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ピアノ教室を選ぶ [雑感]

「おいおい,ここはクラシックギターのブログでないの?」と言われそうですが,それは承知の上での狼藉です。

「ギター教室~」となると,ちょっと重たくなるので,敢えて妻などが関わるピアノについて考えてみたいと思います。ウチの家族5人は,各人各様のピアノへの接し方をしています。子供たちへのスタンスは,「親が教えたのでは身に付かない」という考え方で,何人ものピアノ教師にお願いしてきました。

私は当然シロウトで小学生のころから独学で少し弾いていましたが,20歳を過ぎてから,2人の先生に短期間習いました。まあ,これはどーでもいいです。
妻は子供時代から始め音大に入るまでに2,3人の先生についているようです。むろん音大では専門的に学んだはずです。受験の時は有名な先生についたそうです。まあまあうまく行った例でしょうから,あまり参考になりません。
上の娘はものごごろつくころからピアノを弾き,高校では音大に進む予定だったのが一般大学に転向しましたが,その間色々事情あって5人の先生についています。
息子は,上の娘の3番目の先生に一緒に習っていましたが,姉と共に半ば破門の憂き目に合い,意欲を失ってしまいました。
下の娘は1人の先生にかれこれ5年くらい習っています。

家族の音楽履歴をそれぞれ書くとけっこう長くなるので,詳細は省略しますが,各人各様のピアノとの付き合い方をしていて,それぞれサンプルにはなると思います。

ピアノを習わせる目的はそれぞれでしょうが,「なるべく長く続けられて,伸びるところまで伸ばしてやりたい。」というのが,親心です。そして,「専門家への道を進むことになってもいいし,趣味で生涯やるにしてもしっかり基礎を身につけさせたい。」というのが,本音です。

その上で,ウチの子供たちのピアノ歴は,ある意味失敗談です。



どの楽器でもそうですが,個人で教えるのに特別な講師資格というものは要りません。いわばピンキリです。ではどうやって見分ければいいのでしょうか?

ヤマハやカワイのグレードというものがあり,普通の先生は3級や4級は持っているでしょうが,持っていない人もいます。素晴らしい先生はバカバカしいので受けませんし,受けても受からない様な方もいます。ですから,これの有無はあまり参考にはなりませんが,持っていれば,そこそこの先生だということは分かります。

学歴主義というわけではありませんが,高度に専門化された音楽を学んだ人というと,だいたい音大を出た人というのが一つ目安になりましょうか。音大に入る人は子供時代からしっかりやっている人が殆どですから,ちゃんと習うのであれば,最低限そこそこのレベルの音大の,ピアノ科を出ていることは最低条件でしょう。

有名音大を出ているということで人気の先生でも,うた科や邦楽科の出では,当然ピアノの先生としては,あまりお勧めできません。「鰯の頭も信心」できる人ならそれも良いでしょうが,例えれば,有名大医学部を出ているといって,わざわざ専門外の医師に病気を診てもらう人はいないでしょう。

音楽系でも,教育学部系ということもあります。「子供の教育だから教育系で良いのでは?」それも一つの考え方でしょうが,芸術系と教育系とではやはり求めるものが違います。子供のころは教育系の人について,上達してきたらピアノ科出身の人につくというのも一つの考え方でしょうが,変わるタイミングも難しいでしょうし,なるべく1人の先生に長くついた方が良いのではないでしょうか。

教室を主催しているからには当然経営面を考えないといけませんが,あまりに営業に走る方はお勧め出来ません。端的に言えば,生徒を商売道具にしか見ていない人です。営業にプラスにならないと判断すると平気で切ります。ウチの子供たちはそういう目にあった訳ですが,上の娘の方は何度も変わっているので割と平気だったようですが,ナイーブな息子はアウトで,しまいにはピアノへの意欲を失ってしまいました。

上の娘は,何人も先生を変わった訳ですが,それぞれ切実な事情でした。それなりにちゃんとした先生であっても,子供との相性もあります。1人目の方は妻も子供時代についた方で,子供には良かったのですが,引っ越しで否応無く。2人目の先生とは権威主義的なところが合わなかったようで,とあるきっかけで変わりました。しかし,3番目の先生は上で挙げた様に,もっと問題があったわけです。力が無いのに営業本位で沢山生徒を集めると,どうなるか。目に見えて居ます。上達して来たら放り出して,新しい子供に入れ換える訳です。派手な宣伝で沢山生徒が集まっている教室は,ちょっと見よく見えますが,こういう可能性があるわけです。

上の娘の4番目の先生は,妻の音大関係の知り合いだったようで,短期間ついたのち先生側の都合で,5番目の方を紹介してもらいました。この方は実力人柄ともによい方でした。


ウチは引っ越しもけっこう多かったので,変わらざるを得ないこともあり,上の娘はかわいそうでした。色々な試行錯誤と犠牲を払って当地のピアノの先生事情もようやく分かって来て,上の娘の5番目の先生についている下の娘は小学校に入ってから始めたのですが,一番幸せに一人の先生に長くつづいていて,上達も比較的早いようです。

新学期で,ピアノに限らず楽器の教室に通うことを計画している人も多いかも知れません。いい先生を見つける一番いい方法は教師間の口コミや紹介ですが,当初それが無くて試行錯誤し,散々変わらざるを得なかったウチの子供たちの失敗談が何かしら参考になればと思います。

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アグアド

ご一家でピアノ(音楽)漬けというのはうらやましいですね。
自家の娘も幼児期から音楽(ピアノ)の環境と運動(体操と水泳)の環境を与え、そこそこ頑張ってきました。
いわゆるバイエル・コースではなく、クラシック、ポピュラーを問わず好きな曲に取り組むという形でした。指づかいも基本は基本として、多少間違っても流れを重視してくれていたので子供もついて行けたようです。教え方というのは難しいですね。
私も大学のギタークラブで練習した曲は指が覚えているのか、少しの練習で指の流れが思い出されますが、今練習している曲は一日で度忘れの繰り返しで全然進歩しません。
by アグアド (2014-04-04 11:30) 

Hagi

子供にとっては(親もですが)負担も多々あるかと思いますが、私のように50過ぎてから音楽の知識を漁っている者にとっては、子供の頃にその素養を身に付けさせてもらえるというのは、大変ありがたいことに思えます。さらに家族で音楽を楽しんでおられるので素晴らしいですね。
ギターと違って、憧れのピアノ教室は指導レベルも高くしっかり生徒を導いてくれているように思っていましたが、いろいろあるのですね。
理想的には、正しい楽曲解析が出来ていて、正しい上達の方法論があって、教えることへのプロ意識があって、何より子供の個性を重んじてその子の成長を心から願う優しい心の持ち主。そんな教室でしょうか。
by Hagi (2014-04-05 07:25) 

Enrique

アグアドさん,コメントありがとうございます。
「良い先生」というのも基準がありませんので難しいところです。ある子(人)よい方が他でも良いかどうかは,相性もありますから,何ともいえませんね。各人の潜在力を引き出してくれる教師が良いのだろうと思いますが,巡り会うのは大変です。
楽器を始めるのは何時でも良い訳ですが,やはり少しでも若い(小さい)時の方が有利である事は事実です。ただ,好きになれなければしようがないですし。
若い頃に覚えた曲は手や体が覚えていますが,私の場合は,独学時代の悪いクセと共にだったりしますので,リセットが大変です。
by Enrique (2014-04-05 13:29) 

Enrique

Hagiさん,コメントありがとうございます。
私たちの年代では学校で最小限の楽典などの知識は習ったと思いますので,ギター譜を読むのに苦労は無かったと思いますが,やはり聴音やソルフェージュといった基本的実技は不足していたと思います。
ピアノ教室について言及したのは,ギター教室よりもはるかに数が多く,ウチの家族たちもいろいろ経験したからです。ちょっと見は,ピアノの方が音楽的指導が良い様には思われますが,必ずしもそうとも言い切れません。善し悪しですが,楽器に対する愛情はギターのほうが上の様にも感じられます。
by Enrique (2014-04-05 13:47) 

アヨアン・イゴカー

我が家にはピアノがなく、音大受験を考えていた時期、毎週土曜日に叔父の家に借りに行きました。それでも、絶対的な練習量が不足し、後発であったこともあり、大胆な消極的進路変更(挫折とも言います(笑))をしました。
大学3年の時に、祖母がピアノを買ってくれたので、毎日練習しました。ピアノを習ったのは、ソルフェージュを指導して頂いたバイオリン科の先生でしたから、ピアノの専門家についたことはありませんでした。それも本の一年未満でした。ですから、全て独学でした。独学は回り道になりますし、効率の悪いことが大いと最近痛感しています。
by アヨアン・イゴカー (2014-04-06 15:30) 

REIKO

自身ピアノが上手い人が指導者として良いとは限らないし、子供との相性もあるし、難しい問題ですね。
特にピアノの場合は、子供自身の意欲より親御さんの方が「習わせたい」「弾けるようになってほしい」という願望を持っていることが多く、「ヤル気がない」「練習してこない」子供をどうやって指導するか、先生の方も苦労は尽きないようです。
私は家に楽器がないのに「幼稚園のグループレッスン」(教材はメトードローズ)→当然?脱落したので、バスに乗って「先生宅の個人レッスン」、「バイエルに入るまで」という屈辱的な教材なのにドイツ音名でサッパリ分からず、引っ越しで今度は幼稚園の「オルガン教室」(ここでようやくリードオルガンが家に)、半年くらいで小学生になり個人レッスンで今度は「バイエル」…2番の途中で止めてしまいました(笑)。
あんまりだわ…と自分でも思います。(^ ^;)
by REIKO (2014-04-06 17:55) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさんnice&コメントありがとうございます。
音大受験を目指しておられたのですか!さもありなんですね。
たしかに,良い指導者につけば上達は早いと思いますが,なかなかよい人に巡り会えません。場合によっては,古い奏法の押しつけだったり,営業本位だったりですと,独学よりも質が悪いこともありえます。独学の人は練習意欲は最高ですから,良い指導者のちょっとしたアドヴァイスで大幅に良くなることもあるのだろうと思います。
by Enrique (2014-04-06 19:24) 

Enrique

REIKOさん,コメントありがとうございます。
演奏が上手い人が,教えるのが上手いという訳ではないのはおっしゃる通りですね。その点,余り弾けなくても教えるのが上手な人の方が子供の教育には却って良いと言う事もあり得るでしょう。
しかし,上手い下手とは無関係に,嫌いにさせたり,自分の都合で放り出してしまう人でも宣伝が上手いとコンスタントに生徒が集まりますから,見極めが難しいところです。
REIKOさんの場合,お子さん時代の挫折(失礼)があっても,しっかり音楽続けていらっしゃるのですから,少なくともきっかけにはなっているのでしょう。
私の兄弟では,小学生くらいで習ったのは上の姉だけで,兄も次姉も私もすべて独学でした。バイエル4,50番くらいまで独学でやっていました。ドイツ音名なんて,大学で独語アルファベット習うまで知りませんでした。
by Enrique (2014-04-06 19:52) 

KAZUYUTA

以前、マヌエル・ベラスケスの記事を興味深く拝見しました。CGI(クラシカルギターインターナショナルという楽器店の記事にベラスケスが4月4日に、97歳で亡くなったとありました。アメリカでベラスケスを購入された記事も拝見しておりましたので、突然ですがお便りさせていただきました。
 私も、荘村さんのギターをひこうを見て、ギターを弾き出し、渡辺範彦さんに憧れて河野ギターを弾いています。ガブリエル・フレタが1月に亡くなり、偉大なギター製作家が次々に亡くなっています。寂しいことですね。
by KAZUYUTA (2014-04-06 22:51) 

Enrique

KAZUYUTAさん,初めまして。
とは言え,かなり読んでいただいていたようで,ありがとうございます。マヌエル・ベラスケスの訃報,確認致しました。97歳と言うのは大往生ですね。以前書いた記事は80年代のものでしたが,その時からすでに大家だったようですね。USで楽器を購入した際,彼のその記事を見つけ何時か訳してみようと思っていました。スペイン語からの英訳でさらに当方の訳で読みにくいものだったと思いますが。
ガブリエルが亡くなって,イーホス達もいなくなってしまいましたね。
名演奏家や名製作家が亡くなるのも時の流れを感じます。この間までNHKの「ギターをひこう」があった様な気がしていたのですが,もう終了して30年ですし,世代交代も進んでいますね。
by Enrique (2014-04-07 23:01) 

通りがかり

【・・・・・3番目の先生は上で挙げた様に,もっと問題があったわけです。力が無いのに営業本位で沢山生徒を集めると,どうなるか。目に見えて居ます。上達して来たら放り出して,新しい子供に入れ換える訳です。派手な宣伝で沢山生徒が集まっている教室は,ちょっと見よく見えますが,こういう可能性があるわけです。】

ブログ主様、始めまして。今日は大変に失礼ですが、今の時代、ほんとうに上のような例のピアノ教室やピアノ講師さんが存在するのでしょうか?

私の知る限り、周囲でも、また話や噂でもこのようにも極端な事例があるなど、それ自体が信じられなのですが・・・。

それに記事では上のお子さん・娘さんが実際に経験された例となっていますが、そのお子さん、子供のときに5人ものピアノの先生を替えられる事自体に問題はなかったのでしょうか?

ちょっと信じられない極端なケースでは?と感じたので投稿させていただきました。(ピアノ教室関係者)

by 通りがかり (2014-05-15 20:03) 

Enrique

通りがかりさん,コメントありがとうございます。
5人と言うのは異常だから,子供の方に問題があるのではないか?あるいは架空の話ではないかとのご指摘ですね。だれも好き好んで先生を変えたくありません。信じられないというであれば,ご自由ですが。
上の娘の場合,習い出して引っ越しが3回ありますし,3番目の先生に問題があった(もしくは相性が悪かった)ので,5人のうちのお1人だけですので,この先生さえ放り出さなければ,引っ越しでやむなく替えたことを除けば,そんなに異常な事では無いと思います。それから息子の方は,この方のせいでピアノを止めてしまいましたので,幸か不幸か1人で済みました。娘が5人の先生にたどりついたというのはむしろピアノが好きで止めなかったからだと思います。下の娘は5人目の先生にずっと喜んでついています。
通りがかりさんの周りには,営業以前にピアノが好きで教える事に情熱を持った方々が多くいらっしゃるのでしょう。妻もピアノ関係者ですので,同業者をけなす様なことはしたくありませんが残念な事実もあるということです。
ご質問の言葉尻をとらえるようで恐縮ですが,「今の時代」とおっしゃいますが,昔から改善されているのでしょうか?むしろ逆で,「今の時代」は競争が激しいから,より営業本位の方がいらっしゃるのではないでしょうか?妻も関係者なので,面倒だからあるいはそう言う事をされたのかもしれません。だとしたら,信じられない極端なケースと仰ればその通りなのでしょう。もちろん,そう言う方でも多くの生徒側の満足度が高ければ(受験で止めるまでは楽しくやらせてもらったなどの)それは悪い先生とは言えないのでしょう。
by Enrique (2014-05-15 22:03) 

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