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「良い演奏」とは何だろうか? [雑感]

極めて定性的なこの命題をどう扱えばよいでしょうか。

そもそも「良い演奏」なるものの基準が曖昧です。

コンクールで入賞するような演奏は,かなり良いに決まっています。
徹底して練習を積み,レッスンを受け,改善し,仕上げ,本番でもかなり上手くいった演奏とでも言いますか?

いずれにしても,極めて定性的な話です。技術的に音楽的にも問題ない演奏ともなれば,あとは好き嫌いになってしまいます。コンクールの演奏を傍聴して,採点してみて,実際の結果と合わせる。あまり好きではありません。やった事がありません。特に課題曲,同じ曲を何度も何度も聞いて,重箱の隅をつつくように,あらを探す。非常な苦役でしょう。コンクールの審査員の方々は大変だろうなと思います。

自由曲に至っては,曲が違うわけですから,明確な基準もなければ,どちらが上手いかなど判断できません。あえて言えば,①ミスがあったか無いか,②音が良いか悪いか,③音が大きいか小さいか,④好きか嫌いかくらいでしょうか。特に最後④の好き嫌いに関してならば,答えを出せますが,①のミスに関しては,当然曲の難易度が違えば何とも言えませんし,そもそも曲の難易度そのものの判定が人によっても変わります。②の音の良し悪しも極端な差ならばすぐに分かりますが,一定レベル以上ならば好みでしょう。③の音の大小は案外分かりやすいかもしれません。ただ音がでかくても悪い音,小さくても良い音というのがあると思いますし,絶対的なボリュームと言うよりも,音の通りやすさというものもあるかもしれません。

結局,割とはっきりとした基準は,音の大きさ(聞こえやすさ)と聴く人の好みくらいでしょうか。音の大きさは,楽器によるところも大きいので,近年音の大きな楽器が開発されて,コンクールなどで良く使われるのも,むべなるかなでしょう。音が大きければ,それだけでも他の定性的基準よりもはっきりとした定量的な差をアピールできるわけですから。

それと,案外ギタリストの人の判断と,ギタリスト以外の音楽家の判断が割れる事があります。おそらくギタリストは,曲の難しい箇所を如何に上手に弾いてるかを見(聴き)がちでしょうし,それ以外の音楽家はギターの技術は知らないので,曲全体としての出来上がりに注目しているものと想像します。

そこで,はたと気づいたことがあります。それなら,易しいところを綺麗にひけばいいじゃん,と。難しい箇所を綺麗に弾くのは大変な努力が必要ですが,そうでないところをきちんと弾くほうが効率的です。難しい箇所の練習はもちろん大事ですが,それにばかり時間を取られて,易しい箇所でミスってしまったりしたら大変損です。それよりも易しい箇所を丁寧に音楽的にしておけば,少なくとも,ギタリスト以外の審査員の点数は上がりそうです。「そんなのアタリマエ」といわれそうですが。

アタリマエな事を更に言えば,良い演奏とは,細部が磨き上げられていて,かつ全体構成も良いものだと思います。技術のある人が,音楽的構成も良く考えて丁寧に仕上げ,手の内に入った演奏とでもいいましょうか。良く言われる,粗削りな演奏というものは,おそらく細部の磨き上げが足りないので,丁寧・慎重に仕上げれば優れた演奏になるでしょう。逆に,細部は良いけれど,全体的にパッとしない演奏というものもあると思います。減点法で付けたらそういう演奏が優秀になるのかもしれませんが。何分,現在のコンクール状況などはトンと知りません。一アマチュアのブツブツ独り言です。
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