節目から,少々違和感のあるスラーがあります。アルペジオの2拍目が奏法スラー(ハンマリング・オン)になっています。
ギターはアルペジオが得意な楽器ですが,ギタリストでない作曲者はギターのメカニックがわからないわけで,そこは校閲者の腕の見せどころでしょう。部分的に奏法スラーを使うと,うまく滑らかにつながることがありますが,当然?ピアノ版ではついていませんし,ここだけスラーをつけるのはバランスを欠くと思います。奏法スラーの追加は最小限にとどめるのが現代の感覚でしょう。
いわゆる奏法スラーに関してです。
上行スラーは,アコギの奏法名で言えばハンマリング・オン,下降スラーは,同様にプリング・オフというやつです。アクセント的に使ったり,メロディーラインを滑らかにするなどの効用がありますが,多用すると,印象ががらりと変わってしまいます。
個々に細かく弾く事(ヴァイオリン奏法で言えばデタシェ)が演奏技術的に難しい場合や,装飾的な場合などは,うまく使うとギター的な演奏となってそれはそれで良いのですが,かつてはセゴビアの演奏の影響のためか多用する事も多かったのですが,現代では演奏技術が上がったこともあり,むやみに使わない方向性だと思います。
むろん,初級の方であれば,譜面に書いてある通りに演奏すべきでしょう。ソルやカルカッシの書いたものは忠実に弾くべきです。楽器の構造が少し違うからという議論もありますが,ここではネグります。
問題は,ギターオリジナルでない曲を弾く場合や,ギターオリジナル曲であっても,近現代などのギター奏法を知らない作曲家の場合は,まず譜面に奏法スラーをつけるという事はありえないでしょう。ギターで弾けるよう,校閲や運指をつけた人が奏法スラーも追加するという事です。
以前取り上げた,ファリャのギターオリジナル曲「ドビュッシー賛歌」の流布版はリョベートの校閲・運指でした。曲を大きくいじることはないにせよ,かなり凝ったギター的なものでした。
今回気になったのが,イベールの「フランセーズ」です。ホセ・デ・アスピアスという人が運指をつけています。
当時の運指で気を付けなければならないのは,やたらハイポジションを使う事に加え,奏法スラーを多用する事にも注意しなければなりません。ギター的な表現を重視するためかも知れませんが,そのまま演奏すると大時代的な演奏になってしまいます。17小節目から,少々違和感のあるスラーがあります。アルペジオの2拍目が奏法スラー(ハンマリング・オン)になっています。
ギターはアルペジオが得意な楽器ですが,ギタリストでない作曲者はギターのメカニックがわからないわけで,そこは校閲者の腕の見せどころでしょう。部分的に奏法スラーを使うと,うまく滑らかにつながることがありますが,当然?ピアノ版ではついていませんし,ここだけスラーをつけるのはバランスを欠くと思います。奏法スラーの追加は最小限にとどめるのが現代の感覚でしょう。
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