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ギター分野で有名な作曲家 [作曲家]


ポンセの記事を書きましたが,ギター作曲家ではないのだけれども,ギター分野のみで有名と言う作曲家は何人かいます。流石にファリャ(1876-1946)やトゥリーナ(1882-1949)はギター作曲家とはみなされないでしょう。ファリャは「ドビュッシーの墓~」1曲のみですからセーフ,トゥリーナはギター曲数曲が結構有名ですから,少し危ないですね。何がセーフかアウトか分からないですが(笑)。

モレノ=トローバ(1891-1982)は以前記事にしたように,サルスエラ(スペインの大衆的オペラ)の大家でしたが,やはりギター音楽の分野で有名です。ギター分野でない最初の作曲家とのことです。亡くなったのが満91歳ですから,前々回記事に入れるべき長寿の作曲家の一人でした。

フェデリコ・モンポウ(1893-1987)はピアノの熊本マリさんが弾いて流行りましたが,ギターにも至宝の名曲「コンポステラ組曲」があります。この人,生年も没年もセゴビアと一緒です。満94歳ですから,ロドリーゴの満97歳以前ではチャンピオン格でした。この方も,前々回記事に入れるべき長寿作曲家の一人でした。しかし,カザルスが満96歳,ピカソが満91歳でしたから,あそこらへんの芸術家はやたら生命力が強いのか長命です。話がズレてしまいましたが,もともと知名度は低いですから,ピアノ曲が好きな方はピアノ作曲家,コンポステラ組曲が好きな方はギター作曲家(あつかい)でしょうね。

ポンセと並んでセゴビアを作曲面から支えた重要な作曲家に,カステルヌオーヴォ=テデスコ(1896-1968)がいます。この作曲家に関してはプロよりも詳しい方(てですこさん)がいますので,そちらを探索すると貴重な情報があります。以前この変わった複合名のいわれなどのコメントいただきました。名犬ラッシーなど映画音楽の分野でも鳴らした20世紀の大物作曲家なのですが,ギター作曲家とみなされる人の代表格でしょう。

ジャック・イベール(1890-1962)はフランスの作曲家で,上であげた作曲家たちと同年代ですが,上の言い方で言ったらセーフです。フルートとギターで良く演奏される間奏曲(恥ずかしながらこれ私自分の結婚式でも演奏したのです)が有名ですが,これはフルートの代わりにヴァイオリンでも良く,ギターの代わりにハープでも良いようですが,譜面からどう見てもギターでしょう。それからなぜか「フランセーズ」というギター独奏曲があります。同じくフランス楽壇のルーセル(1869-1937)には「セゴビア」というギター独奏曲がありますね。

ヴィラ=ロボス(1887-1959)に至っては,彼のあらゆる楽器向けの膨大な作品群の中(2千曲とも3千曲とも)からしたら,ギター作品はホンの一部ですが,やはりギター曲がやたら有名で,他分野では最近まで全く無名な作曲家だったと思います。ホームランを観客がキャッチしたのを,審判にファウルフライでアウトと宣告されたようなものです(たとえ話として多少ムリがありますが)。ところで,ヴィラ=ロボスの名前に関しては,モレノ=トローバやカステルヌオーヴォ=テデスコとは少し趣が違い,本来はVillalobos と一つの名前だったのを,ポルトガル語の名前の書き方に合わせて,Villa-Lobosとしたとのことです。ポンセの記事で取り上げた中南米ピアノ曲のページにありました。単にトローバとかテデスコとか呼ぶこともありますが,やはりビラ=ロボスをロボスというのは少し違和感があります。

ロドリーゴ(1901-1999)はアランフェスが有名すぎるためムリもないところがありますが,本来はピアニストでした。ギターだけの人ではないがギター作曲家とみなされる横綱格でしょうか。

ユダヤ系でポーランド出身のアレクサンドル・タンスマン(1897-1986)もセゴビアの要請でギター曲を書いて名を知られていますが,オペラ,バレエに交響曲が第9番まで,その他交響楽曲が多数,各種の楽器のコンチェルトも多数の堂々たる作曲家なのですが。

いっぺんにさかのぼって,古今最高のギタリスト作曲家,フェルナンド・ソル(1778-1839)はバレエ音楽やオペラや交響曲,ヴァイオリン協奏曲もあると言う「説」であるとおり,ギター曲以外は殆ど知られていません。

もっとさかのぼれば,ガスパル・サンス(1640-1710)もそうですね。バロックギターのみの作曲家とみなされますが,宮廷のオルガン奏者でもあり,スペインバロックの重要人物とみなされるようですが,オルガン曲は聞いたことはなく,あるのかないのかすら私は知りません。

フランスの宮廷にはロベール・ド・ヴィゼー(1650年頃-1725)がいました。かなりの数のギター曲がありますが,リュートやテオルボの曲でも有名なので,ギターのみの作曲家とはみなされないでしょう。

更にさかのぼれば,ルイス・デ・ナルバエスやルイス・デ・ミラン(いずれも1500頃生)がいます。いずれもスペイン・ルネサンス音楽の重要な作曲家ですが,今日ではギターとリュートのハーフのような楽器,ビウエッラの作曲家としてのみ名が知られるようです。
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REIKO

イベールにギター曲あるんですか!
これは初耳でした。
スペインの作曲家なら、他のジャンルがメインでも、余技というかお国柄で、ギター曲の1つや2つ作曲してるかも?と思いますが、フランスってあまりギターと結びつかないんですよね。
イベールは最初「白い小さなロバ」というピアノ曲で好きになり、そのフルートとピアノ用編曲が、むしろ原曲より有名らしいと知りました。
(実際、ピアノ独奏よりもフルート&ピアノの方が聴き映えがして、イメージ的にもピッタリ)
また彼のフルート協奏曲は、20世紀のフルート協奏曲としては有名で、私も生で聴いたことがあります。
なので私的には「フルート界の人」というイメージでした。
記事中にも「フルートとギターで良く演奏される間奏曲」とありますが。
by REIKO (2012-12-01 14:55) 

Enrique

ピアソラが出てくるまでは,イベールの「間奏曲」はフルートとギターの最も有名な曲だったと思います。私も演奏した事があります。フランセーズという独奏曲もあり,譜面も所持しています(全部弾いてみてはいないですが)。
ギターってスペインでいうイメージありありですが,実はピアノが家庭に普及するまでは,ヨーロッパ全般では家庭楽器だったようです。バロック期ではロベール・ド・ヴィゼーが活躍しましたし,古典期ではソル始め有名ギタリストがパリに出て活躍しました。
ただ,有名作曲家は大抵鍵盤の人たちですから,興味はあっても,本格的なギター曲を書くのは楽器の機能を良く知らないとなかなか難しく,曲は限られてしまいますね。ボッケリーニやパガニーニは弦楽器の人たちでしたからギター曲書けました。
by Enrique (2012-12-01 22:17) 

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