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イスカ継ぎ [日常]

伝統工法で,天井の材などの細いものを継ぐ継手の事です。

なぜ,この様なものを使うかというと。。。

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継ぎの加工をした2×6材。12フィートと6フィート材を継いで,16フィート材にしました。
自作のカーポートの補強です。
2台入れられる様,16フィートのツーバイ材を使って作りましたが,雪が降った時の荷重を計算しますと(していませんがカンで),16フィートのスパンを無柱で作るのは無謀だと思い,真ん中に柱を入れました。製作時にはことわったのですが,以後これが極めて不評です。「この邪魔な棒」とか言われます。これは棒ではなくて,屋根を中央で支える大事な大黒柱なんですけども。

いた仕方なく,外すことにしました。ただそのまま外したのでは,全く強度が持たないので,柱で支えていた部分の梁のせいを増やしておきました。中央部分が最も応力が高まりますので,テキトウな計算で所定のカーブで応力一定梁にしておきました。ボンドで補強材をくっ付けて一体の梁とほぼ強度的に差がない様にしました。

しかしながら。。。

この冬の雪により壊れそうになりました。危機一髪でした。補強した部材もろともヒビが入り,屋根が崩落寸前でした。当然下の車も被害に遭うはずでした。

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角の補強。
真ん中に柱を入れる想定で8フィートスパンの16フィート角のカーポートにした訳ですが,真ん中の柱を抜くとすると,それなりの「せい」の梁を使ってガチガチのラーメン構造にしないと持ちません。木材ではラーメン構造は実現困難と言われます。角の剛接合が難しいからです。方杖を入れるという手がありますが,見た目が悪いのでしたくありません。枕梁風の補強を柱側に入れてボルト2本,かつタイトボンドで固めることにしました。かつ前後方向のスパンは従来の8フィートの間にこのラーメン構造風の枠を二組入れて4フィートのスパンにしました。

16フィート幅なので,元の製作に用いた16フィートの2×6材をこのカーポートを作った時に部材を買った ホームセンターでは現在12フィートまでしか売っていません。別の店にもありません。長いのを注文できないのか?と聞いたところ,それはムリとのこと。ただでさえ,コロナで材の入荷が悪いとのことでした。

一計を案じました。継いで使うしかありません。
ツーバイ材なら金物を使って継ぐのが普通でしょうが,それ自体で強度を持たす梁材を金物で継いでも余り意味がありません。強度が足りません。一本ものと大差ない程度の強度を持たすためには,伝統工法でやるしかありません。面倒ですが,茗荷亭以降封印していた伝統工法を用いることにしました。強度を持たす継手としては,金輪継ぎとか追掛大栓継とかがありますが,材が薄いことなどを考慮して,天井周りなどに用いられる「イスカ継ぎ」を使うことにしました。

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補強のため追加した梁。色の白いもの2箇所。
イスカ継ぎの箇所はペアで左右に振りました。
12フィートと6フィートの2×6材をイスカ継ぎして16フィートの材とすることにしました。継ぎしろは2フィートとれます。

新たに柱を4本立て,4本のイスカ継ぎの加工をした梁を掛けました。また角を補強しました。

これを先月の土日にやって,痛風が出てしまったのでした。痛い後遺症でした。1ヶ月ほど掛かってようやく痛みが解消しました。
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コメント 4

アヨアン・イゴカー

ラーメン構造というのは、見た目にはすっきりしていますが、やはり地震国の日本では、柔軟に対応できる木材の伝統工法が魅力的です。
こういう作業をご自身でやられるのは、本当に素晴らしいと思います。

痛みは生活すべてに支障を来たしますので、本当にお気の毒様です。
解消してなによりです。
by アヨアン・イゴカー (2021-06-24 10:41) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
長い材があれば,このような面倒な継ぎはしなくて済んだのですが,何分にもご時勢が許さず作業量が増えてしまいました。
ラーメン構造は非常に優れたもので,必ずしも日本の伝統工法と対立するものではないと思いますが,木材を使うとなるとおっしゃるように伝統工法が優れていると思います。問題は手間がかかることと建築基準法では伝統工法に関して考慮されないことでしょうか。接合にボルトを使った簡単工法ですが,継手のみ伝統工法を使ってみました。
痛風はほぼ解消しました。お心遣いありがとうございます。ムリをしない事を学びました。

by Enrique (2021-06-24 11:22) 

Cecilia

大工仕事も本格的ですね。
素晴らしいです。
ラーメン構造、知らないのでこれから調べてみます。
by Cecilia (2021-07-02 08:19) 

Enrique

Ceciliaさん,皆さん褒めてくださるのですが,この辺は茗荷亭に比べたら子供の工作なのです。
Rahmenとは額縁状の構造の事で,ガッチリとした枠で構成する建築です。鉄骨構造がそれで現代の建築の構造の基本です。
by Enrique (2021-07-02 16:29) 

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