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アルカンヘル・フェルナンデスに執心中 [楽器音響]

かねてより,とあるルートからアルカンヘル・フェルナンデス65年製を入手しました。

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  愛器の正面と裏面。
かなり傷んだ状態だったので,修復してもらったものです。表面板の割れ,塗装,指板の調整とフレット交換などです。それなりの費用はかかりましたが,安心して使え,十二分な価値があると思います。

どんな銘器でもそうでしょうが,この楽器も見た目何の変哲もありません。

もちろん,きちんと弾かないとまともな音は出ませんが,非常に弱音であっても音の力を感じます。ふやけた音が出ません。

これだけは全く主観的感想に成らざるを得ません。
音にべたつきが全く感じられません。硬質で強い低音が音楽の基盤を支えてくれます。

私が演奏上の課題だと思っている内声の不足も,極力補ってくれている感があります。楽器を擬人化してもしょうがないですが,もっと美しい力のある音で,バランス良く演奏しないと,楽器に申し訳ないという気分になってきます。楽器に演奏を教えられるとはこのことかと思っています。

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  表面板の割れと塗装を修復してもらいました。
歳相応な自然の古びた感に仕上げてもらいました。
本当に不思議なものです。言ってしまえば,楽器なんて単に木の箱です。

私は,楽器にうるさい方では無いと思っています。特に外見とかは全く気になりません。

ラベルです。
サイド・バックがシープレス製と言う事もあるのでしょうが,非常に軽い(約1.2kg)楽器です。こんな軽い楽器からどうしてこんなにしっかりとした音が出るのだろう?と不思議になります。サイド・バックは重硬にというのが音響的な解ですが,この楽器の響きを聴くと,それは必ずしも最適解でもないのかなとも思います。ヴァイオリンの良い楽器は軽いですし,蝉はあんな軽い体で大音量を響かせますし。

 
  指板の調整とフレット交換もお願いしました。
フレットが減り指板も凹状態になっていましたが,
僅かの凸状態まで補修されました。
スペインものを弾くのはもちろんですが,バッハなどの多声音楽を弾くのにも優れている様に思います。

サイド・バックがシープレスで出来ていますから,フラメンコ用楽器と見られるかもしれませんが,本当に良い楽器はクラシックもフラメンコも関係ないと言われます。まさにこの楽器がそうなのだろうと,自分なりに解釈しています。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

羨ましいです。クロサワあたりですと300万位の値段ですが、ひょっとして、かなりの安価で入手されたのでしょうか。(^^;


by たこやきおやじ (2019-07-20 19:20) 

ブチャラティ

どこかで出ていたのを見た覚えがあります。
アルカンヘルは引退してしまいましたが、
現代では世界最高の製作家だと思います。
私はロマニリョスよりも一歩抜け出ていると勝手に評価しています。

マヌエルラミレス、サントスエルナンデス、バルベロ1世、アルカンヘル、バルベロ2世に続いた流れは、とりあえずは今のマヌエルカセレスで終了となりますが、この乾いたスペインの香りを持つ一連の楽器は本当に素晴らしいと思います。アルカンヘルはいつかは手にしたい夢のギターですね。
バルベロイーホは、アルカンヘルと同じ時間、空間で製作をしていましたが
しかも、アルカンヘルの作業のいくつかを担当していた事もあったようですが、やはりアルカンヘルには敵わないように感じます。二つとも良く似たギターなんですが。乾いた低音、あの歯切れの良い音、芯の強い輝く高音、音の分離、材料のレベル、どれをとっても最高です。

良い楽器にめぐり合えて、おめでとうございます。
by ブチャラティ (2019-07-20 21:05) 

Enrique

たこやきおやじさん,補修費用がかなりかかりましたが,それを含めてもおつりが出ました。かみさんはまた買ったのかとブーイングでしたが。この楽器はサイド・バックがシープレス製というところが隘路だと思いますが,その分お安いですし,この楽器の個性であり,ローズやハカに比べ,そう遜色あるとも思っていません。
by Enrique (2019-07-21 04:24) 

Enrique

ブチャラティさん,ご評価いただき,ありがとうございます。
どこかでご覧になりましたか。
アルカンヘルは昔,とある楽器店で試し弾きしたことがあり,何の変哲もない素朴な外見にもかかわらずどの楽器でも経験したことのない乾いた強い低音に驚き,いつか欲しいなと思っていました。
モダンギターはスペインのトーレスを始祖として,ドイツ,イギリス,フランス,アメリカなどにその流れが伝播しましたが,この楽器はスペイン伝統の底力を感じさせる楽器だと思います。
昔試奏した楽器はローズかハカランダ製でしたが,シープレス製というのもまたスペインらしくて良いかなと思っています。いままで使った楽器の中で一番軽いのに,一番しっかりとした音が出るのは驚きです。
とくに演奏に行き詰まっている訳でも無いのですが,たまに楽器を変えてみるのも良いというのもわかる気がします。楽器の完成度に応じた丁寧な演奏をしないといけないなと思わせられました。
by Enrique (2019-07-21 04:26) 

浜っ子カルメン

銘器ですねぇ・・
こんな名器、一度手にして一音でも鳴らしてみたいです。
いつかアルカンヘルで聴かせて下さい。



by 浜っ子カルメン (2019-07-21 16:51) 

Enrique

浜っ子カルメンさん,ありがとうございます。
たぶん,これからはメインでこれを弾いていくので,音もお聴かせできると思います。
by Enrique (2019-07-21 17:24) 

PopLife

初めまして、よろしくお願いいたします。
実に弾いてみたいGuitarに思えてカキコさせていただきました。
昔からギターのよし悪しを判断するうえで利用木材の
乾きが重要視されています。当方も一年落ち程度で買った中古のTaylorも五年ほど使ってから使える音へと変化したようです。よって
見事なリペアに相まってその音質の良さは羨ましい限りに違いないと想像させてられるのです。と言った訳でではまた、
ありがとうございました。
by PopLife (2019-08-11 16:23) 

Enrique

PopLifeさん,コメントいただき,ありがとうございます。
Tayler良いですね。娘のアコギにドレッドノートでは大き過ぎで大変ですので,ニューヨーカースタイルのものを検討したことがあります。
もちろん良い楽器は新品時代から鳴りますが,一般的には,しばらくして(数ヶ月から数年経って)鳴ってくるイメージがあります。これは木材の内部変化で説明できますが,弾いてない楽器を弾くと,ほんの数十秒数分の間でも音が出て来ますので,まさしく生き物の様なものだと思います。
古い楽器でもきちんとリペアしてやれば,生き生きと鳴ります。私のアルカンヘルは50歳過ぎで,結構大掛かりなリペアでしたが,これから長年使える事を考慮すれば大変良い選択だったと思っています。
by Enrique (2019-08-13 05:56) 

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