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新しい音楽年表 [日常]

トイレに歴史年表を貼っている記事を上げました。

その下に音楽年表を貼りました。

こちらは高校の音楽の教科書付属のものです。どちらの娘のものかわかりませんが,H20年三善晃らの編集になるものです。

やはり,小・中学生のころ,音楽室の壁の音楽年表をぼーっと眺めていた人間が気づくのは,バッハ以前と現代が大幅に増加していることでしょうか。

かつてはバッハが音楽の始祖の様な扱いだったと思います。バッハ以前と言えばフレスコバルディの名前が上がるくらい。確かバロック時代という扱いもあったとは思いますが,殆ど音楽の黎明期という扱いだったと思います。当時の当方も何やら,古代ギリシャくらいの感覚だったと思います。実際には古代人?に見えたフレスコバルディですら16世紀の生まれで実際に活躍したのは17世紀,バッハやヘンデルの活躍は18世紀ですから,長い音楽の歴史からしたら,ごく最近の流れに注目していた事になります。

むろん,一般の歴史年表でも近現代のウエイトが高まる事はもちろんですが,その割にはかつての音楽年表では狭い意味でのクラシック音楽に偏重していたのだとの感が否めません。極端に言えば,バッハに始まりストラビンスキーで終わっている印象でした。バロック,古典,ロマン,国民楽派,印象派,近現代くらいの分け方で,バロックがバッハとヘンデル,古典派がハイドンとモーツァルトとベートーベン。ロマン派がメンデルスゾーン,ショパン,シューマンにブラームス,国民楽派がチャイコフスキー,グリンカ,リムスキー=コルサコフ,ムソルグスキーにボロディン,印象派がドビッシーとラべル(ドビッシーとラヴェルではなく),近現代がストラビンスキー,十二音技法のシェーンベルクあたりで終わっていたと思います。日本の音楽家では滝廉太郎,宮城道雄,団伊玖磨あたりが取り上げられていたでしょうか。半世紀以上前の記憶ですから,多少不正確ですが。

それに比べると,トイレに貼られた現在の教科書の年表(もう10年前のものですが)では,バッハ・ヘンデルだけだったバロック以前の音楽,近現代の音楽の大幅な増加が目につきます。バッハ・ヘンデルが年表のほぼ中央に来ています。バッハ・ヘンデル以前も長いのだよと,現在の感覚からしたら当たり前の事ですが,今の子たちにしたら覚えることが大幅に増えて大変だなとは思います。

現代の年表と,記憶にあるかつての年表を比較すると,かつては今で言うウィーン古典派あたりが偏重されていた様に思います。ハイドン,モーツァルト,ベートーベンです。その前はバッハとヘンデルでやはりドイツ系,その後のロマン派もメンデルスゾーンにシューマンにブラームス。3Bのバッハ,ベートーベン,ブラームスでクラシック音楽のあらかたが成り立つ様な勢いでした。それに国民楽派のロシア系,印象派のフランス系,その他民族主義楽派。今から考えれば,ものすごい端折り方です。

現代の年表ではなにぶんバッハ・ヘンデルが年表の中央ですから,それ以前の音楽成立過程が詳しい流れになっています。まあ言われてみれば,バッハで完全に現代の音楽に基礎が出来上がっていますから,突然バッハに始まる年表はおかしかったわけですが。バッハの少し前,初期中期バロックには今ではおなじみの作曲家の名前が並んでいます。パレストレリーナ,モンテベルディ,リュリ,コレッリ,パッヘルベル,パーセル,ヴィヴァルディ。現在ではバッハ以上にポピュラーになっているバロック音楽家ですら,かつてはバロックのその他の作曲家扱いだったと思います。

音楽年表の下に一般の年表も付いており,さすがにこちらは中学の年表よりも詳しいです。音楽年表の歴史の扱いが一般の年表とほぼ対応しているところがある意味真っ当です。「ユダヤ教・ヘブライ教の音楽」,「古代ギリシャ」から始まっています。一方,新しい方も追加されていますから,かつての3倍くらいに拡大されている印象でしょうか。

新しい方では,「神秘主義」のメシアンやスクリャービン,十二音技法はシェーンベルクにウェーベルンやベルク,この辺は教科書的ではありますが,「20世紀における民族主義的音楽」としてヤナーチェク,シベリウス,ファリャと並んでヴィラ-ロボスが取り上げられています。かつてはギター音楽の特殊な作曲家と言った扱いでしたが。一方,かつてはギター関係で唯一取り上げられる事の多かったロドリーゴが取り上げられていません。まあファリャの後釜くらいの扱いなのでしょう。ロドリーゴを取り上げるなら,アルベニスにグラナドス,トゥリーナも取り上げないといけません。

現代の作曲家ではブーレーズとかシュトックハウゼン,クセナキス,ケージ,ライヒなどが並んでいます。ポピュラー系?として,ガーシュイン,バーンスタイン,ビートルズが並んでいます。

スペイン音楽に関しては,少し意見を述べましたが,人により楽器により好みにより,様々な意見はある事でしょうが,教科書として一応バランスを取ったものでしょうか。

今後トイレ時にこれを眺めて何か感じるかです。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

音楽年表と言えば、私が中学生の頃音楽の先生が「ババぁがヘンするハイドンどん、モーツアルトでベントーべん」と覚えておけばよいと言っていたのを思い出します。(^^;
今の子供はこんな詳細な年表を覚えなければ、テストで点が取れないのでしょうか。私ではとても覚えられません。(^^;

by たこやきおやじ (2020-05-18 12:07) 

Enrique

たこやきおやじさん,
昔なら教科書全部覚えるくらいの勢いでしたが,現在では,特に音楽は美術と選択科目でしょうし,この手の年表は資料として必要な時に見るくらいのものでしょう。今の子が,この年表を一部でも覚えているとは思えません。
教科書本体で扱っている曲はポップスが多く,クラシック系音楽の知識はそんなに多くないと思います。昔は中学までで読譜や楽典,楽式の基礎などはやったものですが,今はかなり大雑把だと思います。
by Enrique (2020-05-18 12:45) 

REIKO

この年表、良いですね。
ピタゴラスの音律から書いてあるじゃないですか!
ちょっと年食ったクラシック音楽ファンには、当人は「自分は良く知っている」と思っているけど、実はバッハより前は先史時代みたいになっている人が普通にいると思います。
そういう人に見せたい年表ですね。
「バッハより前、こんなにあるんやで♪」です(笑)
by REIKO (2020-05-18 23:29) 

Enrique

REIKOさん,
半世紀前の音楽年表とは様変わりですね。
>実はバッハより前は先史時代みたいに
かつての年表を信じているとそうですね。「歴史なんて変わるわけがないだろう」とタカをくくっていると,とんでもないことになっています。かつての音楽史があまりにも偏狭だったということに,むしろ驚く必要がありそうです。

by Enrique (2020-05-19 15:05) 

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