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イメージ戦略の効用と [演奏技術]

分析的アプローチが左脳的取り組みだとすれば,イメージ戦略は右脳的です。

演奏の問題を探るのに,細かく一音一音に分解していけばつき当たるものはあるはずです。こちらは分析的アプローチと言えるでしょう。もちろん普通にやる楽曲分析(アナリーゼ)は文字通り分析的アプローチです。前回挙げた,頭の中で歌うとか強弱とか息とかは右脳的イメージ戦略に近い気もするのですが,明示的でアナリーゼとも対応しますので,音楽的側面での分析的アプローチと言えるのではないかと思います。一方,「左手でひく」とか,「移動しながら弾く」とか,あり得ない事をさもありそうに言うわけですから,こちらは(技術的側面での)イメージ戦略でしょう。

イメージ戦略は分析的アプローチに比べ,はまれば強いと言えます。問題を一瞬で解決する力を持ちますが,はまらなければ,意味不明で効果は期待できません。もともと合理的な意味は無いわけですから,その多用は無用だと思います。指導者でも,分析的アプローチ優位の人と,イメージ戦略優位の人がいると思いますが,音楽をやる人には右脳タイプは多そうですから,案外,後者の方も多いのかもしれません。その辺も含めて,先生と生徒との相性がありそうです。音楽家タイプの先生が,実務家タイプの生徒を教えるのは難しそうですし,その逆も,やはり難しいでしょう。

音楽に関する知識も無いよりもあった方が良いに決まっていますが,やはり優先順位だろうと思います。技術に関する事であれば,まずは分析的アプローチが先で,それで足りない分をイメージ戦略で補う。音楽的側面に関してもそうだと思います。技術面と音楽面とは切り離せない事項もあるとは思いますが,先ずは技術的側面と音楽的側面を整理して,それらそれぞれにおいて分析的アプローチとイメージ戦略とを適用すべきだと思います。

それらの整理をせず,あれもこれもとごっちゃにしてしまう事は好ましくないと思います。響くところがあればそれはそれで効果的だろうと思いますが,要は優先順位です。なかなか人間いっぺんには消化できません。基礎技術の不足しているところに音楽的側面をイメージで語っても,演奏はあまり良くならないです(分かっていてもその様には弾けない)し,むろん技術練習の分析ばかりで音楽的側面の意識がなければなかなか音楽的成長は無いでしょう。
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