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GALの動向 [雑感]

GALと言ってもギャルの事ではありません。

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当ブログを始めたころ,タグに"GAL"と打っても,勝手に"gal"と変換されて辟易したものです。 もっとも,タンスマンとかはタンス(箪笥)扱いでしたが。「ブログのネタなどその程度だろう」といったような扱いに見え,直ぐに真面目にタグなどを打ち込むのを止めました。一時期ひどく悩まされた,MSワードのロクデモナイお節介変換機能などと同等でした。


のっけからの「脱線ゲーム」はそのくらいにして,GALとはGuild of American Luthiers,「アメリカ弦楽器製作家協会」の事です。

会員になろうかなどと思いながら果たせず,10年以上経過してしまいました。

本ブログの読者には釈迦に説法でしょうが,Luthierの原義はリュート製作家で,転じてギターやヴァイオリンなど弦楽器全般の製作家のことを指します。

当初興味を持ったのは,既に故人になりましたが,アメリカの製作家のレジェンド,マヌエル・べラスケス(1917-2014)の記事に関してです。2001年当時,アメリカで彼の楽器を入手するのにネット検索していて見つけた団体でした。

本ブログを開始したのは,そのだいぶ後ですが初期の頃,記事にしました[1]-[14]。 べラスケスは自ら旧派だと言っている通り,伝統的なスタイルをとりましたが,スペインのやり方や慣行に固執するものではなく,自らの手で確認した様でした。

GALが刊行するペーパー類を見ると,飽くなき探求心で満ち溢れています。
ギターは500年くらいの歴史がありヴァイオリンと比較しても全く引けを取りませんが,完成形がまだヴァイオリン程には確立していないようです。むろん現在の楽器は,19世紀のアントニオ・デ・トーレスが現在の楽器の基本で,大枠はトーレスモデルが殆どです。しかしながら,延々と細かな改良が続けられています。近年の改良はレイズドフィンガーボードであり,ラティスブレイシングであり,ダブルトップです。いずれの楽器も外見上は殆どトーレスモデルなので,素人が見ても気が付かないと思いますが,それぞれ画期的な改良とされています。

レイズドフィンガーボードはアメリカのトーマス・ハンフリーの開発です。GALのおひざ元だったわけで,GALには早世した彼への追悼記事[15]があります。

ラティスブレイシングはオーストラリアのグレッグ・スモールマンがあまりにも有名ですが,この構造を考案したのは研究者でもあったカルダースミスだったようで,やはりその追悼記事[16]があります。

もうひとつは,ダブルトップです。これはマティアス・ダンマンが有名ですが,じっさいの開発は仲間のゲルノット・ワグナーらしいですが,いずれもドイツですので,GALとは直接の関係はないかもしれませんが,現在のクラシックギターの新技術3つのうちの2つがGALがらみということです。ちなみに村治佳織さんの愛器*である,ポール・ジェイコブソンもアメリカの楽器であり,セミ・レイズドフィンガーボードの楽器です。

GALの出版物などを見ると,活発に研究開発している様子がうかがえます。ベラスケスがヴァイオリン製作をやめてギターメーカーになった理由は,ヴァイオリンにくらべギターは改良の余地があるためとのことでした**。

過去記事・引用記事
[1] マヌエル・ベラスケス(1)
[2] マヌエル・ベラスケス(2)
[3] マヌエル・ベラスケス(3)
[4] マヌエル・ベラスケス(4)
[5] マヌエル・ベラスケス(5)
[6] マヌエル・ベラスケス(6)
[7] マヌエル・ベラスケス(7)
[8] マヌエル・ベラスケス(8)
[9] マヌエル・ベラスケス(9)
[10] マヌエル・ベラスケス(10)
[11] マヌエル・ベラスケス(11)
[12] マヌエル・ベラスケス(12)
[13] マヌエル・ベラスケス(13)
[14] マヌエル・ベラスケス(14)
[15] In Memoriam: Thomas Humphrey
[16] In Memoriam: Graham Caldersmith 
*むろん複数本お持ちですが,かつて東京国際や初期のCDで使った楽器ですが近年またお使いです。 **そう書いた過去記事が見つかりません。
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