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複雑さと単純さと分析と解析と [雑感]

この曲は難しいと言った場合,具体的にはどう言うことを指すのでしょうか?

まずは技術的に難しい,易しいテクニックでは弾けない。というのがまず第一にあるでしょう。
現代曲で曲想をつかめない。というのもあるでしょう。むろん古典以前の曲でもバッハに代表されるように,フーガ技法などが駆使されていて複雑な場合もあるかもしれません。もちろんその際テクニカルに難しいという事もあるでしょう。

難しいと言う英語は,中学校ではdifficultと習いましたが,余り使わない気がします。普通に難しいという場合は,complecate(込み入って複雑)と言いますし,hardも使います。

日本語で「難しい」と言ってしまうと,「ほぼムリ」という感じになってしまいますが,込みっ入っているとか複雑だということであれば,分析(analysis)で何とかなりそうです。複雑なものを単純なものの集積に分解するのが分析です。曲分析は,アナリーゼというやつです。全体として複雑であっても,分析した個々は単純なはずです。そうでないと分析になりません。分析にかかれば,個々は単純ですから,取り組むことが可能になります。

analysisは解析とも訳されます。分析というほうは,化学分析とか構造分析とかの,やはり単純な要素に分ける意味合いが強く,解析は必ずしも分けるわけではなくて数学理論的に見通しよく説明できれば良しとする考え方の様に思います。

complecateとほぼ同じ意味で,complexがあります。こちらは,複雑なと意味もありますが,複合的なものといった意味で,それなりの手を使って,取り扱い可能ということのようです。数学でcomplex numberと言えば複素数のことを指しますし,化学でcomplexと言えば錯体のことを指す様です。異種のものが複合化されている意味合いです。

音楽で単純な例を引けば,例えば五拍子とか七拍子は,そのままだと捉えにくいですが,三拍子と二拍子の複合だとか,四拍子と三拍子の複合だとか思えば捉えられる様になります。

音の並びについてであれば,スケールとモードで支配されています。もちろん,音の動きを支配する和声に関する理屈があります。これらの分析手段を駆使して曲を分析しまくれば,どんな難曲であっても単純なエレメントに分析可能でしょう。

しかしながら,原子レベルまで分解してしまったら物質としての化学的性質は失われる様に,曲も音一つ一つにまで分解してしまったら,音の集合としても意味合いは無くなってしまいます。いわばモチーフが分子レベルでしょうから,それ以上分解せず,いわば分析ではなく解析とする事も必要なのでしょう。曲を理解するために分析は必要ですが,しすぎると却って分からなくなるというパラドックスです。

極端論を述べました。音レベルまで分解するという事は余りないでしょうが,注意しなければならないのは,分析(というか分解)の仕方を間違ってしまう事です。特に技術的問題で部分練習をする場合,へんなところで切り取って練習して音としては再現しても音楽的にはどうか?というケースも考えられます。

分析により複雑を単純に変換できるわけで,複雑に思っていたものが実は単純なものの集合体であったということで見通しがつく場合は多いと思います。ただし,単純化しすぎて間違った結論を出すよりは,課題はある程度複雑に捉えておく方が安全サイドではあると思います。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

科学的アプローチの考え方は理解できますが、難しい曲を弾けるようにする事とどのように結びついていくのか、今後の展開を楽しみにしています。(^^;


by たこやきおやじ (2019-12-11 01:15) 

Enrique

たこやきおやじさん,
分析は最も基本的なアプローチですので,常に考えており,過去記事にもしています。今後急展開するという事はあまり無いと思います。
by Enrique (2019-12-11 06:25) 

たこやきおやじ

Enriqueさん

Enriqueさんのギターへの思いや、知識には何時も脱帽しております。何か一つでも参考になる事がないかと読んでいますので、悪しからず。
(^^;

by たこやきおやじ (2019-12-11 10:02) 

Enrique

たこやきおやじさん,
ご愛読ありがとうございます。
ご期待に沿えるかどうか分かりませんが,何か書いて行きます。
by Enrique (2019-12-11 11:04) 

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