パイオニア上場廃止に想う [雑感]
オーディオの老舗で,近年ではカーオーディオやカーナビ,プラズマテレビなどで有名だったパイオニアがこの3月末で上場廃止とのことです。
規模こそ超大手とは言えませんが,ながらく日経平均225種にも採用され,日本を代表する名門エレクトロニクスメーカーです。
2015年に5000億円の売上を挙げて,業績回復かと思いきや,2019年3月度の連結の業績見通しは売上3500億円,営業利益マイナス50億円とのことです。
若い方はご存知ないと思いますが,オーディオ華やかしき頃は,いわゆる「サン・トリ・パイ」,「山水・トリオ・パイオニア」の御三家を構成していました。ソニーや松下(現パナソニック,オーディオブランド:テクニクス),その他家電大手もこの3社にはブランド力(とそのバックの技術力)で敵わなかったのです。実際ベータで痛手を被ったソニーも,レーザーディスクの自力開発は無理で同社から製品の提供を受けてのOEM販売をしていました。
山水は会社解散。たまにSANSUIブランドを見かけることがありますが,ブランドが他社に渡っている様です。計測器メーカーでもあったトリオは,その後Kenwood,現在は日本ビクターと合併してJVCケンウッドとして存続しています。
パイオニアは80年代頃のオーディオ不況でも見事に無傷で生き残り,躍進しました。同社が社運をかけて絵の出るレコード「レーザーディスク」を開発したからです。
経済紙の見出しには,「技術への過信」と言った批判が躍ります。結果論的に上手くいかなくなった企業を批判するなら誰でもできます。技術に自信を持たないでどうするのだ!と思います。同社が技術を軽視して順調に行ったと言えるのでしょうか?
オーディオ不況時に,新技術を信じないで従来技術にこだわっていたら,同社はとっくに無かった事でしょう。レーザーディスクやプラズマビジョンなど,他社がまねの出来ないビジュアル分野に舵を切って成功した。それが出来たのも同社の圧倒的な技術力と開拓者精神では無かったのでしょうか?
業績好調な有名企業であっても,経営者が尊敬できない人であったり,世の中に貢献しているのかどうか疑問な企業もありますし,税金を吸って存続している企業もありますから,同社のように技術でやってきて,80年代のオーディオ不況を見事に,正々堂々乗り切って来た企業を称賛こそすれ批判する気には全くなれません。
高度成長時代は,外貨準備の少なかった日本の外貨獲得に貢献,直接間接に大いに日本ブランドを高めたはずです。当方が民間企業にいて業績が思わしくなかった頃,社内からいろいろなアイデアが集められました。その中に,「国に関わる」とか「税金に関わる仕事をする」というのがありました。確かにそれが可能であるのならば企業が生き残るのに確実容易な方法ではありましょう。具体的にはどうすればいいのでしょう?国の調達に関わる入札に参加すればいいのでしょうか?その後しばらくして,元国営電話会社から余り役に立たない方がいらっしゃいました。
会社がある程度の規模を存続するためにはプライドだけではやっていけない面はあるでしょう。役所から人材をいただくとか,国の施策に関わったりとか,技術者あがりの人間は最も苦手とするところです。しかし民間企業の経営はきれいごと事では済まない面もあるでしょうから,経営陣には清濁併せもつ人材も必要ではあるのでしょう。
何も同社は潰れた訳ではないですから,パイオニア精神を発揮していただいて再建を図ってもらいたいものだと思います。かくいう私も,同社製品で使ったのはレーザーディスクと電話機くらいでしょうか?それとアナログ時代のレコードプレーヤは同社製でした。ちなみにアンプとチューナはトリオ,スピーカはオンキョー(もう40年現役で使っています)でした。良いものを作るメーカーに限って存続し難いというのは何とも皮肉なものです。逆を言うのは気がひけますが,あまり良くないもの・長持ちしないものをイメージ戦略でバンバン売った企業がもうかって存続するのでは消費者にとっては大きな損失です。もっとひどいのになると,買いたくも無いものやサービスを否応なく買わせられたらかないません。しかしながら,そんな企業がボロ儲けして存続するというのでは,やるせないだけでは無く,社会全体の損失です。
むろん,CMなどの良いイメージで買って満足できる人は良いのでしょう。どこのものを買っても大差ない,いわゆるコモディティ化した製品ならば,CMなどのイメージ戦略が威力を発揮するのでしょう。私はCMでばんばん流されるものは買わない主義です。代替え可能ならば別のものにします。何故なら,本来良いものならば,CMなどしなくても口コミなどで売れるはずだからです。CMを否定する積りはありませんし,知らない消費者に情報を届ける必要はあるとは思います。しかし,CMで売れるとなると,依頼会社も広告会社も躍起になってイメージ戦略を打つ事でしょう。もっと消費者が賢くなって,見る目を持って良いものを買うようにすれば,良い企業が生き残れる面はあると思います。
規模こそ超大手とは言えませんが,ながらく日経平均225種にも採用され,日本を代表する名門エレクトロニクスメーカーです。
2015年に5000億円の売上を挙げて,業績回復かと思いきや,2019年3月度の連結の業績見通しは売上3500億円,営業利益マイナス50億円とのことです。
若い方はご存知ないと思いますが,オーディオ華やかしき頃は,いわゆる「サン・トリ・パイ」,「山水・トリオ・パイオニア」の御三家を構成していました。ソニーや松下(現パナソニック,オーディオブランド:テクニクス),その他家電大手もこの3社にはブランド力(とそのバックの技術力)で敵わなかったのです。実際ベータで痛手を被ったソニーも,レーザーディスクの自力開発は無理で同社から製品の提供を受けてのOEM販売をしていました。
山水は会社解散。たまにSANSUIブランドを見かけることがありますが,ブランドが他社に渡っている様です。計測器メーカーでもあったトリオは,その後Kenwood,現在は日本ビクターと合併してJVCケンウッドとして存続しています。
パイオニアは80年代頃のオーディオ不況でも見事に無傷で生き残り,躍進しました。同社が社運をかけて絵の出るレコード「レーザーディスク」を開発したからです。
経済紙の見出しには,「技術への過信」と言った批判が躍ります。結果論的に上手くいかなくなった企業を批判するなら誰でもできます。技術に自信を持たないでどうするのだ!と思います。同社が技術を軽視して順調に行ったと言えるのでしょうか?
オーディオ不況時に,新技術を信じないで従来技術にこだわっていたら,同社はとっくに無かった事でしょう。レーザーディスクやプラズマビジョンなど,他社がまねの出来ないビジュアル分野に舵を切って成功した。それが出来たのも同社の圧倒的な技術力と開拓者精神では無かったのでしょうか?
業績好調な有名企業であっても,経営者が尊敬できない人であったり,世の中に貢献しているのかどうか疑問な企業もありますし,税金を吸って存続している企業もありますから,同社のように技術でやってきて,80年代のオーディオ不況を見事に,正々堂々乗り切って来た企業を称賛こそすれ批判する気には全くなれません。
高度成長時代は,外貨準備の少なかった日本の外貨獲得に貢献,直接間接に大いに日本ブランドを高めたはずです。当方が民間企業にいて業績が思わしくなかった頃,社内からいろいろなアイデアが集められました。その中に,「国に関わる」とか「税金に関わる仕事をする」というのがありました。確かにそれが可能であるのならば企業が生き残るのに確実容易な方法ではありましょう。具体的にはどうすればいいのでしょう?国の調達に関わる入札に参加すればいいのでしょうか?その後しばらくして,元国営電話会社から余り役に立たない方がいらっしゃいました。
会社がある程度の規模を存続するためにはプライドだけではやっていけない面はあるでしょう。役所から人材をいただくとか,国の施策に関わったりとか,技術者あがりの人間は最も苦手とするところです。しかし民間企業の経営はきれいごと事では済まない面もあるでしょうから,経営陣には清濁併せもつ人材も必要ではあるのでしょう。
何も同社は潰れた訳ではないですから,パイオニア精神を発揮していただいて再建を図ってもらいたいものだと思います。かくいう私も,同社製品で使ったのはレーザーディスクと電話機くらいでしょうか?それとアナログ時代のレコードプレーヤは同社製でした。ちなみにアンプとチューナはトリオ,スピーカはオンキョー(もう40年現役で使っています)でした。良いものを作るメーカーに限って存続し難いというのは何とも皮肉なものです。逆を言うのは気がひけますが,あまり良くないもの・長持ちしないものをイメージ戦略でバンバン売った企業がもうかって存続するのでは消費者にとっては大きな損失です。もっとひどいのになると,買いたくも無いものやサービスを否応なく買わせられたらかないません。しかしながら,そんな企業がボロ儲けして存続するというのでは,やるせないだけでは無く,社会全体の損失です。
むろん,CMなどの良いイメージで買って満足できる人は良いのでしょう。どこのものを買っても大差ない,いわゆるコモディティ化した製品ならば,CMなどのイメージ戦略が威力を発揮するのでしょう。私はCMでばんばん流されるものは買わない主義です。代替え可能ならば別のものにします。何故なら,本来良いものならば,CMなどしなくても口コミなどで売れるはずだからです。CMを否定する積りはありませんし,知らない消費者に情報を届ける必要はあるとは思います。しかし,CMで売れるとなると,依頼会社も広告会社も躍起になってイメージ戦略を打つ事でしょう。もっと消費者が賢くなって,見る目を持って良いものを買うようにすれば,良い企業が生き残れる面はあると思います。
「電子立国日本」という言葉が死語になってしまいましたね。パイオニアのプレーヤとはダイレクトドライブのPL-1200でしょうか。(^^;
by たこやきおやじ (2019-01-31 22:17)
たこやきおやじさん,
エレクトロニクスメーカの不調は残念なものです。
プレーヤはそんなに高級なのは買えず,ベルトドライブの機種でした。
by Enrique (2019-02-01 06:49)
>他社がまねの出来ないビジュアル分野に舵を切って成功した。それが出来たのも同社の圧倒的な技術力と開拓者精神では無かったのでしょうか?
上場していない優良企業もありますので、投機的な株主から自由になって、開拓者精神で地道によい製品を作り続けて欲しいと思います。会社は大きくなる必要はありません。何より大切なのは、社会が必要としている物を作り続け、会社が潰れずに存続することだと思います。
パイオニア、山水は、若かりし頃には高嶺の花と言う印象でした。我が家のオーディオセットはAIWAですが、30年以上使っています。ボリュームが若干磨耗しているようで、飯能が悪い時がありますが。
by アヨアン・イゴカー (2019-02-04 23:08)
アヨアン・イゴカーさん,
会計方式にもよるのかも知れませんが,ちょっと業績が落ちると株をボロクソに叩き売られるような環境では,まともに腰を落ち着けて研究開発などできないのではないかと思います。
80年代の日本製品はしっかりしていたと思います。余りに高級路線だと大衆にそっぽを向かれるというのもありますので,AIWAは親しみやすさがありました。TRIOももと高級路線でしたが,やはり大衆路線に舵を切ったKenwoodで頑張っていました。
Pioneerも落ちぶれたとはいえ売上げ3500億円もある名門企業ですから良いものを作り続けて貰いたいものです。
by Enrique (2019-02-05 06:10)
コマーシャルを派手に打つ会社は
売値にコマーシャル代をプラスしているわけですから
本来ならばもっと廉価で良いものが手に入るはずなんですよね
健康食品なんか買いません!(苦笑
by gonntan (2019-02-11 21:26)
gonntanさん,全くおっしゃる通りです。
もちろん,よく売れて儲かるときは,広告費も大量に掛けられて相乗効果ということもあるのでしょう。
それが原因か結果かということで,意味が反対になりますが,基本的に派手なコマーシャルで売っているものというのは信用しません。
雑誌の商品比較のようなものも眉唾ものがありますね。
健康食品の類は特にひどいものでしょうか。
by Enrique (2019-02-16 09:47)