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ジャンクレコードの紹介〜ジュリアン&ジョン世紀の二重奏〜 [演奏批評]

先日購入したレコードのメジャーなもの。
ジュリアン&ジョンの二重奏です。

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発売が'72とあります。ジャケットが痛んでいますが,盤面は大丈夫でした。
こういうメジャーなものは,現在しっかりサブスクで聴けます。
しかしCDもすでに廃盤の様ですので,レコードで持っておくのも悪くないかも知れません。


聴いてみます。

冒頭曲はウィリアム・ローズのリュート曲をブリームが編曲したもの。
いきなり,冒頭の音程が悪い様な気がします。もちろんお二人のせいでは無く,録音のせいでしょう。このころのレコードは,盤面に収めるためかマスターテープの回転数?をいじっていたりして,ピッチがおかしい事がよくありました。

音質そのものはあまり気にしない事にして聴く事にします。耳が慣れてくると,なかなか良いです。
左側の音色変化やアーティキュレーション,デュナーミクを極端につける方がブリームです。直ぐに分かります。

世紀の二重奏と騒がれたものです。確かに大物二人による二重奏はエポックでした。
二人が一緒に弾くと一体どうなるのか?普段あまりギターに興味のない音楽愛好家も注目した盤だったと思います。

2曲目は,カルリの二重奏曲ト長調Op.34です。オリジナル曲のはずですが,ゲッツェ編とあります。カルリの曲を名手二人が弾くのは少々つまんないので,少々凝っている様です。カルリの二重奏曲は沢山ありますが,お二人がこのレコードを出してから,このト長調二重奏曲はアマチュアにも良く弾かれる様になったと思います。

3曲目は,ソルのアンクラージュマンOp.34。二重奏の名曲として昔からの定番ですが,流石にお二人の演奏は各部の曲想の変化にきちんと対応してメリハリをつけて,飽きさせません。この曲は,やった事ないですし,そんなに聴き込んだ事もありませんでしたが,名曲だと再認識しました。


裏面冒頭はアルベニスのコルドバ。エミリオ・プホール編です。プジョールとも呼ばれます。タレガの弟子です。このレコードの頃はそんな事を言わなくても分かったわけですが,後にマキシモ・プホールがいますから。演奏はゆっくり目で丁寧なものです。ジョンは後にこれを独奏でもよく弾きましたが,当然の事ながら二重奏では音の多さ,広がりで勝ります。このレコードが出た頃,「ピアノの左右の手の様にギターが動く」とか言われたものです。

裏面2曲目はグラナドス・ゴイエスカス間奏曲。
つづいて,ファリャのスペイン舞曲第1番。最後はラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌ。

いずれも,ピアノ曲からの編曲版。後には独奏でも弾かれる様になった曲ばかりです。しかし考えてみれば,二台ギターというのは,音域そのものが広がる訳ではないですから,二台ギターで弾ける譜面を上手く処理すれば独奏でも弾ける訳です。

お二人の二重奏は,重奏専門の演奏家の様にぴったりとはいかないですが,真摯に2人で音楽を創り上げようという姿勢が素晴らしいです。独奏以上のデュナーミク,音色の使い分けが可能であり,独奏以上のお得感?があります。こういうのは,古くはならない演奏でしょう。


ブリームとジョンとの二重奏に関する情報ですが,てっきり当方がギターを始めてからの70年代に始まったものとばかり思っていましたが,レコードのライナーの高橋功氏の文によれば,1966年の「ギター・ニューズ」に二人の二重奏公演の記事が出ており,BBCで放映されたのだそうです。ジョンはいわば「プリンス」の頃,20代だったわけです。
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