SSブログ

マイナス運指・プラス運指 [演奏技術]

左手運指に,-2とか-3とか書くことがあります。

セゴビアの運指には時々-1がありますが,何らかの意図があって使うならば別ですが,これはなるべく使わない事にしています。1以外の指でこれが使える際は喜んで使います。特に動きの悪い3や4には有効です。

これがあるとないでは,運指の容易性が激変します。
マイナス運指とは,当方が勝手に名付けているだけで,正式には何て言うのかわかりません。
その指をそのままスライドさせて移動させることで,左手の運びが容易になります。むろん力を抜いてソフトに移動させます。アラストレでもポルタメントでもありません。移動の中心となる指という事でピボット指*ともいうかも知れません。

マイナス運指1.png
譜例1. マイナス運指の例:Tansman CavatianeよりScherzinoの19小節目から。
マイナス運指もさることながら,当方はプラス運指も使います。これは賛否が別れるところだろうと思います。マイナス運指で移動させた指がプラス運指になることもあり得ます。

面倒そうなことを言ってしまいました。要は,直接押弦に関わらない指を次に備えて準備して押さえておくことです。本当はこういう事をしなくても指が自在に動いて,その時々にリアルタイムで押弦して行ければ一番よいわけです。しかしながら,リニアな動きでないギターの押弦運動を如何に無理なく自然にするか。という観点で考える場合,音の順番よりも手の動きが反対になることもありうるという事です。

プラス運指.png
譜例2. プラス運指の例:譜例1と同曲の8小節目から9小節目にかけて。バスとトレモロの上声が同時に動くとぎくしゃくしてしまうため3拍目の2指に次の1指(+1)を予め押えている。
この辺がギターのテクニックの難しいところの一つだろうと思います。
独学時代,なぜ動きが逆転するのか分からないことがありました。上手い人の手の動きを観察して,「そのような動きは,何か手の都合のみ優先して音楽的でない」ような気がしていました。しかしそれはむしろ逆で,音楽的にスムーズに弾くためにその様な運指が現れる事も大いにありそうです。むろん運指と音楽の流れ等とは密接な関連していて,音楽的でない運指はいけません。余りにもアクロバティックな運指は良い結果を生まない気がします。音の動きを如何に手に無理のない自然な動きとして実現するかがだろうと思います。


*同一ポジションで押さえが変わる時に移動させない指という意味合いで使うことが多いようですが,ここでいうマイナス運指は,ポジション移動を伴うピボット指とでもいうのかも知れません。
nice!(20)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 20

コメント 2

たこやきおやじ

Enriqueさん

私はこれまで、譜例の様なプラスやマイナス運指は特別な事とは思っていませんでした。スムーズにしっかりとした運指が出来ればそれが正解だと思います。Enriqueさんの説明は改めてなるほどと思いました。
何時も理論的に分析されるEnriqueさんらしいですね。(^^;

by たこやきおやじ (2020-07-06 10:48) 

Enrique

たこやきおやじさん,
「マイナス」運指は良く表示されますが,特段意識しなくても弾ければ良いと思いますが,当方これを意識しだしてから多少運指の精度が上がった気がします。「プラス」は当方が勝手に使っているだけですので運指として表示されることはまずないと思いますが,この手の準備動作もけっこう重要だと思います。
by Enrique (2020-07-06 15:14) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。