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運指付けの考え方~その後感じた事~ [演奏技術]

以前,運指付けの考え方について書きました。



クラシックギターの独奏曲では運指が重要であることを何度か書きました(むろん重奏や伴奏であっても,本格的なものは同様でしょう)。



数年以上前は,「誰それ版」の運指のあるものは弾きにくいところのみ変更を考えると言うアプローチでしたが,現在は,一から自分で付ける事にしています。従前とは逆に,どうしても迷う箇所のみ(運指付きの楽譜がある場合は)他のものを参考にするということでしょうか。弾き慣れていくうちに変えるということもありますので,ナチュラルスピードになったらということを想像(想定)しながらの運指付を心がけています。特に左手には極力ストレスのないものとしますが,むろん右手との連携もあります。それも含め,バッハなどではスラーの扱いも重要になります。



準備的な運指を結構使ってきました。いわゆるガイドフィンガーの活用ですが,実際に音を出す運指中に準備できる指が無い場合には,敢えて弾かない弦のポジションを押さえて,人工的にガイドフィンガーを作るという所作もやって来ました。これも善し悪ししである事に気が付きました。

先ずはストレスのないフォーム,脱力の徹底が基本であることは論を待ちません。
近現代のギターを弾かない作曲家の作品では運指の決定が大きな課題ですし,古典(バロック)でも,バッハとかスカルラッティとか,もともとギターのオリジナル曲でない曲を弾く場合。かならずしも予定調和な運指にはならず,かなりオリジナルに考える必要があります。そのせいで,やりようによっては結構無茶な運指も現れます。細部に至っては,百人百様の指づかいになります。



最近気を付けている事は,運指の決定は楽曲分析と切っても切れないという事です。従前のアプローチですと,「運指=技術課題」,「音楽的課題は技術的に弾けた上で」と考えがちでしたが,はっきりいって間違いでした。むろん音楽的レベルにもよりますので初級者にはそれが正解だと思います。

むろん,技術課題と音楽課題をごっちゃにすることは避けなければいけません。「ここはこういう気持ちで弾く」とか,「ここは体をこう動かす」とか言われても,「なぜそこをそうするのか?」原理原則が分からなければ,全く応用が利きません。むろん技術は技術で,手の運動能力とかはメカニック練習で慣らすしかありませんが,運指と言うのは単なる技術課題ではなく,ギターでは音楽表現を実現する重要な手段であるという事です。



具体例を示さなければ,何を言っているか分からないと思いますので,今取り組んでいるバッハのリュート組曲第4番ホ長調BWV1006aの各曲について見てみます。「プレリュード」,「ルール」,「ロンド風ガヴォット」と来て,続く「メヌエットI,II」です。前3曲は個別に取り上げると,運指課題満載です。どの箇所を「もっともらしく」取り上げるか迷いますので,むしろ,取り組みやすい組曲後半のここら辺の曲の方が,分かりやすいと思います。



まず,メヌエットのリズムの基本は,通常3拍子で書かれる2小節分でひとくくりです。従って,奇数⇒偶数小節はつないで弾き,偶数⇒奇数小節は切って弾く事になります。メヌエットの演奏としては常識事項でしょうが,ここに立ちはだかるのが,ギターの難題である運指です。通常ギターの演奏では,声部をつなげるのが難しいので,如何につなげるかに腐心した運指にしがちです。しかし,闇雲につなげるのではなく,メヌエットの(メヌエットらしい)演奏になるよう,つなげる所と切る所を峻別した運指にすべきです。その事は開放弦の使用に関しても関わって来るでしょう。偶数⇒奇数小節では,無理してつなげるのはご法度。不用意に繋がってしまうところでも,つながらず切れる運指にしないといけません。

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技術的な音のつながりだけを意識してつけた運指では,切れた方が良い場所まで繋いでしまいがちです。
それと,メヌエットのリズムの基本は記譜に関しても尊重されるべきです。ここでとりあげた「メヌエットI」の後半の記譜のように,切れてまずいところで,毎回段が変わってしまっているのは,写譜屋さんの認識不足なのでしょうか。なるべくなら一段を偶数小節数に収めるべきです。当方が敢えて自分で楽譜を書き直すことが多いのは,自分の都合もありますが,そのような見にくい楽譜の修正という側面もあります。
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浜っ子カルメン

御無沙汰しています。
左の運指は自分でも、自己流では有るが変更する場合が有ります。
ポジションを変えたりもしますが、変更して弾き易くなるので修正してしまいます。難しいのが右手の指定された指で弾くのが難しいです。この右手の指定された譜面は守るべきなのでしょうか? どうしても自分勝手に指定を無視してしまいます。
意外とケンケン(同じ指を続けて使う)する時も有りますね。
指定通り弾く様にゆっくり練習はするよう頑張ってますが、これは絶対的守る事なんでしょうか・・と、いつも思ってます。

by 浜っ子カルメン (2022-06-07 10:11) 

Enrique

浜っ子カルメンさん,

よく考えられた運指を付ける方もいますが,変なのもあります。また,技術の向上に伴う時代の流れもあります。古い技術の時代に付けられた運指を守って弾くと,頑張ってもそれなりの演奏にしかなりません。私は(マイナスになるので)古い運指は見ません。指定運指は守るべきでも何でもありません。私は変なものを直すよりも一から自分で付けます。どうしても迷うところを他人の方の付けたものを参考にする程度です。

しかしながら,運指付けは,きちんとした方針を持つべきだと思います。ここに書いたように,ある程度のレベルの方は,音楽的に意味のある運指にすべきです。弾きやすいからと言っても,右指が連続になるのは基本的にまずい運指です。私は右指が連続になるのは弾きやすくはありません。

「自己流・自分勝手」と「創造性・オリジナリティ」とは似て非なるものです。ご自分でしっかりとした方針があれば,指定運指など無視すればよいですし,方針が無ければ従うしかありません。「指定運指」は誰が付けたものか?にもよります。こちらの記事にも書いたように百人百様の運指がありますので,絶対的な指定運指などありません。

ソルなどのオリジナル曲の作曲者の指定はなるべく守るべきと考えますが,それも世の中ではかなり無視されています。オリジナルが無視されたものが「指定運指」な訳もありません。

右手運指は余りつけられませんが,敢えてつけるのは重要だからです。当然左手運指との兼ね合いで決定されます。それを,その意味を理解した上で変えるのは良いですが,分からないまま「弾きにくいから」と変えて果たして良い演奏になっているかどうか自問すべきでしょう。変えて良い演奏になっていれば正解で,そうでなければ間違いという事でしょう。
by Enrique (2022-06-07 10:49) 

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