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楽譜が読めるようになるには?少し具体的なこと〜その2〜 [演奏技術]

「楽譜が読めるようになるには?少し具体的なこと」という記事を書いています。その続きです。

ピアノ教本のバイエルの中で連弾で上手になった感覚を味わえる話を書きました。ギターでも初歩段階から先生に伴奏を弾いてもらってメロディを弾く練習は有効だと書きました。

手前味噌になりますが,以前の記事に,ヴィヴァルディのリュートコンチェルトニ長調RV93の全楽章[1],[2],[3],「四季」の冬の第2楽章[4]の演奏を載せました。カラオケの弦楽伴奏も載せてありますので,これらをバックに独奏部を弾いてみるのは良い練習になると思います。なお,楽譜はIMSLPのこちらこちら

いきなりニ長調の方の第一楽章からが難しい方は,第二楽章からやられても良いかも知れません。
難易度順は,ニ長調第2楽章,ニ長調第1楽章,ニ長調第3楽章,冬の第2楽章だと思います。速いのはニ長調第3楽章,冬の第2楽章はゆっくりですが,調が変ホ長調でギターでは余り馴染みのない調で当方はやや弾きにくく感じただけで,色んな調でメロディを弾き慣れている方は何でもないでしょう。

ニ長調の方は有名で,コンチェルトとは言ってもアランフェスなどとは比ぶべくもない易しさです。第2楽章などは譜を見れる方なら,ほぼ初見で弾けるはずです。

冬の第2楽章もそうですが,難点は有名すぎてメロディを耳で良く知っていることです。読譜練習としてはあまりよくありません。ヴィヴァルディの他の有名でない曲とか,ギターならばカルリの二重奏の有名でないやつとか,相手がヴァイオリンのものなど,なるべく聞き覚えのないものをやるのが良いでしょう。ヴァイオリンもギター同様すごく易しく書いてありますから,どんどん初見で弾けますから,楽しくなるはずです。

さて,それでも楽譜だけではうまくいかない,楽器を使っても楽譜を読みにくいとすると,案外ポイントなのが,リズムかも知れません。楽譜を見ても曲のイメージが湧かない理由は,楽式や曲想以前に,リズムが取れないというのもあるのかも知れません。リズムが取れない場合は,徹底してリズム叩きをやれば良いと思います。小学校で習った,♩タン,♫タタ,16分音符はタカタカでしょうか。楽器なしで音程を取るスキルには適性もありますが,リズム練習の効果はすぐ現れるのではないでしょうか。

前々報でアルペジオの練習は,読譜力には役立たないと書きましたが,リズム取りには役立つと思います。特に音符では三連符,拍子では8分の6拍子は音で聞けば何でも無いのに,音符で書いてあると苦手な方もいらっしゃるかも知れません。これらの拍子はアルペジオなどを伴奏的に使えば直ぐに覚えられると思います。三連符は小中学校では余り習った記憶はないですが,昭和の歌謡曲では盛んに出てきましたので,直ぐに覚えました。「精霊流し」に「津軽海峡冬景色」,他いくらでもあるでしょう。8分の6拍子は歌謡曲ではあまり無いようです(昭和歌謡しか知りません)が,割と最近の曲では,コブクロの「今、咲き誇る花たちよ」がそうです。

あと,タッカタッカとはずむ付点のリズム。ちなみに私はこのリズムそのものが子供時代はキライでした。何か子供っぽくて。今は大丈夫ですが(笑)。

今も苦手なのが,強拍がずれるシンコペーションです。どうしても拍が小節の頭にきている方がラクです。たぶん慣れの問題でしょうが,私にとってはこれが初見のしにくさの第一要因で避けてしまいます。ポップス系の曲はこれが非常に多いです。譜面ではリズムがやや見にくいきらいがあります。かりに譜面に弱い人がポップス系の人に多いと仮定すれば,タイでつないで拍子がずれる感覚が譜面で見るより,音を聴いて体で感じた方が早いという事なのかも知れません。

しかし特徴的なリズムに支配される様な曲では,それを感じてしまえば後は音程をとることのみに注力できるとは思います。私の場合ですが,リズムの単純な曲は初見もききやすいと思います。ほぼ音程だけを追っかければ良いので楽です。

何度か書きましたが,楽譜が読めるようになるには,レッスン曲以外の練習が必要です。
むろん,先生についている人は譜面読み用の学習教材を紹介してもらう手もあるでしょう。当ブログからのアドバイスとしては,
・古典曲から始める(これは案外重要かもしれません)
・弾く前に主要メロディを歌ってみる(ギター曲のメロディは案外単純なもの。移動ドでも固定ドでも鼻歌でも構いません。)
・弾く前にその曲の演奏を聴かない(録音の無いものが好適)
・タブ譜は使わない(普通の五線譜の楽譜を見ればよいだけです)
・手で覚えない(手で覚えなくても弾ける感覚を身に着ける)
・指板を見ない(易しい曲から始めれば,見る必要ありません)

これが一人で出来れば,大丈夫だと思います。新曲の譜を読んで弾ける楽しさが分かればしめたものです。自分で楽譜を見て音が取れればアンサンブルも大丈夫でしょうから,他のメロディ楽器の人や,ギターならばご自分よりも上級で譜面の強い人と合わせると良いでしょう(そうでないと全く練習になりません)。

以上,現在譜面に自信ない方で,「譜面に強くなって合奏を楽しみたい」とか,「譜読みが早くなって,知らない沢山の曲に触れたい」などの強いモチベーションをお持ちの方は試して見られることをお勧めします。そうでなく,「そんなことやってられない」,「聞き覚えのある曲のみ弾ければ良い,余計な曲など弾きたくない」という方は,この逆をやればよいでしょうが,残念ながら楽譜が読めるようには決してならないはずです。

最後になりましたが,楽器なしで読譜で歌う練習としては,私が思いつく練習教材としてはコールユーブンゲンと歌謡曲くらいなのですが,本ブログによく訪問いただくREIKOさんのブログで,階名唱(移動ド)での楽譜の歌い方が詳細に連載されています。同ブログ記事では現在短調曲の歌い方が一区切りついたところです。ドレミファと並べれば良い長調よりも短調は音を取りにくいわけですが,練習課題を試みられてご自分の実力が判定できると思います。順番的にまずは前の記事の長調版から試みられるのが良いと思います。
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REIKO

拙ブログへの言及、ありがとうございます。
最近ツイッターで「大人になってから音楽を始める人の多くは、自分のことを音楽経験なしと認識しているようだが、学校で最低9年は音楽を学んでいるのに?」という私の問いかけに対し、「音楽の本質的な部分が何ら身についてない、例えば楽譜が読めるようになっていないから」という反応が複数の方(音楽の専門家)からありました。
学校の授業だけで実技として読めるようにならなくてもいいから、「楽譜が読めるとはどういうことか」や「そのためにどのような知識や練習が必要か」くらいは、皆が共通認識を持てるくらいの教育はやってほしいと思います。
現状ではそれらごく基本的なことさえ教えられてない…どころか、かえって楽譜が読めない人を増やすような音楽教育になっているわけです。

記事中に「音程を読む」という表現がありますが、相対音感を使い楽譜から歌う時は、楽譜からまさに「音程」(2音の隔たり)を読み取っているのです。(「音高」を並べているのではなく)
ですが日本の音楽教育では「音高」ばかり重要視され、その結果「絶対音感がなければ楽譜から音が取れない」「ハ長調は易しくても、調号が増えるにつれ音を取るのが難しくなる」と多くの人が勘違いをしています。

英語圏ではCDE音名とは別にソルフェージュ・シラブル(do, re, mi…)を使い、ごくフツーの人が楽器など使わなくても歌だけで、音程はもちろんのことリズムや楽典など、読譜に必要な要素をすべて学べるメソッドが整っていて、羨ましい限りです。
by REIKO (2020-02-07 00:07) 

Enrique

REIKOさん,
確かにシャープやフラットは難しいものという誤解を植えつけてしまっていますね。半音ずらしなどは最たるもので,余程ガチガチの絶対音感の持ち主でなければ平気で出来るのに,楽譜見てパニック(笑)。
ギターではカポで調を変えたり,スケールも同じ運指で調を変えたりと相対音感の方が都合が良いのですが,今度は五線譜でなくタブ譜を使おうとする。

私の譜面に関する知識の大半は小中学校で習ったもので,昔はト長調やヘ長調程度ですが階名視唱もやりました。義務教育で学んだものが身についていないとすれば,これを大人になってやり直すのはかなり大変だろうと思います。しかし考えてみれば,得手不得手もあって,私は球技のルールなどは全く覚えられませんでした。

それは英語しかり,数学の証明しかり。その他色々。義務教育の内容をきちんと押さえておけば,大学はおろか,高校だって行かなくたって社会生活に十分かも知れません。少なくとも中学の数学の証明レベルの論理性があれば,世の中もあまり変なことにはならないはずと思います。
by Enrique (2020-02-07 19:05) 

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